アブラナ科、アブラナ属

 アブラナ科 Brassacaceae(Cruciferae;十字花科)には、約375-390属3200種がある。

   Alliaria(葱芥屬)
ユーラシア・アフリカ北部に約5種
   アレチナズナ属 Alyssum(庭薺屬)
 地中海地方・西南アジアを中心に約170種
   Aphragmus(寒原薺屬)
 ヒマラヤ乃至シベリアに6種
   シロイヌナズナ属 Arabidopsis(擬南芥屬・鼠耳芥屬)
   ヤマハタザオ属 Arabis(南芥屬) 
約100-120種
   セイヨウワサビ属 Armoracia(辣根屬)
   ヤマガラシ属 Barbarea(山芥屬)
 北半球の温帯に約15-20種
   ウスユキナズナ属 Berteroa(團扇薺屬) 
5種
   ハナナズナ属 Berteroella(星毛芥屬) 
1属1種
   アブラナ属 Brassica(蕓薹屬)
   Braya(肉葉芥屬)
 ユーラシアに11種
   Bunias(匙薺屬) 
5種
   オニハマダイコン属 Cakile 
世界各地に15種
   アマナズナ属 Camelina(亞麻薺屬)
 地中海地方・ヨーロッパに約10種
   ナズナ属 Capsella(薺屬)
   タネツケバナ属 Cardamine(碎米薺屬)
   Cardaria(群心菜屬)
ヨーロッパ・アジアに約4種
   ニオイアラセイトウ属 Cheiranthus(桂竹香屬)
 ユーラシアに約10種
   ツノミナズナ属 Chorispora(離子草屬) 
ヨーロッパ東南部乃至中国に約10種
   Christolea(高原芥屬)
ヒマラヤ・カラコルムなどに約20種
   Clausia(香芥屬)
 ヨーロッパ乃至中央アジアに約6種
   トモシリソウ属 Cochlearia(岩薺屬) 
25-35種
   Coelonema(穴絲薺屬)
 中国(甘肅)に1種
   キバナスズシロモドキ属 Coincya
   ナタネハタザオ属 Conringia(綫果芥屬)
 地中海地方・西アジア・中央アジアに約8種
   カラクサナズナ属 Coronopus(臭薺屬)
 広く世界に10種
   ハマナ属 Crambe
ヨーロッパ・アフリカ北部の海岸に分布、葉を食用
     ハマナ C. maritima(E.Sea kale)
   Cryptospora(隱子芥屬)
 中央アジア・シベリアに2種
   クジラグサ属 Descrainia(播娘蒿屬) 
アメリカ・ユーラシア・南アフリカに約40-55種。
   Dilophia(雙脊薺屬)
 ヒマラヤ・中央アジアに約5種
   Dimorphostemon(異蕊芥屬)
   エダウチナズナ属 Diplotaxis(二行芥屬)
 ヨーロッパ・地中海地方を中心に約20種
   Dipoma(蛇頭薺屬) 中国西南部に2種
   Diptychocarpus(異果芥屬) 
中央アジアに1種
   ハナハタザオ属 Dontostemon(花旗竿屬) 
アジアに約10種
   イヌナズナ属 Draba(葶藶屬)
   ヒロナズナ属 Erophila
   キバナスズシロ属 Eruca(芝麻菜屬)
 ヨーロッパ・西アジアを中心に5-6種或は10種という
     キバナノスズシロ E. sativa(E.Rocket salad, Roquette, Gargeer,
         Roka, Rucola, Rugola) 
地中海地方・西アジア原産。紀元前から栽培。
   オハツキガラシ属 Erucastrum
   エゾスズシロ属 Erysimum(糖芥屬) 
ユーラシアに約80-100種
   Euclidium(烏頭薺屬)
 ユーラシアに1種
   Eutrema(山崙草屬・山■
{艸冠に兪}菜屬) アジア・北アメリカに15種
   Goldbachia(四稜薺屬)
 アジア温帯に約6種
   Hedinia(藏薺屬)
 中国・蒙古・ヒマラヤ・中央アジアに2種。
   Hemilophia(半脊薺屬)
 中国西南部に2種
   ハナスズシロ属
(セイヨウハナダイコン属) Hesperis(香花草屬)
          
