すぎ (杉) 

学名  Cryptomeria japonica
日本名  スギ
科名(日本名)  スギ科
  日本語別名  スギノキ、オモテスギ、ヨシノスギ、マキ
漢名  日本柳杉(ニホンリュウサン,ribenliushan)
科名(漢名)  杉科
  漢語別名  
英名  Japanese cedar
2006/10/29 宮崎神宮

2007/04/30 あきる野市留原 2007/05/04 厚木市七沢


 裸子植物については、裸子植物を見よ。
 スギ科 Taxodiaceae(杉科)には、9属約13種がある。
   スギ属 Cryptomeria(柳杉屬)
   コウヨウザン属 Cunninghamia(杉木屬)
   スイショウ属 Glyptostrobus(水松屬)
   メタセコイア属
(アケボノスギ属) Metasequoia(水杉屬)
   セコイア属 Sequoia(北美紅杉屬)
 1種
     セコイア
(アメリカスギ・セコイアメスギ・イチイモドキ) S. sempervirens
        (北美紅杉;E.Redwood)
 合衆国カリフォルニアのごく一部に遺存する
   セコイアオスギ属 Sequoiadendron 
1種
     セコイアオスギ
(セコイアデンドロン) S. giganteum(E.Mammoth tree)
   タイワンスギ属 Taiwania(臺杉屬) 
1種
     タイワンスギ
(アサン) T. cryptomerioides(臺杉・臺灣杉・亞杉・松蘿)
     T. flousiana(禿杉)
 湖北・貴州・雲南産、通常タイワンスギの変種とする
   ヌマスギ属 Taxodium(落羽杉屬) 
 スギ属 Cryptomeria(柳杉屬)には、1-2種がある。
   カワイスギ C. fortunei(C.japonica var. sinensis;柳杉・長葉柳杉・長葉孔雀杉)
        
 浙江天目山・福建北部・江西廬山に分布。『雲南の植物U』42・『中国本草図録』V/1062
   スギ C. japonica(日本柳杉・杉仔・杉;E.Japanese ceder)
     オモテスギ var. japonica
     アシウスギ
(ウラスギ・キタヤマダイスギ・ダイスギ) var. radicans 日本の日本海側に分布
     エンコウスギ var. araucarioides 
 スギは、かつては一属一種、日本の特産と考えられたが、近年 中国の華中(浙江天目山・江西廬山・福建北部など)に自生品が見出された。これを日本のスギの変種カワイスギ C.japonica var. sinensis、或は別種の C.fortunei とする
 漢名を杉(サン,shan)・杉木(サンボク,shanmu)というものはコウヨウザン(広葉杉)、スギ科には属するが 別属別種である。
 和名スギは、「直(す)ぐ木」の転訛、樹幹がまっすぐに立つことによるという。
 なお、真木は、古くはスギ・ヒノキなどの常緑針葉樹を指した。マキを見よ。
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)杉に「和名須木」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』
(1806)30杉に、「マキ古名 スギ和名鈔」と。
 青森県から屋久島まで、点々と天然分布する。
 ただし、かなり古くから植栽されてきたので、真の自生地を確認するのは困難という。中では、秋田県米代川流域
・鹿児島県屋久島(屋久杉・縄文杉・大王杉)が有名。
 秋田のスギは、日本三大美林の一。
 
なお、三大美林とは、青森のヒバ(ヒノキアスナロ)林・秋田のスギ林・木曽のヒノキ林を言う。
 屋久島のスギは一般に屋久杉と呼ばれているが、現地では、樹齢1000年以上のものを屋久杉、以下のものを小杉と呼んで区別する。その屋久杉は、今日でも10000本はあるだろうと推測されている。現存する最古の屋久杉は、胸高周囲16m、樹齢3500年といわれる。
 鳥浜遺跡(福井県三方町にある縄文時代の遺跡)の土中の花粉分析によれば、その地は6500年前からは照葉樹林であったが、5700年前ころからスギ林が広がったという。
 日本のスギが中国に入ったのは 約千年前、以後各地で植林されているという。中国産という柳杉については、上の辨を見よ。
 木材として軽く、まっすぐなこと、木目の美しさなどから、建築材として用いる。また、樹皮は屋根などに用いる。きわめて古い時代から植林され、今日でも造林面積の40%を占める。
 静岡県登呂遺跡から出土した、建築材から農業用具に至る多量の木製品は、ほとんどすべてがスギの材であるという。
 神話伝説では、スギ・ヒノキ・マキ・クスは素戔鳴命(すさのをのみこと)の毛から成ったという(『日本書紀』巻1「材木の起源」)
 古代日本では、常緑樹として神聖視され、三輪山を始め、各地の神社に杉の木立が形成された。日光街道(栃木県)の並木も 杉並木。
 『万葉集』に詠われる歌は、文藝譜を見よ。代表的なものは、

   神名備の 三諸の山に いつく杉 思ひ過ぎめや 蘿
(こけ)(む)すまでに
      
(13/3228,読人知らず。蘿はここではサルオガセ)
   味酒(うまさけ)を 三輪の祝(はふり)が 忌(いは)ふ杉
     手触れし罪か 君に遇ひ難き
 (4/712,丹波大女娘子)
   石上 ふるの神杉 神さびし 恋をも我は 更に為るかも
(11/2417,読人知らず)
     
(石神神宮(奈良県天理市)の布留の神杉は、5世紀末頃の顕宗天皇の歌にも歌われる)
   古の 人の殖ゑけむ 杉が枝に 霞たなびく 春は来ぬらし
(10/1814,読人知らず)
   わがせこ(背子)を やまとへや(遣)りて まつしだす
     あしがらやま(足柄山)の すぎ(杉)の木のま(間) (14/3363,読人知らず)
 
 『新古今集』に、

   聞かずともここをせにせん郭公
(ほととぎす)山田の原の杉の群立
      
(西行法師; 山田の原は伊勢)
   初雪のふるの神杉うづもれて標
(しめ)ゆふのべは冬ごもりせり (藤原長方)
   まつ人の麓の道は断えぬらん軒ばの杉に雪おもるなり
      
(藤原定家; 「山家の雪」をよんで)
 

   はざまなる杉の大樹の下闇にゆふこがらしは葉おとしやまず
     
(1915,斉藤茂吉『あらたま』)
   山ふかき杉生(すぎふ)のなかにおちたまる杉の落葉はいまだひろはず
   山がひの空つたふ日よあるときは杉の根方まで光さしきぬ
     (1927「信濃行」,斉藤茂吉『ともしび』)
   きさらぎのはだれのうへに見つつゆく杉の青き葉おちてゐたるを
   海を吹く風をいたみとさかさまに杉の葉ちりぬ春の斑雪(はだれ)に
     
(1931「瑞巌寺」,斉藤茂吉『石泉』)
   ふる雪の降りみだるれば岡の上の杉の木立もおぼろになりぬ
   雪の中より小杉ひともと出でてをり或る時は生
(しやう)あるごとくうごく
     
(1946,齋藤茂吉『白き山』) 
 
 奈良県・京都府・三重県の県木。

2006/01/29 埼玉県長瀞町



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