ひのき (桧) 

学名  Chamaecyparis obtusa
日本名  ヒノキ
科名(日本名)  ヒノキ科
  日本語別名  ヒ
漢名  日本扁柏(ニホンヘンパク,ribenbianbai)
科名(漢名)  柏(ハク,bai)科
  漢語別名  
英名  Hinoki false cypress
2006/02/11 神代植物公園 2006/03/11 同左
葉 (表) (裏)

2006/01/29 埼玉県長瀞町宝登山


 裸子植物については、裸子植物を見よ。
 ヒノキ科 Cupressaceae(柏科)には、21属約125種がある。
   コノテガシワ属 Biota(側柏屬)
 ネズコ属 Thuja に入れることがある
   ショウナンボク属 Calocedrus(翠柏屬)
アジア・北アメリカに3種
     オニヒバ C. decurrens
北アメリカ西部産
     ショウナンボク C. formosana
臺灣産
     C. macrolepis(翠柏)
       var. formosana(臺灣翠柏)
       var. longiopes(長柄翠柏)
   ヒノキ属 Chamaecyparis(扁柏屬)
   イトスギ属 Cupressus(柏木屬)
約20種
   フクケンハク属(フッケンヒバ属) Fokienia(福建柏屬)2種
     F. hodginsii(福建柏・建柏・滇柏・廣柏)
 『雲南の植物Ⅱ』44・『中国本草図録』Ⅹ/4546
   ネズミサシ属 Juniperus(刺柏屬)
         
ビャクシン節 Sect.Sabina を別属 Sabina とすることがある
   ビャクシン属 Sabina(圓柏屬)
 ネズミサシ属に入れることがある
   ネズコ属
(クロベ属) Thuja(崖柏屬) コノテガシワを別属 Biota とすることがある
   アスナロ属 Thujopsis 
 ヒノキ属 Chamaecyparis(扁柏屬)には、東アジア・北アメリカに約6種がある。
   ベニヒ C. formosensis(紅檜・薄皮・薄皮松羅・松梧・水古杉・臺灣扁柏)
臺灣産
   ローソンヒノキ
(グラントヒノキ・ベイヒ) C. lawsoniana(E.Lawson cypress) 合衆国産
   アラスカヒノキ
(ベイヒバ・アメリカヒノキ) C. nootkatensis(E.Nootka cypress)
         
北アメリカ北西部太平洋沿岸地域産
   ヒノキ C. obtusa(日本扁柏)
     var. formosana(臺灣扁柏)
   サワラ C. pisifera(日本花柏)
   ヌマヒノキ C. thyoides USA西部乃至南部の湿地に分布 
 ヒノキ C. obtusa(日本扁柏)には、次のような変種・品種がある。
   チャボヒバ
(カマクラヒバ) var. breviramea
     オウゴンチャボヒバ
(オウゴンヒバ・キンヒバ) f. aurea
   クジャクヒバ var. filicoides
     オウゴンヒバ f. aurea
   スイリュウヒバ var. pendula 
枝葉が枝垂れる
   カナアミヒバ
   ホウオウヒバ
(シシンデン)
   タイワンヒノキ var. formosana(C.taiwanensis;臺灣扁柏・黄檜・厚殻)
臺灣産 
 ヒノキとサワラの見分け方。
分布 ヒノキは、福島県以南~九州。
サワラは、岩手県以南~九州。
利用 サワラは、庭園樹・生垣・公園樹として植えられる。
樹形 ヒノキは、密な卵形の樹冠。
サワラは、隙間の多い円錐形の樹冠。
ヒノキは、樹皮は赤褐色で、やや幅広く縦に裂けてはげる。
サワラは、樹皮はやや灰色を帯びた赤褐色で、縦に薄くはがれる。
ヒノキは、細く水平に開出。
サワラは、やや下垂する。 
ヒノキは、鱗片状で交互に対生し、先は鈍い。
サワラは、鱗片状で、ヒノキより小さく、先が尖る。
葉の裏 ヒノキは、気孔線は白いY字型。
サワラは、白色気孔線の幅が広く、X字型。
 真木(まき)の語は、古くはスギ・ヒノキなどの常緑針葉樹を指した。マキを見よ。
 漢語の柏(ハク;bo,bai)は、広くはヒノキ科の植物の総称、狭くはコノテガシワ
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)に、柏は「和名加閉」と、檜は「和名非」と。
 日本特産種。サワラほどではないが、多くの園芸品種が作られている。
 古くから有用な材の代表の一であり、スギ・ヒノキ・マキ・クスは素戔鳴命(すさのをのみこと)の毛から成ったという(『日本書紀』巻1「材木の起源」)
 木曽のヒノキは、日本三大美林の一。
 
なお、三大美林とは、青森のヒバ(ヒノキアスナロ)林・秋田のスギ林・木曽のヒノキ林を言う。
 その材は、平安時代から知られたが、江戸時代に入り、駿府・江戸の築城に伴い、17世紀前半には大量に伐採・供給され、名声が上った。1665年には尾張藩直轄の保護林となり、明治には国に帰した。
 いわゆる木曽の五木とは、ヒノキ・サワラ・ネズコ
(クロベ)アスヒ(アスナロ)コウヤマキを言い、18世紀に指定され、保護育成の対象とされたもの。ただしその首はヒノキであった。
 『万葉集』に、

   動
(な)る神の 音のみ聞きし 巻向(まきむく)の 檜原の山を 今日見つるかも
     
(7/1092,読人知らず)
   巻向の 檜原に立てる 春霞 おぼにし思はば なづみ来
(こ)めやも (10/1813,読人知らず)
   巻向の 檜原も未だ 雲居ねば 子松が末
(うれ)ゆ 沫雪流る (10/2314,読人知らず)
   古に 有りけむ人も 吾が如か みわ
(三輪)の檜原に 挿頭(かざし)折りけむ
     
(7/1118,読み人知らず)
   往く川の 過ぎにし人の 手折らねば 裏ぶれて立てり みわの檜原は
     
 (7/1119,読み人知らず)
   三諸つく 三輪山見れば 隠口
(こもりく)の 始瀬(はつせ)の檜原 念ほゆるかも
     
(7/1093,柿本人麻呂)

   斧取りて 丹生の檜山の 木折
(きこ)り来て 筏に作り ・・・
     
(13/3232,読人知らず)
   ・・・
   磐走る 淡海の国の 衣手の 田上山の 真木さく 檜
(ひ)の妻手を ・・・
     
(1/50,読人知らず。妻手は 角材)
   さしなべに 湯わかせ子ども 櫟津
(いちひつ)
     檜橋
(ひはし)よりこむ 狐にあ(浴)むさむ (16/3824,長忌寸意吉麿)
 
 清少納言『枕草子』第40段「花の木ならぬは」に、「ひの木、またけぢか(気近)からぬものなれど、三葉四葉の殿づくり(「この殿は むべも富みけり さき草の 三葉四葉に 殿造りせり」催馬楽)もをかし。五月に雨の声をまなぶらん(方干「長潭五月雨氷気を含み、孤檜終宵雨声を学ぶ」)もあはれなり。」と。

 西行
(1118-1190)『山家集』に、

   ゆふ
(夕)されや ひはら(桧原)のみねを こえ行ば
     すごくきこゆる やまばと
(山鳩)のこゑ
 

   いかめしき音や霰の檜木笠 
(芭蕉,1644-1694)
 
 
   くろぐろと檜
(ひ)のしげりたる奥山はあはれおぼろに雨ふりしきる
     
(1936木曽「氷ケ瀬」,斎藤茂吉『暁紅』)
 



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