 ヨーロッパ・西アジア・中央アジアに約30種
   ダイコンモドキ属 Hirschfeldia
   Hymenolobus(薄果薺屬)
 世界に3-4種
   マガリバナ属 Iberis(屈曲花屬・蜂蜜花屬)
 地中海地方を中心に約30種
   タイセイ属 Isatis(菘藍屬)
   Lachnoloma(綿果薺屬)
 アジア中部に1種
   マメグンバイナズナ属 Lepidium(獨行菜屬)
   Leptaleum(絲葉薺屬)
 地中海地方乃至中央アジアに約2種
   Lignariella(彎硬芥屬)
 ヒマラヤに2種
   Litwinowia(脱喙芥屬)
 ヨーロッパ東部乃至中央アジアに1種
   Lobularia(香雪球屬)
 地中海地方に5種
   Loxostemon(彎蕊薺屬) 
中国・ヒマラヤ・シッキムに10種
   ハクセンナズナ属 Macropodium(長柄芥屬・古芥屬) 
日本・樺太に1種、アルタイに1種
   Malcolmia(離蕊芥屬)
 地中海地方・アジアに約30種
   アラセイトウ属 Matthiola(紫羅蘭屬)
     
 地中海地方・ヨーロッパ・西アジア・中央アジア・南アフリカに約50-55種
   Megacarpaea(高河菜屬)
 中央アジア・ヒマラヤを中心に約7種
   Megadenia(雙果薺屬)
中国・蒙古に各1種
   Microsisymbrium(小蒜芥屬)
 中央アジア・ヒマラヤ・北アメリカに7種
   Microstigma(小柱芥屬)
中央アジアに約4種
   イタリアソウ属 Moricandia 
地中海地方に7種
   ハエトリナズナ属 Myagrum
   オランダガラシ属 Nasturtium(豆瓣菜屬)
   Neomartinella(菫葉芥屬)
 中国に1種
   タマガラシ属 Neslia(球果薺屬) 
2種
   ショカツサイ属 Orychophragmus(諸葛菜屬)
   Pachypterygium(厚翅芥屬)
 イラン・アフガニスタン・中央アジアに5-9種
   Parrya(短柱薺屬・條果芥屬)
 中央アジアを中心に約30種
   Parryodes(腋花芥屬) 
チベット・不丹に1種
   Pegaeophyton(無莖芥屬・單花薺屬) 
中国(西南・西藏)・ビルマ・ヒマラヤに3種
   Phaeonychium(藏芥屬) 
ヒマラヤに2-3種
   Platycraspedum(寛框薺屬)
 1属1種、中国(四川・西藏)産
   Ptilotrichum(燥原薺屬)
 地中海地方乃至中央アジアを中心に12種
   Pugionium(沙芥屬)
 中国・蒙古に5種
   Pycnoplinthopsis
ヒマラヤ東部に2種
   Pycnoplinthus(簇芥屬)
ヒマラヤに1種
   ダイコン属 Raphanus(蘿蔔屬)
   ミヤガラシ属 Rapistrum
   イヌガラシ属 Rorippa(菜屬)
   シロガラシ属 Sinapis(白芥屬・歐白芥屬) 
地中海地方に6-10種
     シロガラシ S. alba(Brassica alba;白芥)
ヨーロッパ原産、各地で栽培。中国では薬用。
     ハタガラシ A. arvensis
ヨーロッパを中心として分布、畑の雑草
   キバナハタザオ属 Sisymbrium(大蒜薺屬)
ユーラシア・地中海地方・南アメリカの温帯に約80種以上
   Smelowskia(裂葉芥屬・芹葉薺屬)
 中央アジア・北アメリカに5種
   Solmus-Laubachia(叢菔屬)
 中国西部・シッキムに9-13種
   Sophiopsis(羽裂葉薺屬)
 中央アジアに5種
   Spirorhynchus(螺喙芥屬)
 アジア中部に1種
   Staintoniella(無隔薺屬)
 ヒマラヤ・カラコルムに2種
   Sterigmostemum(棒果芥屬)
 西アジア・中央アジアに約8種
   Stevenia(曙南芥屬) 
朝鮮・中国・蒙古・西シベリアに3種
   Stroganowia(革葉薺屬)
 中央アジアに12種
   Synstemon(連蕊薺屬)
 中国(甘肅・寧夏)に2種
   Syrenia(稜果芥屬・茜蘭芥屬)
   Taphrospermum(溝子薺屬)
 中央アジアに2種
   Tauscheria(舟果薺屬)
 アジアに1種
   Tetracme(四齒芥屬)
 地中海地方東部・中央アジア・パキスタン・中国に約8種
   Thellungiella(鹽芥屬)
中央アジア・東北アジア・北アメリカ西部に2種
   グンバイナズナ属 Thlaspi(菥 蓂屬・遏藍菜屬)
   Torularia(扭果芥屬・念珠薺屬)
 中央アジアを中心に13種
   ハタザオ属 Turritis(旗竿芥屬・賽南芥屬) 
1-3種
   ワサビ属 Wasabia
   Yinshania(陰山薺屬)
 中国(陰山山脈)に1種  

