よもぎ

学名  Artemisia indica var. maximowiczii (A.princeps)
日本名  ヨモギ
科名(日本名)  キク科
  日本語別名  カズザキヨモギ、モチグサ、フツ・ブツ・フキ・フチ、ヤマヨモギ、モグサ・サシモグサ、ツクロイグサ、チドメグサ、エムギ、ヨムギ
漢名  魁蒿(カイコウ,kuíhāo)
科名(漢名)  菊(キク,jú)科
  漢語別名  
英名  
2023/02/06 入間市宮寺  2006/02/22 新座市大和田
2007/05/03 薬用植物園
2007/07/21 同上
2007/08/13 同上

2005/09/13  三芳町竹間沢

  2008/09/11 羽村市多摩川原
 
 

2007/08/31 群馬県 浅間高原

2023/09/17 長野県霧ケ峰 

2007/10/08 薬用植物園

 Artemisia indica には、次のような種内分類群がある。

  ニシヨモギ
(オキナワヨモギ) var.indica(var.orientalis, A.dubia f.asiatica,
         A.princeps var.orientalis, A.vulgaris var.indica, A.asiatica;
         五月艾・野艾)
『中薬志Ⅲ』p.283
         
本州(関東以西)・九州・琉球・臺灣・華東・華北・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・
         
チベット・陝甘・遼寧・インドシナ・フィリピン・インドに産
  
ヨモギ(カズザキヨモギ) var. maximowiczii(A. princeps;魁蒿・黃花艾)
   
 ヨモギ属 Artemisia(蒿 hāo 屬)の植物には、世界に約480-520種がある。
      incl. Crossostephium, Filifolium, Neopallasia, Seriphidium

  オキナヨモギ A. abrotanum
  ニガヨモギ A. absinthium (苦艾・洋艾)
  アダムスヨモギ A. adamsii (東北絲裂蒿・阿氏蒿)
黒龍江・モンゴリア・シベリア南部産
  ステップヨモギ A. anethifolia
  オカニンジン A. anethoides (蒔蘿蒿)
         
遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・山東・四川・モンゴリア産
  リトウザンヨモギ A. anomala (奇蒿・南劉寄奴) 臺灣・華東・兩湖・兩廣・雲南・ベトナム産
          『中薬志Ⅲ』85-91 『全國中草藥匯編 上』500-501 『(修訂) 中葯志』Ⅳ/43-51

       『中国本草図録』Ⅱ/0866
  クソニンジン A. annua (黃花蒿・靑蒿・臭蒿・香蒿・苦蒿)『中国雑草原色図鑑』230
  サマニヨモギ A. arctica
サマニは北海道の地名
    キョクチヨモギ subsp. arctica
    サマニヨモギ
(エゾハハコヨモギ) subsp. sachalinensis
         
北海道・岩手・極東ロシア・東シベリア・北米北西部産
  チョウセンヨモギ A. argyi (A.argyii var.gracilis;・艾蒿・家艾)
         
 『中国本草図録』Ⅰ/0368・『中国雑草原色図鑑』231
  ヒロハネバリヨモギ A. atrovirens(暗綠蒿)
         
河南・陝甘・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・タイ産
  キンヨモギ A. aurata(黃金蒿)
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア産
  ホザキカワラニンジン A. biennis
  アライトヨモギ
(エトロフヨモギ) A. borealis(A. insularis) 千島産
  マリヨモギ A. brachyloba(山蒿・巖蒿)
華北・西北・モンゴリア産
  タカネヒトツバヨモギ A. brachyphylla(高嶺蒿)
朝鮮・吉林産
  カワラヨモギ A. capillaris(茵蔯蒿・白蒿) 『中国本草図録』Ⅹ/4885
  カワラニンジン
(ノニンジン) A. caruifolia(A.apiacea, A.caruifolia var.apiacea;
         靑蒿・香蒿)
『中国本草図録』Ⅴ/2349
  モクビャッコウ A. chinensis(Crossostephium chinense;
         芙蓉菊・玉芙蓉・蘄艾・白艾・香菊・白香菊・千年艾)
         
琉球・小笠原・臺灣・廣東・インドシナ・マレシア産 『全国中草葯匯編』下/90
  シンヨモギ A. chingii(南毛蒿)
         
