たで (蓼) 

 たでとは、広義には タデ科タデ属 Polygonum(蓼屬)の植物の総称、狭義には そのうちヤナギタデの別名。
 タデ科 Polygonaceae(蓼科)には、約45-50属800-1000種がある。ただし、その分類はいまだ確立していないという。
 日本には、10属
(大きく見れば3属)約70種がある。

 タデ亜科 Polygonoideae(蓼亞科)
   ミズヒキ属 Antenoron(金綫草屬)
   Atraphaxis(刺木蓼屬)
     A. manshurica(東北木蓼)
     A. pungens(鋭枝木蓼)
     A. spinosa(刺木蓼)
   イブキトラノオ属 Bistorta
   サバクタデ属 Calligonum(沙拐棗屬) 
約90種
     C. aphyllum
     C. junceum(泡果沙拐棗)
     サバクタデ C. mongolicum(沙拐棗)
   Eriogonum
約250種
   ソバ属 Fagopyrum(蕎麥屬)
   ソバカズラ属 Fallopia 
北半球に約7-9種
     ソバカズラ F. convolvulus(Polygonum convolvulus)
         『中国本草図録』Ⅹ/4573・『中国雑草原色図鑑』22
     オオツルイタドリ F. dentato-alata(Polygonum dentato-alatum)
         『中国雑草原色図鑑』23
     ツルタデ F. dumetora(polygonum dumetorum)
   Homalocladium
     H. platycladum(竹節蓼・扁竹蓼・百足草・觀音竹・飛天蜈蚣・蜈蚣竹)
        『中国本草図録』Ⅰ/0037
   チシマミチヤナギ属 Koenigia(冰島蓼屬) 1属1種
     チシマミチヤナギ K. islandica(冰島蓼)
   ジンヨウスイバ属 Oxyria(山蓼屬)
 1属1種
     ジンヨウスイバ
(マルバギシギシ) O. digyna(Rumex digynus;腎葉山蓼)
        
『週刊朝日百科 植物の世界』7-216
   イヌタデ属 Persicaria
   オンタデ属 Pleuropteropyrum
   ツルドクダミ属 Pleuropterus
   ミチヤナギ属 Polygonum
   Pteroxygonum(翼蓼屬)
     P. giraldii(翼蓼・蕎麥七)
   イタドリ属 Reynoutria
   ダイオウ属 Rheum(大黄屬)
   ギシギシ属
(スイバ属) Rumex(酸模屬) 約200種

 ハマベブドウ亜科 Coccoboloideae
   アサヒカズラ属 Antigonon(珊瑚藤屬) 
メキシコ・中央アメリカに2種
   ハマベブドウ属 Coccoloba 
中央・南アメリカに200種近く
     ハマベブドウ C. uvifera(樹蓼;E.Seaside-grape)
   カンキチク属 Muehlenbeckia(竹節蓼屬) 
約15種
     M. compressa
     カンキチク M. platyclados(竹節蓼) 
 中国出版の『中国高等植物図鑑』では、上欄のタデ亜科に分類する諸属のうち、以下のものをタデ属 Polygonum(蓼屬)として一括する。
   ミチヤナギ属 Polygonum
   イブキトラノオ属 Bistorta
   ミズヒキ属 Antenoron
   イヌタデ属 Persicaria
   イタドリ属 Reynoutria
   オンタデ属 Pleurorteropyrum
   ツルドクダミ属 Pleurorterus
   ソバカズラ属 Fallopia 
 『中国高等植物図鑑』など中国の文献が載せる広義のタデ属 Polygonum(蓼屬)の植物の内、狭義の所属が確認できなかったものを、以下に列挙する。
   P. alopecuroides (狐尾蓼・拳參)
 『中国本草図録』Ⅴ/2056
   P. amplexicaule (中華抱莖蓼・鷄血七・鷄心七・蕎麥七・蜈蚣七)
     var. sinense
   P. attenuatum (毛耳葉蓼)
   P. aubertii (醬頭) 
『中薬大辞典』は P.subertii につくる
   P. campanulatum (鐘花蓼・猪蓼子草)
   P. coriaceum (革葉蓼・伴蛇蓮) 『中国本草図録』Ⅷ/3535
   P. cynanchoides (牛皮消蓼・胖血藤)
   P. divarticatum (叉分蓼・酸不溜)
 『中国本草図録』Ⅲ/1086・『中国雑草原色図鑑』23
   P. emodi(匍枝蓼・紅藤蓼)
『雲南の植物』74・『中国本草図録』Ⅷ/3536
   P. forrestii 『雲南の植物』71
   P. griffithii(長梗蓼) 『中国本草図録』Ⅷ/3537
   P. laxmannii(白山蓼) 『中国本草図録』Ⅲ/1087
   P. macrophyllum (大葉蓼・白蠍子七・白粉)
   P. manshuriense (耳葉蓼) 『中国本草図録』Ⅸ/4088
   P. milletii
『雲南の植物』72
   P. molle var. molle
『雲南の植物』72
   P. nodosum (節蓼・馬蓼・大馬蓼・猪蓼子草)
   P. ochotense (倒根蓼) 
『中国本草図録』Ⅳ/1596
   P. pacificum (太平洋蓼)
   P. periginatoris (逆阿落)
   P. polystachym (多穗蓼)
   P. rude (九■{牛偏に古}牛)
   P. sibiricum (西伯利亞蓼) 『中国本草図録』Ⅸ/4089・『中国雑草原色図鑑』29
   P. sinomontanum(翅柄蓼) 『中国本草図録』Ⅷ/3538
   P. sphaerostachyum (圓穗蓼・球穗蓼) 『中国本草図録』Ⅷ/3539
   P. taipaishanensis (太白蓼)
 
