うんしゅうみかん (溫州蜜柑) 

学名  Citrus unshiu (C. reticulata 'Unshiu')
日本名  ウンシュウミカン
科名(日本名)  ミカン科
  日本語別名  
漢名  溫州蜜柑(オンシュウミツカン,wēnzhōu mìgān)
科名(漢名)  芸香(ウンコウ,yúnxiāng)科
  漢語別名  無核蜜柑
英名  Satsuma mandarin
2007/05/10 薬用植物園
2008/05/22 同上
   2007/05/26 同上 2008/06/19 同左
2007/07/21 同左 2007/10/08 同左
2006/12/14 同上 2007/12/25 同左

 Citrus reticulata(柑橘 gānjú・甜橘 tiánjú)の品種。
 マンダリン・オレンジ Citrus reticulata(柑橘)は、インドアッサム原産、ミカン属の自生種の一。果皮が薄く手で剥け、果実は甘く生食できる。東方には中国を経由して日本にまで至り、西方には地中海地方に入り、大西洋を越えてフロリダでも栽培されている。
 中国では歴史的に(キツ,jú)と呼ばれてきた。
 
 次のようなものを、その変種・品種として扱うことがある。

  'Chachiensis'(C.chachiensis, C.nobilis var.chachiensis;茶枝柑・大紅柑) 廣東産 
  フサラ 'Iiomotensis'(C.iriomotensis)
  クネンボ 'Kunenbo'(C.nobilis var.kunep;E.King mandarin)
         インドシナ原産 江戸時代までに琉球から入る 
  キシュウミカン
(コミカン) 'Kinokuni'(C.kinokuni;南豐蜜橘・乳橘)
         
漢土では、1300年以前から江西を中心に浙江・福建などで栽培。
         
日本には、浙江から肥後八代に齎されたコミカンが、15-16c.に紀州有田に入り、
         
紀州で産業化され江戸でも売られた。株はさらに駿河に入り、静岡蜜柑の祖。
         
江戸時代には蜜柑といえば本種であった。 
         
大分津久見市の樹齢800年超の古木は天然記念物。
  ポンカン 'Ponkan'(C.reticulata var.poonensis(C.poonensis;
         柑橘 gānjú・椪柑 pènggān・甜橘 tiánjú;E.Ponkan orange)
         
変種名 poonensis(及び漢名の椪)はインドの地名 Poona に因み、和名は椪柑の音。 
         臺灣・福建・廣東産、日本には1896臺灣から導入。『中国本草図録』Ⅰ/0152
  ポンキツ 'Ponki'(C.ponki)
  サンキ 'Sunki'(C.sunki)
  ウンシュウミカン 'Unshiu'(C.unshiu;溫州蜜柑;E.Satsuma mandarin)
         
キシュウミカンとクネンボの雑種、400-500年前に九州で発生。
         
果実はキシュウミカンより大きく、種無し。明治中頃から広く流通し
         
蜜柑といえば本種を指すようになり、キシュウミカンにとってかわった。
         
今日の中国では、日本から導入したものを長江以南・北回帰線以北で栽培。
  オオベニミカン var. deliciosa(C.tangerina, C.deliciosa;紅橘・福橘)
         
福建産 17c.頃歐洲に入り、地中海地方で栽培、日本には江戸時代に入る。『中薬志Ⅱ』pp.222-226
         モロッコのタンジール港に因みタンジェリン・オレンジと呼ばれる。
  var. erythorosa(C. erythorosa;朱橘・九月橘)
江西産
  var. suavissima(甌柑) 浙江産
  var. subcompressa(黃巖蜜橘・早橘)
浙江産
  var. succosa(天台蜜橘) 浙江産
  var. tardiferax(槾橘) 浙江産
   
 ミカン属 Citrus(柑橘 gānjú 屬)については、ミカン属を見よ。
 和名の温州は、浙江溫州(オンシュウ,wēnzhōu)の謂だが、ウンシュウミカンは温州には関係が無い。下欄の説を見よ。
 英名 mandarin orange は、清朝の高級官僚 mandarin の礼服の色(黄色)から。
 四・五百年前に、浙江黃岩からもたらされたミカン類の種子から、鹿児島県長島(天草の南)で発生した食用種。李夫人・唐蜜柑・中島蜜柑など各地で各様に呼ばれていたが、明治時代以降全国でウンシュウミカンと呼ぶようになった。
 日本を代表するミカンで、今日では100以上の品種がある。そのうち、変種ワセウンショウ var. praecox は、大分県で1895頃枝変わりとして発見された。
 主に静岡・和歌山・愛媛・佐賀・熊本などで、国外では朝鮮
(済州島)・漢土(長江以南・北回帰線以北)・アメリカ(カリフォルニア)・スペインなどで栽培。
 果実を生食し、また缶詰・ジュースなどに加工する。
 中国では、ポンカン(椪柑・甜橘)とその変種の、成熟した果皮を乾燥したものを 陳皮(チンピ,chénpí)と呼び、薬用(内服、浴料あるいは屠蘇散)にし、香味料として食材にし、日本では七味唐辛子(唐辛子・胡麻・山椒・芥子の実・麻の実・菜種・陳皮をあわせた香辛料)に用いる。『中薬志Ⅱ』pp.206-213
 陳皮の名は、漢方では陳久品を尊ぶことから附けられたものという。
 日本では、生薬チンピ(陳皮)は ウンシュウミカン又は Citrus reticulata の成熟した果皮である(第十八改正日本薬局方)。
 『花壇地錦抄』(1695)巻三「柑(かう)るひ」に、「蜜柑(みつかん) 大小二種有。紀伊國ヲ上とす」、「かうじ みつかんの如クニてちいさし。かたちも異ありと見ゆる。鶴岡八幡宮御神木すなハち拝殿東ノ方ニ侍るヲ拝しぬ」、「雲州橘(うじゆきつ) くわしく不知」と。

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