アブラナ属 Brassica(蕓薹屬)には、北半球に約40種がある。
 そのうち、栽培植物として重要なものは次の6種。

基本的な3種は、

  クロガラシ B. nigra(排菜・歐洲黑芥子;E.black mustard)
        
野生種はヨーロッパ中・南部の海岸の岩場に雑草として分布、
        栽培型は広く中近東・地中海地方で栽培。
        
高2-4m、種子は黒褐色、シロガラシより小粒。辛味とともに芳香を持つ。

  キャベツ類 B. oleracea(甘藍;E.Cole crops)

        キャベツ類は、古代ギリシア語で Kaulion、ラテン語で Caulis、E.Cole の語源。
    var. oleracea(var.sylvestris; 野甘藍; E.Wild cabbage)
        オレラケアの野生種。
『週刊朝日百科 植物の世界』6-202
        トルコ・地中海地方・フランス・ヨーロッパ中・南部の海岸の岩場に分布。
    ケール
(ハゴロモカンラン・リョクヨウカンラン・カラド・チリメンキャベツ) var. acephala
        (羽衣甘藍・芥藍菜・卡菜;E.Kale, Borecole)
        
 野生型に近く 結球しない。キャベツ類と共に最も古く栽培化された oleracea。
      ハボタン f.tricolor(羽衣甘藍・葉牡丹;E.Ornamental cabbage)
        
江戸時代にケールから改良した、観葉植物。
    カイラン
(カイランサイ) var. alboglabra(B.alboglabra;芥藍・芥藍菜・芥蘭
        ;E.Chinese broccoli,Kairan) 
        
結球しない。中国(兩廣)・インドシナ・マレーで若い花芽を蔬菜にする
    ブロッコリー・カリフラワー
(ハナヤサイ・ハナキャベツ・ハナナ・ハナハボタン) var. botrytis
        (花椰菜・花菜・菜花;E.Broccoli, Cauliflower)
    キャベツ
(カンラン・タマナ) var. capitata
        (甘藍・結球甘藍・球白菜・椰菜・卷心菜;E.Cabbage)
    メキャベツ
(コモチカンラン・ヒメカンラン・コモチタマナ・コモチハボタン) var. gemmifera
        (抱子甘藍・湯菜・小卷心菜;E.Brussels sprout)
    コールラビ
(カブカンラン・キュウケイカンラン) var. gongylodes(B.caulocarpa;
         苤藍・球根甘藍・球莖甘藍・擘藍・芥蘭頭・玉頭;G.Kohlrabi)
         
地中海地方原産、明治時代に導入、肥大した茎を食用

  カブ類 B. campestris(蕓薹油菜;E. mustard, Chinese colza, Turnip) 

            campestris 類は、分類が極めて混乱していて、諸書により一定しない。
    ウンダイアブラナ var. campestris(var.chino-oleifera;蕓薹・油菜;
         E.Field mustard)
         アブラナの原種。ヨーロッパ北部・東部・黒海沿岸地方原産、ムギ畑の雑草。
         ヨーロッパの野生種は『週刊朝日百科 植物の世界』6-199。
         
種子(蕓薹子)を薬用、『中薬志Ⅱ』pp.192-194
         
源順『倭名類聚抄』(ca.934)芸薹に、「和名乎知」と。
    ハクサイ
(サントウサイ) var. amplexicaule (B.pekinensis, B.pe-tsai,
         Sinapis pekinensis;白菜・大白菜・黄芽白・・紹菜;
         E.Chinese cabbage,Celery cabbage,Pe-ts'ai)『中国本草図録』Ⅴ/2119
    タイサイ
(チンゲンサイ・パクチョイ・シャクシナ・ツケナ) var. chinensis (B.chinensis;
         靑菜・菘菜・小白菜・油菜・油白菜・小油菜;
         E.Chinese mustard,Celery mustard,Pak-choi)
    カブ
(カブラ・カブナ・カブラナ・スズナ) var. glabra(var.rapa,B.rapa,B.septiceps;
         蕪菁・蔓菁・圓根・扁蘿蔔;E.turnip)
         
