(すさのおのみことは)又食物(をしもの)を大気津比売(おほげつひめ)に乞ひき。爾(ここ)に大気都比売、鼻口及尻より、種種(くさぐさ)の味物(ためつもの)を取り出して、種種作り具へて進(たてまつ)る時に、速須佐之男命(はやすさのをのみこと)、其の態(しわざ)を立ち伺ひて、穢汚(けが)して奉進(たてまつ)ると為(おも)ひて、乃ち其の大宜津比売神を殺しき。故(かれ)、殺さえし神の身に生れる物は、頭に蚕生り、二つの目に稲種(いなだね)生り、二つの耳に粟生り、鼻に小豆生り、陰(ほと)に麥生り、尻に大豆生りき。故是に神産巣日御祖命(かみむすひのみおやのみこと)、茲(こ)れを取らしめて、種と成しき。 |