河南・山西・陝甘・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・インドシナ産
  セメンシナ
(シナヨモギ) A. cina(Seriphidium cinum;蛔蒿・山道年蒿・山道年草)
         
回虫駆除薬 『中国本草図録』Ⅱ/0867、『中草薬現代研究』Ⅱp.111
  ケショウヨモギ A. codonochefala(A.lavandulifolia, A.umbrosa;
         野艾蒿・細葉艾・蘄艾)
九州・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・華東・兩湖・
         
・兩廣・四川・貴州・雲南・陝甘・モンゴリア・極東ロシア・シベリア産
         
『中薬志Ⅲ』p.283、『中国本草図録』Ⅴ/2350・『中国雑草原色図鑑』232
  オニオトコヨモギ A. congesta
北海道・青森産
  サバクオトコヨモギ A. desertorum (莎蒿) 朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・
         
・西北・四川・貴州・雲南・チベット・ヒマラヤ・極東ロシア・シベリア産
  タラゴン
(エストラゴン) A. dracunculus(龍蒿・狹葉靑蒿) 広く北半球の温帯に産
  A. dubia
    var. dubia(牛尾蒿・茶絨)
日本・四川・貴州・雲南・ヒマラヤ・インドシナ・モンゴリア産
    アオヨモギ var. subdigitata(A.subdigitata;無毛牛尾蒿)
         
『中国本草図録』Ⅶ/3366
  ナンマンオトコヨモギ A. eriopoda (南牡蒿) 『中国雑草原色図鑑』231
         
遼寧・吉林・黑龍江・華北・陝西・華東・兩湖・四川・貴州・雲南・モンゴリア産
    マルバナンマンオトコヨモギ var. rotundifolia
  イヌフクド A. fauriei(A. nakaii;海州蒿)
朝鮮・河北・山東・江蘇産
  セメンシナモドキ A. finita(Seriphidium finitum;東北蛔蒿)
         『中国本草図録』Ⅹ/4886 『全国中草葯匯編』下/176
  ヒメイワヨモギ A. freyniana(A.messerschmidtiana var.freyniana;
         綠櫛齒葉蒿)
         
甘肅・寧夏・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・極東ロシア・シベリア南部産
  マンシュウアサギリソウ A. frigida(冷蒿・小白蒿・白蒿・剛蒿・茵蔯蒿)
         
華北・遼寧・吉林・黑龍江・西北・モンゴリア・シベリア・中央アジア・東歐・北米産
         『中国雑草原色図鑑』231 『全国中草葯匯編』下/74-75
  フクドヨモギ
(ハマヨモギ) A. fukudo(濱艾) フクドの意不明(牧野)
         
本州(近畿以西)・四国・九州・朝鮮・臺灣・浙江産
  エゾハハコヨモギ A. furcata(var.pedunculosa, A.trifurcata, A.trifurcata
         var.pedunculosa)
北海道・シベリア・極東ロシア・アラスカ・カナダ産
  ワタヨモギ A. gilvescens(湘贛艾)
山口・四国・琉球・安徽・江西・兩湖・四川産
  ハハコヨモギ A. glomerata
本州中部・東シベリア・極東ロシア・アラスカ産
    チシマハハコヨモギ var. leontopodioides(A.leontopodioides)
    エゾハハコヨモギ var. pedunculosa(A. trifurcata var. pedunculosa,
          A. furcata)
  イワヨモギ A. gmelinii(A.sacrorum subsp.laxiflora var.laciniiformis,
         A.sacrorum subsp.laxiflora, A.iwayomogi, A.sacrorum;
         白蓮蒿・蚊煙草・鐵杆蒿・萬年蒿・茵蔯蒿)
         
『中国本草図録』Ⅳ/1881・Ⅵ/2873、『中国雑草原色図鑑』230
    var. incana(灰蓮蒿)
 日本・朝鮮・漢土(南東部)・モンゴル産 『中国本草図録』Ⅸ/4355
  サバクヨモギ A. halodendron(鹽蒿・差把嘎蒿・沙漠嘎)
 『中国本草図録』Ⅵ/2872
         
