辨 |
葉・茎が赤く色変りしたものを鑑賞する品種ミズマがある。 |
トウゴマ属 Ricinus(箆麻 bìmá 屬)は、1属1種。 |
トウダイグサ科 Euphorbiaceae(大戟 dàjĭ 科)については、トウダイグサ科を見よ。 |
訓 |
「和名ハ唐胡麻ニシテ唐ハ支那ヨリ來タリシ意、胡麻ハ其種子ニ基ク」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
『本草和名』萆麻に、「和名加良加之波」と。
『倭名類聚抄』萆麻に、「和名加良可之波、一云加良衣」と。
『大和本草』蓖麻子に、「西土方言タウゴマ」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』箆麻に、「カラヱ和名鈔 カラガシハ同上 トウゴマ今名 トウノゴマ 遠近子実名。和方書」と。 |
漢名は、「葉は大麻に似て、子(種子)の形は宛も牛の蜱(だに)の如し、故に名づく」と(本草綱目)。 |
属名は「ダニ」、種子の形から。 |
サンスクリット名はエーランダ eranda、漢語には伊蘭(イラン,yilan)・伊羅(イラ,yiluo)と音写する。 |
説 |
熱帯アフリカ原産、古代エジプトでは約6000年前から利用。今日の主産地はインド。
日本には9-10世紀頃中国から入り、カラカシワと呼ばれた(『倭名類聚抄』)。文久3年(1863)アメリカから新種を導入。明治10年(1877)ころから千葉県で栽培、ヒマシ油を製造した。 |
誌 |
種子を蓖麻子(ヒマシ,bìmázĭ)呼び薬用・食用に供し、また根・葉を薬用にする。『中薬志Ⅱ』pp.443-44 『(修訂) 中葯志』III/652-656 『全国中草葯匯編』上/876-877
また種子から採った油を蓖麻子油(ひましゆ)と言い、薬用(峻下剤)・化粧品用・工業用などにする(日本薬局方)ほか、印肉に入れる。
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エジプトでは6000年前の遺跡から種子が出土している。 |
仏教経典では 悪臭を放つ毒草。芳香を放つ栴檀(せんだん,ビャクダン)と対比する。
父殺しの大罪を悔い、釈尊によって救われたアジャータシャトル(阿闍世)王の言葉に、「我世間を見るに、伊蘭子(子は実,種)より伊蘭樹を生ず。伊蘭子より栴檀を生ずるを見ず。我今始めて伊欄子より栴檀樹を生ずるを見る。伊蘭子とは、我が身是なり。栴檀とは、即ち是れ我が無根の信なり」と(『大乗大般涅槃経』)。 |
道のべに蓖麻の花咲きたりしこと何か罪ふかき感じのごとく
(1946,齋藤茂吉『白き山』)
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