ききょう (桔梗) 

学名  Platycodon grandiflorum(P.grandiflorum var.glaucum, P.glaucum)
日本名  キキョウ
科名(日本名)  キキョウ科
  日本語別名  アリノヒフキ(蟻火吹)、オカトトキ
漢名  桔梗(ケツコウ,jiegeng)
科名(漢名)  桔梗科
  漢語別名  梗草(コウソウ,gengcao)、僧冠帽(ソウカンボウ,sengguanmao)、白藥(baiyao)、鈴鐺花(レイトウカ,lingdanghua)、包袱花(ホウフクカ,baofuhua)、綠花根(リョクカコン,lühuagen)、道拉基(ドウロウキ,daolaji)
英名  Balloon flower, Japanese bellflower
2007/04/19 薬用植物園

2006/08/13 神代植物公園
2005/09/04 昭和公園
2005/08/02 薬用植物園

2005/08/11 殿ヶ谷戸公園


 キキョウ科 CAMPANULACEAE(桔梗科)には、次のようなものがある。
   ツリガネニンジン属 Adenophora(沙參屬)
   Astrocodon
   シデシャジン属 Asyneuma(牧根草屬)
   ホタルブクロ属 Campanula(風鈴草屬)
   ツルギキョウ属 Campanumoea(金錢豹屬)
ツルギキョウ C.mazimowiczii(C.javanica var.japonica)など
   Cephalostigma(星花草屬)
   ツルニンジン属 Codonopsis(黨參屬)
   Cynanthus(藍鐘花屬)
『雲南の植物』215-216に5種
   Heterocodon(異鐘花屬)
   Laurantia(同瓣草屬)
   Leptocodon(細鐘花屬)
   ミゾカクシ属(サワギキョウ属) Lobelia(半邊蓮屬)
   Pentaphragma(五膜草屬)
   タニギキョウ属 Peracarpa(袋果草屬)
タニギキョウ P.carnosaなど
   キキョウ属 Platycodon(桔梗属) 
下欄を見よ
   Popovicodonia
   サクラダソウ属 Pratia(銅錘玉帶草屬)
   Sphenoclea(尖瓣花屬)
   ユウギリソウ属 Trachelium(喉管花屬)
   キキョウソウ属 Triodanis
   ヒナギキョウ属 Wahlenbergia(蘭花參屬)  
 キキョウ属 Platycodon(桔梗屬)は、東アジアにはキキョウ1種がある。
 和名キキョウは、桔梗の呉音ケチキョウの転訛。
 アリノヒフキの名は平安時代からある。一説に、花瓣にアリの出す蟻酸が触れると、火を吹いたように赤くなることから。一説に、アリはキキョウを好み、春にその根を食べ、近くに巣を作るが、その形が火山乃至む火吹きに見えることからか、という
(『週刊朝日百科 植物の世界』)
 トトキはツリガネニンジン、根を食用・薬用にすることが共通する。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)桔梗に、「和名阿利乃比布岐、一名乎加止々岐」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)に、桔梗は「和名阿里乃比布木」と、また「釈薬性云、苻■{艸冠に扈}〔音戸。和名乎加土々木〕」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』8(1806)に、「桔梗 アリノヒフキ和名鈔 アリノヒアフギ ヲカトゝキ古歌 ヒトヱグサ同上 キチカウ 佛吉草和方書 クハンサウ信州 セイネイ江州 今ハ通名キキヤウ」と。
 漢名桔梗は、根が引き締まって堅いことから。
 李時珍『本草綱目』
(ca.1596)桔梗の釈名に、「此の草の根、結実にして梗直、故に名づく」と。
 同書に、「白薬別録。 梗草別録。 薺苨本経。符巵」と。
 朝鮮名はトラジ。漢名の道拉基は、その音写か。
 学名の種名は「広い鐘」、花の形から。
 英名 Baloon flower は、蕾の形から。
 東アジアの温帯に分布。
 日本では、全国に自生するほか、古くから観賞用・食用・薬用に栽培する。
 全国では絶滅危惧Ⅱ類(VU)、埼玉県では絶滅危惧ⅠB類(EN)。
 雌雄異熟。雌蕊に先立ち、雄蕊が熟す。
 根はサポニンを含み 有毒、食うには毒抜きが必要。
 根を薬用にする。『中薬志Ⅰ』pp.383-384、日本薬局方。薬用・屠蘇の材料として古くから用いられた。
 屠蘇散(とそさん)は、中国の魏の名医 華陀(かだ)が処方したと伝えられる漢方薬、肉桂山椒白朮・桔梗・防風陳皮などを調合したもの。これを清酒または味醂につけたものを屠蘇酒と呼び、正月に飲む。
 李時珍『本草綱目』(ca.1596)人参の集解に、「偽る者は、皆な沙參(サシン,shashen,しゃじん)・薺苨(セイデイ,jini,せいねい)・桔梗を以て根を采り、造作して之を乱す」と。沙參はツリガネニンジン、薺苨は Adenophora trachelioides。
 嫩葉・根を茹でて、水に晒して毒抜きすれば食用になり、救荒作物として用いられた。
 日本では、秋の七草の一。
 すなわち、『万葉集』巻八(1537;1538)に「山上臣憶良(660-733)、秋の野の花を詠める歌 二首」に、

   秋の野
(ぬ)に咲きたる花を指(および)折りかき数ふれば七種(ななくさ)の花
   萩が花尾花
(をばな)葛花なでしこの花女郎花(をみなへし)また藤袴朝貌(あさがほ)の花

とある「朝貌」は、今日のアサガオではなくキキョウであるとする説が 一般に行われている。詳しくは、アサガオを見よ。

 集中、ほかに 4首に詠われる朝顔のうち、10/2275;14/3502 の例は、「さく」にかかる枕詞。

   朝かほは 朝露負いて 咲くといえど 暮陰
(ゆふかげ)にこそ 咲きまさりけれ
      
(10/2104,読人知らず)
   展転
(こひまろ)び 恋ひは死ぬとも いちしろく 色には出でじ 朝容(あさがほ)の花
      
(10/2274,読人知らず)
   言
(こと)に出でて 云はば忌(ゆゆ)しみ 朝貌の 穂には開(さ)き出ぬ 恋もするかも
      
(10/2275,読人知らず)
   わ(吾)がめづま
(目妻) ひと(人)はさ(離)くれど あさがほの
     とし
(年)さへこごと わ(吾)はさ(離)かるがへ (14/3502,読人知らず)
 
 桔梗の語の初見は、『出雲国風土記』(733)
 平安時代には、

   あきちかう のはなりにけり 白露の をれる草ばも 色かはりゆく
    
(紀友則、『古今和歌集』巻10物名「きちかうの花」)
 
 ききょうという音の初見は、清少納言『枕草子』第67段「草の花は」に、「をみなへし、ききやう、あさがを、かるかや、云々」とあるものや、紫式部『源氏物語』手習に、「かき(垣)ほにう(植)えたるなでしこもおもしろく、をみなへし・ききやうなどさきはじめたるに」とあるものなど。 
 『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 夏之部」に、幾つかの品種を挙げる。


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