華北・遼寧・吉林・黑龍江・西北・モンゴリア・ザバイカルに産
  A. hedinii (臭蒿)『中国本草図録』Ⅷ/3855
          内蒙古・中国西北・四川・貴州・雲南・チベット・ヒマラヤ産
  ホクチヨモギ A. igniaria (歧莖蒿)
遼寧・吉林・黑龍江・華北・内蒙古・陝西・山東産
  A. indica(A.vulgaris var.indica)
    ニシヨモギ
(ヨモギ) var. indica(五月艾・野艾)
    ヨモギ(カズザキヨモギ) var. maximowiczii(A. princeps;魁蒿・黃花艾)
  マンシュウヒトツバヨモギ A. integrifolia (柳葉蒿) 『中国本草図録』Ⅸ/4356
         
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・河北・モンゴリア・極東ロシア・シベリア産
  A. japonica 
    オトコヨモギ subsp. japonica(牡蒿)
      オトコヨモギ var.japonica
      イトヨモギ var. angustissima(A. angustissima)
    ハマオトコヨモギ ssp. littoricola(var.macrocephala, A.littoricola)
    マンシュウオトコヨモギ var. manshurica(A.manshurica)
  カワカミヨモギ A. kawakamii(山艾)
臺灣産
  イヌヨモギ A. keiskeana (菴■
{草冠に閭}) 『中国本草図録』Ⅶ/3364
  キタダケヨモギ A. kitadakensis
赤石山脈産
  A. koidzumii
    ヒロハウラジロヨモギ
(オオワタヨモギ・カラフトヨモギ) var. koidzumii
    オオバヨモギ var. megaphylla
北海道南部・本州青森産
    マシュウヨモギ var. tsuneoi
北海道産
  クラムヨモギ A. kurramensis
パキスタン産 回虫駆除薬
  ヨモギナ A. lactiflora(白苞蒿・甜藥子・鴨脚艾)
 『中国本草図録』Ⅱ/0868
         
臺灣・華東・華南・陝甘・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・インドシナ・ジャワ・アッサム産
  イワキヌヨモギ A. lagocephala(白山蒿)
         黒龍江・吉林・極東ロシア・シベリア産 『中国本草図録』Ⅸ/4357
  ヒメヨモギ A. lancea(A.feddei, A.minutiflora;矮蒿)
『中薬志Ⅲ』p.283
         
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・陝甘・
         
・華北・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・ロシア沿海地方に産
  ヒロハキクヨモギ A. latifolia(寛葉蒿)
         
遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・極東ロシア・シベリア・中央アジア産
  シラゲヨモギ A. leucophylla(白葉蒿) 朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・
         
・河北・西北・四川・貴州・雲南・チベット・極東ロシア・シベリア産
  ケナシカワラヨモギ A. macilenta(細桿沙蒿)
河北・山西・モンゴリア・極東ロシア産
  ミブヨモギ A. maritima(Seriphidium maritimum;驅蛔蒿)
  ユキヨモギ A. momiyamae(A.indica var.mimiyamae)
三浦半島・伊豆半島・伊豆諸島産
  モウコヨモギ
(ホソバヨモギ・モウコホソバヨモギ) A. mongolica (
         蒙古蒿)『中国雑草原色図鑑』232
         
臺灣・華東・兩湖・四川・貴州・雲南・西北・華北・モンゴリア・極東ロシア・シベリア産
    コバナヨモギ  var. vervenacea
  ヒトツバヨモギ
(ヤナギヨモギ) A. monophylla(A.viridissima var.japonica)
  オオヨモギ(ヤマヨモギ・エゾヨモギ) A. montana(A.gigantea;山地蒿)
    エゾノユキヨモギ var. shiretokoensis
知床半島産
  ニイタカヨモギ(リュウキュウヨモギ) A. morrisonensis(A.liukiuensis, A.campestris;
         細葉山艾)
琉球・臺灣産
  ヒメフクド A. nakaii(矮濱蒿)
朝鮮・遼寧・河北・内蒙古産
  ゴトウヨモギ A. niitakayamensis(玉山艾)
臺灣産
  ニトベヨモギ A. oligocarpa(高山艾)
臺灣産
  エゾオオヨモギ A. opulenta
  A. ordosica (黑莎蒿・油蒿) 河北・山西・内蒙古産 『中国雑草原色図鑑』233
  ミヤマキクヨモギ A. orthobotrys(A.maximovicziana, A.latifolia
         var.maximowicziana)
黒龍江・モンゴリア・極東ロシア・シベリア産
  スナジヨモギ A. oxycephala(光沙蒿)
遼寧・吉林・黑龍江・河北・山西・モンゴリア産
  ノジヨモギ A. palustris(黑蒿)『中国雑草原色図鑑』235
         朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・河北・モンゴリア・シベリア産
  A. parviflora(西南牡蒿・靑蒿)
         
