辨 |
レンギョウ属 Forsythia(連翹 liánqiáo 屬)の植物には、東亞及び東歐に、約7-10種がある。
セイヨウレンギョウ F. europaea(歐洲連翹) バルカン産
F. giraldiana(秦連翹) 河南・陝甘・湖北・四川産 『中国本草図録』Ⅲ/1322
ヤマトレンギョウ F. japonica(日本連翹) 本州(中国)産(花つきは疎ら)
『週刊朝日百科 植物の世界』2-195
チョウセンレンギョウ F. koreana(F.viridissima var.koreana)
朝鮮産。幹は多く弓状に曲がり、花は葉に先立ってさく。
F. likiangensis(麗江連翹) 四川・雲南産
マンシュウレンギョウ F. mandschurica(東北連翹) 遼寧産
ヒロハレンギョウ F. ovata(卵葉連翹) 朝鮮産
レンギョウ F. suspensa(連翹・落翹・黃花瓣・黃花條・黃壽丹・黃綬丹・綬帶・空殻;
E.Japanese goldenbell) 華北・陝西・山東・安徽・湖北・四川産
『中国本草図録』Ⅱ/0758・『週刊朝日百科 植物の世界』2-194・『中薬志Ⅱ』pp.389-390
ショウドシマレンギョウ F. togashii(F.japonica var.subintegra)
香川県小豆島産(花つきは疎ら) 『週刊朝日百科 植物の世界』2-194
シナレンギョウ F. viridissima(金鐘花・迎春條・細葉連翹・狹葉連翹;
E.Greenstem forsythia) 花は新葉の展開とともにさく。
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モクセイ科 Oleaceae(木樨 mùxī 科)については、モクセイ科を見よ。 |
訓 |
李時珍『本草綱目』によれば、漢名連翹(レンギョウ,liánqiáo)の語源について諸説がある。
一説に、其の実は蓮に似て房を作り、翹(あ)げて(ぬきんでて)衆草より出づ。故に名づく。
一説に、其の子(み,たね)、之を拆(さ)けば片片として相比(なら)ぶこと翹(ヤマドリの尾)の如し。応に之を以て名を得たるのみ。
一説(李時珍)に、「『爾雅』に〔連、異翹なり〕とある。人々はこれを合せ称えて連翹といったのだ」と。(なお、郭璞の註に『本草』を引いて、連は連苕・連草であるというから、連(一名異翹)は連翹である)。
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かつて漢名を連翹といったものには大小二種があり、ともにオトギリソウ科の、大連翹はトモエソウ、小連翹はオトギリソウであり、これらの実を連翹と呼び 薬用にした。
後に、Forsythia ssp. の実を連翹と偽って売るようになり、ついには連翹は Forsythia ssp. を指すようになったもの、と言う。 |
『本草和名』連翹に、「和名以多知波世、一名以多知久佐」と。
『延喜式』連翹に、「イタチクサ」と。
『倭名類聚抄』連翹に、「和名以多知久佐、一云以太知波勢」と。 |
属名 Forsythia は、イギリスの園芸家フォーサイス W.A.Forsyth(?-1876)に因む。 |
説 |
河北・山西・陝西・河南・山東・安徽・湖北・四川に分布。花は、3-4月、葉に先立ってさく。
世界中で観賞用に栽培。ヨーロッパには19世紀に入る。
日本には、一説に平安時代初期に薬用として渡来。17c.後半には栽培の記録がある。 |
誌 |
中国では、レンギョウの果実を薬用にする。 『全國中草藥匯編 上』p.420 『(修訂) 中葯志』III/393-396
日本では、生薬レンギョウ(連翹)は レンギョウの果実である(第十八改正日本薬局方)。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻三「藤並桂のるひ」に、「蓮翹(れんげう) 花黄色、小りん、四花なり。木ハ桂(ここでは蔓の当字)のごとくにて又かづらにてもなし。二種有。しだれれんげうといふハ、木ほそく、しだれやなぎのごとし。花は同し」と。 |