 中国ではこれを b. campestris var. rapa(B. rapa)とする。
    ツケナ(ノザワナ) var. hakabura
    キョウナ
(ミズナ・ミブナ・センスジナ・センボンナ・イトナ・ヒイラギナ) var. lanciniifolia
    var. napiformis(芥菜疙瘩・芥菜・玉根)
    キサラギナ
(ヒサゴナ・ターサイ) var. narimosa(B.narinosa;塌棵菜・烏塌菜・塌古菜・
         瓢兒菜・雪裏靑)日本には戦前に導入。『中国本草図録』Ⅳ/1646
    スグキナ
(スグキ・スイグキナ・カモナ) var. neosuguki
    アブラナ
(ナタネ・ナタネナ・ナノハナ・ククタチ・赤種) var. nippo-oleifera
         日本のアブラナは『週刊朝日百科 植物の世界』6-204
    var. oleifera(油白菜・白菜型油菜)
    var. parachinensis(菜薹)
    タケノコハクサイ
(シロナ) var. pekinensis
    コマツナ
(カラシナ・フユナ・カサイナ・ウグイスナ) var. perviridis
         (var. rapifera;E.Mustard,Tender green mustard)
    コウサイタイ var. purpurea(紫菜薹)
    var. ruvo(E.Broccoli raab,Rapa,Italian turnip)
    サイシン var. utilis(菜心)
花茎を蔬菜にする。ヨーロッパ原産、唐代に普及。


上記3種の自然交雑種は、

  アビシニアガラシ B. carinata(E.Abyssinian mustard,Ethyopian mustard)

            クロガラシとオレラケアの自然交雑種、複二倍体。エチオピアで栽培


  カラシナ
(ナガラシ・セイヨウカラシナ) B. juncea(・大芥・芥菜・芥子菜・黄芥;
         E.Brown mustard, Indian mustard, Leaf mustard, Chinese mustard)
    カラシナ var. juncea(芥菜・芥子菜・黃菜)
 種子からカラシを採る。
         アブラナ(染色体数10)とクロガラシ(染色体数8)の自然交雑種、複二倍体(染色体数18)。
            中近東・中央アジア原産。種子は黄褐色、果皮は黒色と黄色とある。
         種子を香辛料用・搾油用・薬用、茎葉を蔬菜用。『中国本草図録』Ⅴ/2118
    var. crispiformis(皺葉芥菜)
    var. gracilis(油芥菜・高油菜)
    ハカラシナ
(タカナ・オオガラシ・ハガラシ) var. integrifolia(B.integrifolia;
苦菜・全緣 菜)
         
辛みのある葉・茎を食用。源順『倭名類聚抄』(ca.934)辛芥に「和名多加菜」と。
    ネカラシナ var. megarrhiza(var. napiformis;大頭菜・根用芥) 
根を食用
    セリホン var. multipes(var.foliosa;雪裏蕻・雪裏紅・雪菜・葉用芥菜・靑菜)
耐寒性に優
    var. multisecta(多裂葉芥・銀絲菜・金絲菜・千筋菜)
    var. rugosa(E.Chinese green mustard, Gai choy))
    ザーサイ var. tumida(var.tsatsai;搾菜・菱角菜・羊角兒菜)

  セイヨウアブラナ
(セイヨウナタネ・レープ・黒種) B. napus(歐洲油菜:E.Rape,Colza)
          
アブラナとオレラケアの自然交雑種、複二倍体。ヨーロッパの海岸の砂浜に自生、
             ヨーロッパ北部・東部で栽培化

     スウェーデンカブ
(カブカンラン) var. napobrassica(B.napobrassica,B.napus;
          蕪菁甘藍・洋大頭菜・洋蔓菁・布留克・芥菜疙瘩・洋疙瘩・水芥;
          E.Swede, Swedish rape, Russian turnip, Rutabaga)
     var. pabulavia(B.fimbriata;E.Siberian kale, Hanover salad, Winter rape) 

 アブラナ属 Brassica(蕓薹屬)には、上記のほか、次のようなものがある。
   シロガラシ B. alba(B.hirta,Sinapis alba;白芥;E.White mustard)
        
ヨーロッパ原産、各地で栽培。中国では薬用。
        
染色体数12。種子は黄色、やや大粒(直径2mm程度以下)、辛味はあるが芳香は無い。
   ハリゲナタネ B. tornefortii
地中海地方原産、一部日本にも帰化。  

 学名の属名 Brassica は、ケルト語のキャベツ bresic から。 

 



跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
跡見群芳譜トップ ナス オクラ ブルーベリー コマツナ ソバ ナシ 農産譜index