陝甘・靑海・湖北・四川・雲南・チベット・ヒマラヤ・インド産
  ニオイヨモギ A. pectinata(Neopallasia pectinata;櫛葉蒿)
  ミヤマオトコヨモギ A. pedunculosa
  タチスナジヨモギ A. pubescens(柔毛蒿)
         
遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・極東ロシア・シベリア・歐洲ロシア産
  A. qinlingensis(秦嶺蒿)
秦嶺産
  A. roxburghiana(灰苞蒿)
陝甘・靑海・湖北・四川・貴州・雲南・チベット・
         ・インドシナ・ヒマラヤ・カシミール・アフガニスタン産
  ヤブヨモギ A. rubripes (紅足蒿)
         
九州・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・華東・モンゴリア・極東ロシア・シベリア南部産
  シラゲイヌヨモギ A. saitoana
  アサギリソウ A. schmidtiana(朝霧草・錢葉艾)

  ハマヨモギ A. scoparia (A.capillaris var.scoparia;猪毛蒿・濱蒿・臭蒿・
         東北茵蔯・黄花蒿・絨蒿) 『中国本草図録』Ⅵ/2874・『中国雑草原色図鑑』233
         
広く歐亞に産
  タカヨモギ
(セイタカヨモギ) A. selengensis(蔞蒿・紅陳艾) 『中国本草図録』Ⅵ/2875
  キバナイトヨモギ A. sibirica(Tanacetum sibiricum, Filifolium sibiricum;
         綫葉菊・西伯利亞艾菊・兔子毛)
  ハイイロヨモギ A. sieversiana (白蒿・大白蒿・大籽蒿・臭蒿子)
          『中国本草図録』Ⅵ/2876・『中国雑草原色図鑑』234
  ネバリホソバヨモギ A. simulans(中南蒿)
華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南産
  タカネヨモギ A. sinanensis
  A. somae
    バタカンヨモギ var. batakensis
臺灣産
    ソウマヨモギ var. somae(臺灣狹葉艾)
臺灣産
  A. sphaerocephala (圓頭蒿・白沙蒿・籽蒿)
         
『中国雑草原色図鑑』235 山西・西北・モンゴリア産
  ウラジロヒメイワヨモギ A. stechmanniana(A.freyniana f.discolor, A.sacrorum
         subsp.manshurica, A.santolinifolia;細裂葉蓮蒿・櫛齒葉蒿)
  シロヨモギ A. stelleriana (白沙蒿・銀葉艾)
  ヒロハヤマヨモギ
(ヒロハノヒトツバヨモギ・アソヨモギ) A. stolonifera
         (var.microcephala, A.integrifolia var.stolonifera;寛葉山蒿)
         
本州(中国)・九州・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・華東・湖南・極東ロシア産
  A. stricta(直莖蒿)
甘肅・靑海・四川・雲南・チベット・ヒマラヤ・新疆産
  マキノハヨモギ A. subulata(A.integrifolia var.subulata;綫葉蒿)
         
華北・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・極東ロシア産
  モリヨモギ A. sylvatica(陰地蒿) 朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・河北・
         
・華東・兩湖・四川・貴州・雲南・モンゴリア・極東ロシア産
  シコタンヨモギ(キクヨモギ) A. tanacetifolia(A.laciniata;裂葉蒿) 北海道・朝鮮・
         
・遼寧・吉林・黑龍江・華北・モンゴリア・極東ロシア・シベリア・歐洲ロシア産
  A. tangutica (甘靑蒿・唐古特甘靑蒿)
甘肅・青海・四川・チベット産
    var. tomentosa(絨毛甘靑蒿) 四川産 『中国本草図録』Ⅷ/3856
  エゾハハコヨモギ A. trifurcata var. pedunculosa
         (A. glomerata var. pedunculosa)
  ツギカタヨモギ A. tsugitakaensis(雪山艾)
臺灣産
  マンシュウヨモギ A. tsuneoi(A.koidzumii var.tsuneoi)
  チシマヨモギ
(エゾオオヨモギ) A. unalaskensis(A. nipponica;A.opulenta)
         