 和名タデは、「爛れの義、辛辣をもて口舌の爛るるが如きをいふ」(『和訓栞』)、「其の辛辣(からみ)の手掌(たなごころ)もて人を打つをタテルといふが如く、此ものの味、人の口を疼痛(しびれいたま)しむるが故に命ずといへり」(『成形図説』)などという。
 ただし、タデ属の植物のうち味が辛いものはヤナギタデのみ。したがって、たでの語は元来ヤナギタデを指したもの。
 漢名蓼は、李時珍『本草綱目』に「蓼類は皆な高く揚る。故に字は翏に従う。音は料、高く飛ぶ貌なり」と。
 種名は、「膨れた節が多い」。
 
 中国では、古くから蓼の仲間を調味料・蔬菜として食用にしてきた。
 そのうち、水蓼はヤナギタデだが、そのほか澤蓼(虞蓼・薔)・紫蓼・香蓼・靑蓼などは、現代名を特定できない、ともいう。
 また、同属の植物の多くを薬用にすること、次のようである。
  拳參 :イブキトラノオ・P.lapidosum・P.manshuriense の根茎。
  草河車:P.viviparum・P.attenuatum・P.ochotense・P.alopecuroides の根茎。
  萹蓄 :ミチヤナギの全草。
  辣蓼 :ボントクタデヤナギタデの全草・根・葉。
  火炭母:P.chinense の全草。
  朱砂七:P. cillinerve の塊根。
  兩棲蓼:P.amphibium の全草。
  鷄血七:P.amplexicaule var.sinense の根茎。
  醬頭:P.aubertii の塊根。
  紅酸杆:ヒメツルソバの全草。
  蠶繭草:シロバナサクラタデの全草。
  大馬蓼:オオイヌタデの全草。
  赤脛散:P.runcinatum var. sinense の根・全草。
  箭葉蓼:アキノウナギツカミの全草。
  蠍子七:ムカゴトラノオ・P. sphaerostachyumの根茎
  猪蓼子草:P.nodosum・P.campanulatum の全草・根
など。
 『大戴礼』「夏小正」五月に、「灌たる藍蓼(らんれう。アイとタデ、あるいは二字でアイ)を啓(わか)つ。〔啓(ひら)くとは、別(わか)つなり。陶して之を疏するなり。灌とは聚(あつ)まり生ずる者なり。時を記すなり。〕」と。
 『礼記』「内則(だいそく)に、豚肉・鶏肉・魚・鼈(すっぽん)などを煮るときに「蓼を実(みた)す」が、犬・兔の肉の羹(あつもの)を作る場合には、コメの粉の餡かけにして蓼をくわえない、とある。

   しのゝめや雲見えなくに蓼の雨 (蕪村,1716-1783)
   砂川や或は蓼を流れ越す 
(同)
   甲斐がねや穂蓼の上を塩車 
(同)
 
 播州赤穂は、古くからベニタデの名産地。その地名は、タデの赤い穂に由来するという。

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