くろもじ (黒文字)
学名 |
Lindera unbellata (Benzoin unbellatum) |
日本名 |
クロモジ |
科名(日本名) |
クスノキ科 |
日本語別名 |
ネソ |
漢名 |
大葉釣樟(タイヨウチョウショウ,dàyè diàozhāng) |
科名(漢名) |
樟(ショウ,zhāng)科 |
漢語別名 |
釣樟(チョウショウ,diàozhāng)・烏樟(ウショウ,wūzhāng)、枕木(チンボク,zhĕnmù)、綠葉甘橿(リョクヨウカンキョウ, lüye ganjiang)、小葉甘橿(ショウヨウカンキョウ, xiaoye ganjiang)、棆(リン,lun)、小丁黃、野樟樹、光狗棍 |
英名 |
Benzoin |
2007/02/08 神代植物公園 |
2006/03/11 同左 |
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2007/05/12 神代植物公園 |
2007/06/02 同左 |
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2006/08/13 同上 |
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2023/08/26 植物多様性センター |
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2006/10/19 神代植物公園 |
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2006/12/03 同上 |
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2008/04/29 同上 |
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辨 |
クロモジ属 Lindera(山胡椒 shānhújiāo 屬)の植物には、クロモジ節に約100種、シロモジ節にシロモジ・アブラチャンの2種がある。
テンダイウヤク L. aggregata(L.strychnifolia;烏藥・天台烏藥)
臺灣・浙江・福建・江西・安徽・湖南・兩廣・ベトナム・フィリピン産 『中国本草図録』Ⅰ/0077
ナンバンクロモジ L. akoensis(臺灣香葉樹) 臺灣産
ホソバヤマコウバシ L. angustifolia(L.glauca var.salicifolia;狹葉山胡椒・見風消・
・水牛筋) 朝鮮・河南・陝西・湖北・華東・兩廣産 『全国中草葯匯編』下/120
L. chunii(鼎湖釣樟) 兩廣産
タイワンコウバシ(ホンバヤマコウバシ) L. communis(香葉樹・大香葉子樹・小粘葉・内苳子)
『雲南の植物Ⅱ』49・『中国本草図録』Ⅷ/3583 『全国中草葯匯編』下/83
臺灣・浙江・福建・江西・陝甘・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・インドシナ産
オキナワコウバシ var. okinawensis
カナクギノキ L. erythrocarpa(L.thunbergii;紅果釣樟・紅果山胡椒)
本州(神奈川以西)・四国・九州・朝鮮・臺灣・華東・河南・陝西・兩湖・兩廣・四川産
L. fragrans(香葉子・小葉香葉樹) 陝西・湖北・四川・貴州・廣西産
L. fruticosa(Litsea fruticosa;綠葉甘橿)
ヤマコウバシ L. glauca(山胡椒・牛筋樹)
L. kariensis(更里山胡椒) 『雲南の植物Ⅰ』56
ヒメクロモジ L. lancea(L.umbellata var.lancea, L.sericea var.lancea)
オオバコウバシ L. megaphylla(黑殼楠)
L. metcalfiana(L.dictyophylla;滇粤山胡椒・網葉山胡椒・網葉釣樟)
L. moupinesis var. szechuanica(四川木橿子) 『中国本草図録』Ⅵ/2613
L. nacusua(絨毛山胡椒) 『雲南の植物Ⅱ』50
ダンコウバイ L. obtusiloba(L.cercidifolia;三椏烏藥)
アブラチャン L. praecox(Parabenzoin praecox;大果山胡椒)
ケアブラチャン var. pubescens
L. prattii(峨嵋釣樟)
L. pulcherrima(西藏釣樟)
var. attenuata(香粉葉)
var. hemsleyana(川釣樟) 『中国本草図録』Ⅹ/4609
L. reflexa(山橿・野樟) 河南・華東・兩湖・兩廣・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅵ/2612
L. sericea
ウスゲクロモジ var. glabrata(L.glabrata)
ケクロモジ var. sericea
L. setchuensis(四川釣樟・四川山胡椒・石楨楠根) 四川・貴州産 『中国本草図録』Ⅳ/1642
L. thomsonii(三股筋香・大香果) 『雲南の植物Ⅲ』46・『中国本草図録』Ⅶ/3124
雲南・貴州・廣西・ベトナム・ミャンマー・ヒマラヤ産
L. tonkiensis(假桂釣樟・河内釣樟)
var. subsessilis(無梗假桂釣樟)
シロモジ L. triloba(Parabenzoin trilobum)
クロモジ L. umbellata(大葉釣樟)
オオバクロモジ var. membranacea(L.umbellata var.aurantiaca f.membranacea)
北海道(渡島半島)・本州(東北・日本海側の山地)産
「関東・中部で基準変種のクロモジと続いてしまい、
はっきり分けられない」(『改訂新版 日本の野生植物』)。
クロモジ var. umbellata(大葉釣樟)
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クスノキ科 Lauraceae(樟 zhāng 科)については、クスノキ科を見よ。 |
訓 |
和名は、樹皮の上の黒い文様を文字に見立てて。
ネソについては、マンサクを見よ。 |
『本草和名』釣樟に、「和名奈美久奴岐」と。 |
漢名では、タブノキにも釣樟・烏樟の称がある。 |
属名 Lindera は、スウェーデンの植物学者 J. Linder(-1723)に因む。 |
英名 benzoin は、クロモジ属の芳香性灌木の総称。語源については、安息香を見よ。 |
説 |
日本の北海道渡島半島・本州・四国、中国の暖帯・温帯に分布。
雌雄異株。 |
誌 |
中国では、根皮を釣樟根皮と呼び、材を枕材と呼び、薬用にする。『全國中草藥匯編 下』p.732 『中藥大辭典』2822 |
枝葉からクロモジ油を採って香料とし、石鹸の香付けなどに用いる。
また、樹皮の芳香を利用して、皮付きのまま割って 爪楊枝を作る。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻三「山椒(さんせう)るひ」に、「くろもじ 葉 ゑの木のごとく、木靑シ。やうじにつかふ くろもじ也」と。 『大和本草』松房に、「牙枝(ヤウジ)トシテ牙齒ヲ堅クスト云 〇凡草木ノ牙枝(ヤウジ)トスヘキ物、楊柳、白楊(ハコヤナキ)、松房、油松(コエマツ)、檜心(ヒデ)、黑モジ、鳥ノ■{翅扁に戈}ノ莖、桃木等也」と。なお、「ひで」は松の樹脂分の多い根株、■{翅扁に戈}(ヨク,yì)は翼(ヨク,yì)。 |
オオバクロモジ
2010/08/24 富山県薬用植物指導センター 「Lindera umbellata」オオバクロモジ」と標示 |
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