北海道・本州(中部)・千島・アリューシャン産
  コバノヨモギ A. verbenacea(遼東蒿)
華北・遼寧・吉林・黑龍江・内蒙古・西北・四川産
  ペキンヨモギ A. veridisquama(綠苞蒿)
河北・山西・甘肅・四川産
  A. verlotiorum(南艾蒿)
遼寧・吉林・黑龍江・河北・山西・陝甘・華東・兩湖・兩廣・
         ・四川・貴州・雲南・臺灣・ヒマラヤ産
  コウライヒトツバヨモギ A. viridissima(林艾蒿・綠蒿)
朝鮮・吉林・遼寧産
  ハタヨモギ
(オウシュウヨモギ) A. vulgaris (北艾・艾蒿) 歐亞ほぼ全域・北アフリカに分布
   
 キク科 Asteraceae(菊 jú 科)の植物については、キク科を見よ。  
 日本では、ヨモギの漢字にを用いるが、誤り。漢名の蓬(ホウ,péng)は、ムカシヨモギ属 Erigeron(飛蓬屬)の植物の総称、就中エゾムカシヨモギ(飛蓬,fēipéng)を指す。
 同じく(ガイ,ài)は、よもぎの仲間でもぐさにするもの、チョウセンヨモギ
 『本草和名』艾葉、一名冰臺に、「和名与毛岐」と。
 『延喜式』蔯藁に、「カラヨモキ、ヒキヨモキ」と。
 『倭名類聚抄』蓬に、「和名与毛木」と。
 『大和本草』艾に、「ヨモキヲ炙治ニ用ルユヘモエ草ト云ヲ畧シテモクサト云」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「艾 サシモグサ ツクロイグサ ヨモギ モチグサ
加州 フツ薩州 ブツ肥前」と。
 属名は、ギリシア神話の女神アルテミス Artemis から。彼女は出産の守護神であった。
 歐洲では、ニガヨモギ A.absinthium を分娩促進の湿布薬として用いたことから。
 北海道・本州・四国・九州・小笠原・朝鮮に分布。
 花期は、9-10月。
 中国ではチョウセンヨモギなどの葉を(ガイ,ài)・艾葉(ガイヨウ,àiyè)と呼び薬用にし(〇印は正品)、葉の裏の毛でもぐさを作る。
  
『中葯志』Ⅲ/280-283 『全国中草葯匯編』上/271-272 『(修訂) 中葯志』V/48-54

  〇チョウセンヨモギ Artemisia argyi(A.argyii var.gracilis;艾・紅陳艾)
   ヒロハネバリヨモギ A. atrovirens(暗綠蒿)
   ケショウヨモギ A. codonochefala(A.lavandulifolia, A.umbrosa;
         野艾蒿・細葉艾・蘄艾)
   ワタヨモギ A. gilvescens(湘贛艾)
   ホクチヨモギ A. igniaria (歧莖蒿)
   ニシヨモギ(ヨモギ) Artemisia indica var. indica(五月艾・野艾)
   ヨモギ Artemisia indica var. maximowiczii(A. princeps;魁蒿・黃花艾)
   マンシュウヒトツバヨモギ A. integrifolia (柳葉蒿)
   ヒメヨモギ A. lancea(A.feddei, A.minutiflora;矮蒿)
   シラゲヨモギ A. leucophylla(白葉蒿)
   モウコヨモギ A. mongolica (A.vulgaris var.mongolica, A.obscura;蒙古蒿)
   A. qinlingensis(秦嶺蒿)
   ヤブヨモギ A. rubripes (紅足蒿)
   タカヨモギ A. selengensis(蔞蒿・紅陳艾)
   ネバリホソバヨモギ A. simulans(中南蒿)
   ヒロハヤマヨモギ A. stolonifera(A.integrifolia var.stolonifera;寛葉山蒿)
   モリヨモギ A. sylvatica(陰地蒿)
   コバノヨモギ A. verbenacea(遼東蒿)
   A. verlotiorum(南艾蒿)
   ハタヨモギ A. vulgaris (北艾・艾蒿)

 日本では、生薬ガイヨウは ヨモギ又はオオヨモギの葉及び枝先である(第十八改正日本薬局方)。
 中国では、リトウザンヨモギなどの全草を劉寄奴(リュウキド,liújìnú)と呼び薬用にする(〇印は正品)。
  
