辨 |
変種に、コモチカンラン(メキャベツ)・カリフラワー・ブロッコリーなどの蔬菜のほか、観葉植物のハボタンがある。 |
アブラナ属 Brassica(蕓薹 yúntái 屬)の植物については、アブラナ属を見よ。 |
訓 |
英名 cabbage は、古仏語の「頭 caboche」から。
もと幾つかの熱帯ヤシ(椰子)類の梢芽が頭の形のように見えるのを cabbage, cabbage palm, cabbage palmetto
と呼んだ。現地ではこれを食用にする。
後に、cabbage は Brassica oleracea var. capitata を呼ぶ名として転用された。 |
漢名の椰菜(ヤサイ,yēcài)は、cabbage の原義から。ただし今日では椰菜の語はほとんど用いられず、花椰菜(カヤサイ,huāyēcài)の語に生き残るのみ。 |
説 |
ヨーロッパ原産。地中海東部沿岸やイギリス南部の野生種を、ヨーロッパ西部で栽培化したものかという。
ケール類とともに、もっとも古く栽培化された oleracea。
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誌 |
B.C.6c.ころには ケルト人によりヨーロッパ各地で栽培され、ギリシア・ローマでも薬用品・健康食品であった。
結球性のキャベツは、中世にイタリアで作られた。 |
中国に入ったのは、一説に17世紀、一説に19世紀。
日本には約800年前に入ったともいうが、蔬菜としての本格的な導入は幕末・明治以降。 |
豚カツにキャベツの千切りを添えることは、明治時代に銀座の煉瓦亭が創始したと言う。 |
世界の主要なキャベツ生産国(1979現在)は、ソ連(870万t)・中国(571.5万t)・日本(417万t)が図抜けている。 |
キヤベツの段々畑緑なり雨霽れ空に白雲の湧く
野に来れば遠きキヤベツの畑をゆく空ぐるまの音もなつかしきかな
あまつさへキヤベツかがやく畑遠く郵便脚夫疲れくる見ゆ
狂ほしき夜は明けにけり浅みどりキヤベツ畑に雪はふりつつ
雪ふるキヤベツを切ると小男が段々畑をのぼりゆく見ゆ
かなしみに顫へ新たにはじけちるわれはキヤベツの球ならなくに
(北原白秋『桐の花』1913)
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