辨 |
モクセイ科 Oleaceae(木樨 mùxī 科)には、世界に24-28属 約400-790種がある。
ウチワノキ属 Abeliophyllum(翅果連翹屬)
ヒトツバタゴ属 Chionanthus(流蘇樹屬)
incl.Linoclera
Fontanesia(雪柳屬) 2種
コバタゴ F. fortunei(F.phillireoides subsp.fortunei;雪柳・五穀樹)
華北・陝西・山東・安徽・江蘇・浙江・湖北に産 『週刊朝日百科 植物の世界』2-196
F. phillireoides シチリア・トルコ・シリア・レバノン産
レンギョウ属 Forsythia(連翹屬)
トネリコ属 Fraxinus(梣屬)
ソケイ属 Jasminum(茉莉屬)
イボタノキ属 Ligustrum(Parasyringa;女貞屬)
Myxopyrum(膠核木屬) 海南島から熱帯アジアに4種
M. nervosum マレシア・パブアジア産
M. pierrei(M.hainanense;海南膠核木) 海南島・インドシナ・ボルネオ産
Nyctanthes(夜花屬) ヒマラヤ・インドシナ・スマトラ・ジャワに2種
N. arbor-tristis(夜花) ヒマラヤ・インドシナ・スマトラ・ジャワに産
オリーブ属 Olea(木樨欖屬)
キンモクセイ属 Osmanthus(木樨屬)
ハシドイ属 Syringa(丁香屬)
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キンモクセイ属 Osmanthus(木樨 mùxī 屬)には、東アジア・ヒマラヤ・インドシナ及び小アジアに約28-32種がある。
アメリカヒイラギ O. americanus
O. cooperi(寧波木樨) 華東産 『中国本草図録』Ⅲ/1327
O. delavayi(山桂花・管花木樨) 西南産 『雲南の植物Ⅰ』202
ナンゴクモクセイ O. enervius(無脈木樨) 臺灣に分布
ヒイラギモクセイ O.×fortunei(齒葉木樨)
モクセイ O. fragrans
ギンモクセイ var.fragrans(O.fragrans var.latifolius, O.asiaticus;
木樨・桂花;E.Fragrant olive)
キンモクセイ var. aurantiacus
キンモクセイ f. aurantiacus(O.aurantiacus;丹桂)
シロモクセイ f. leucanthus(O.fragrans f.leucanthus)
ウスギモクセイ f. thunbergii(O.intermedius, O.aurantiacus var.thunbergii,
O.fragrans var.thunbergii;銀桂) 花色は淡黄色、熊本・鹿児島産
ヒイラギ O. heterophyllus(O.ilicifolius,O.acutus;柊樹)
本州関東以西・四国・九州・琉球・臺灣産
シマモクセイ(ナタオレノキ・ハチジョウモクセイ) O. insularis(O.hachijoensis,
O.zentaroanus) 本州福井以西・四国・九州・八丈島・小笠原・琉球産
ヤナギバモクセイ var. okinawensis(O.okinawensis) 沖縄本島産
ヤエヤマヒイラギ(イリオモテヒイラギ) O. iriomotensis 西表島産
トガリバモクセイ O. lanceolatus
リュウキュウモクセイ O. marginatus(Chengiodendron marginatus, O.sinensis,
O.bracteatus;厚邊木樨・月桂)
琉球・臺灣・福建・浙江・安徽・江西・湖南・兩廣・西南産
オオバモクセイ(ナガバモクセイ・タカサゴモクセイ) O. matsumuranus(Chengiodendron
matsumuranus;牛矢果) 臺灣・浙江・安徽・江西・兩廣・西南・インドシナ・アッサム産
O. minor(Chengiodendron minor;小葉月桂) 浙江・福建・江西・兩廣産
オオモクセイ O. rigidus 吐噶喇列島・宇治群島産
O. yunnanensis(O.forrestii;野桂花・雲南山桂花) 四川・雲南・チベット産 『雲南の植物Ⅱ』209
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ヨーロッパでクリスマスに飾るセイヨウヒイラギ Ilex aquifolium は、モチノキ科モチノキ属 Ilex(冬靑屬;E.holly)の植物であり、モクセイの仲間とは関係が無い。 |
訓 |
中国では、歴史的に桂(ケイ,guì)と呼ばれてきた植物は、香りのある樹木の、ある一群である。すなわち、
*モクセイ科モクセイ属(上述)、及び
*クスノキ科クスノキ属 Cinnamomum(樟 zhāng 属)
の一部の樹木を指す。
(日本産のカツラや、ヨーロッパ産のゲッケイジュ(ローレル・ローリエ)は、漢語の桂(ケイ,guì)とは関係ない。) |
このほか、漢土の伝説では、月に桂(ケイ,guì)の木があると伝え、これを月桂(ゲッケイ,yuèguì)と呼んできた。伝説上の空想であり、植物学的には意味が無い。
しかし唐代ころから、地上に現実に存在する香り高いある種の樹木を 月桂と呼ぶようになった。その習慣が今日に及んだものが、月桂 Osmanthus
marghinatus や(細葉)月桂 Cinamomum ubavenium (C.chingii) などの名である。
李時珍『本草綱目』月桂を見よ。 |
近代になってから、ヨーロッパのハーブとしてベイリーフ(ローリエ,ローレル) Bay leaf(E.laurel;F.laurier) Laurus nobilis が伝えられると、これにも月桂(ゲッケイ,yuèguì)の名を附した。今日 和語でもこれをゲッケイジュ(月桂樹)と呼ぶ。
(このように、今日の中国では、月桂の名に三つの植物、Osmanthus marginatus、Cinnamomum ubavenium 及び
Laurus nobilis があてられている。)
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日本でかつら(桂)と呼ばれてきた植物は、カツラ科のカツラ(オカツラ) Cercidiphyllum japonicumであり、中国の桂(ケイ,guì)とは関係ない。
日本のカツラについては、カツラの訓を見よ。 |
説 |
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誌 |
中国で肉桂(ニクケイ,ròuguì,にっけい)・桂皮(ケイヒ,guìpí)と呼ばれる薬品、日本薬局方でケイヒ(桂皮,guipi)と呼ばれる薬品については、クスノキ属の誌を見よ。 |
『礼記』「内則」に、周代の君主の日常の食物の一として桂を記す。 |