『(修訂) 中葯志』Ⅳ/39-51 『中葯大辞典』1897 『全国中草葯匯編』上352-353,500-501

  〇リトウザンヨモギ Artemisia anomala (奇蒿・南劉奇奴)
   チョウセンヨモギ Artemisia argyi(艾・紅陳艾)
   ヨモギナ Artemisia lactiflora(白花蒿・白苞蒿・甜藥子・鴨脚艾)
   タカヨモギ Artemisia selengensis(蔞蒿・狹葉艾・紅陳艾)
   ユウガギク Aster iinumae(Kalimeris pinnatifida;羽葉馬蘭)
   シナヒヨドリ Eupatorium chinensis(華澤蘭)
   トモエソウ Hypericum ascyron(湖南連翹・靑筒草・小連翹・紅旱蓮)
   オトギリソウ Hypericum erectum(小連翹)
   ヒメオトギリ Hypericum japonicum(地耳草・田基黃)
   Hypericum kouytchense(貴州金絲桃)
   セイヨウオトギリ Hypericum perforatum(貫葉連翹)
   ツキヌキオトギリ Hypericum sampsonii(元寶草)
  〇ヒキヨモギ Siphonostegia chinensis(陰行草・北劉寄奴)
 ハマウツボ科 
 中国では、旧暦正月にチョウセンヨモギの若菜を食い、また、五月五日の端午の節句にこれを採って門に懸け、毒気を祓った。その風習は日本にも伝えられている(ただし日本では、チョウセンヨモギの替りにヨモギを用いる)。
 日本では、春先に若菜を摘んで草餅・草団子を作る。
 草餅には、平安時代にはハハコグサを用いていたが、室町時代までにヨモギに代った。三条西実隆の日記に、天文2年(1533)3月3日に蓬餅をもらったとある。
 旧暦五月五日の端午の節句にヨモギを飾る習慣は、奈良・平安時代から行われていた。
 『万葉集』に、

   ・・・ほととぎす きなく五月の あやめぐさ よもぎかづらき・・・
      (18/4116,大伴家持)
 
 清少納言『枕草子』第39段には、「節は五月にしく月はなし。菖蒲・蓬などのかをりあひたる、いみじうをかし。云々」とある。
 『八代集』に、

   かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな もゆる思ひを
     
(藤原実方、『後拾遺集』『百人一首』)
   あらをだの 去年(こぞ)の古跡の 古よもぎ いまは春べと ひこばえにけり
     
(曾根好忠、『新古今集』)
   庭のおもに しげるよもぎに ことよせて 心のままに おける露かな
     
(藤原基俊、『新古今集』)
   けふも又 かくや伊吹の さしもぐさ さらば我のみ もえや渡らん
     
(和泉式部、『新古今集』)
   猶たのめ しめぢがはらの させもぐさ わがよの中に あらんかぎりは
     
(清水観音御歌、『新古今集』)
   契りおきし させもが露を 命にて あはれことしの 秋もいぬめり
     
(藤原基俊(1060-1142)「僧都光覚(基俊の子)、維摩会の講師の請を申しけるを、たびたび漏れにければ、法性寺入道前太政大臣(藤原忠通,1097-1164)に恨み申しけるを、しめぢが原と侍りけれど、又その年も漏れにければ遣はしける」、『千載集』『百人一首』)

 西行
(1118-1190)『山家集』に、

   古郷の よもぎはやどの なになれば あれ行く庭に まづしげるらん
   よもぎわけて あれたる庭の 月みれば むかしすみけん 人ぞ恋しき
   おと
(音)はせで いは(岩)にたばしる あられ(霰)こそ
     よもぎのまど
(窓)の 友となりけれ
 

   裏門の寺に逢着す蓬かな 
(蕪村,1716-1783)
 
 こんにち、草餅の作り方には 二種類ある。
 一は、蒸した糯
(もちごめ)とヨモギとを搗き混ぜて、切餅・餡餅にするもの。雛祭の菱餅はこれ。
 一は、上糝粉
(新粉とも書く。白米粉)を捏ねて蒸籠で蒸し、茹でたヨモギを混ぜて臼で搗くもの。あんころ餅はこれ。

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