定之方中
(ていしほうちゅう)

作品名  定之方中
収載書名 『詩経』「国風・鄘風」 
訳者名  白川静
訳書名 『詩経国風』(『東洋文庫』518)
刊行年代  1990
 その他  衛が都を楚丘に遷し(648B.C.)、都作りするさまを歌う。
 
定之方中
作于楚宮
揆之以日
作于楚室
樹之榛栗
椅桐梓漆
爰伐琴瑟

升彼虚矣
以望楚矣
望楚与堂
景山与京
降観于桑
卜云其吉
終然允臧

霊雨既零
命彼倌人
星言夙駕
説于桑田
匪直也人
秉心塞淵
騋牝三千
 
 
定の方
(まさ)に中(ちゆう)するとき
楚宮を作る
之を揆
(はか)るに日を以てし
楚室を作る
之に榛
(しん)(りつ)
(い)(とう)(し)(しつ)を樹(う)
(ここ)に伐(き)りて琴瑟(きんしつ)とす

彼の虚に升りて
以て楚を望む
楚と堂とを望む
景山と京と
降りて桑を観
(み)
卜するに云ふ其れ吉なりと
終然として允
(まこと)に臧(よ)

霊雨既に零
(お)
彼の倌人
(くわんじん)に命じ
星みて言
(ここ)に夙(つと)に駕し
桑田に説
(やど)
(か)の直なる人
心を秉
(と)ること塞淵(そくえん)
騋牝
(らいびん)三千あり
 
 
定星が丁度ま南
楚宮を作ります
日かげを正して
楚室を作ります
それに榛栗をうえ
椅・桐・梓・漆も
さて琴瑟を作りましょう

小高い丘から
楚丘を望みます
楚丘と堂丘と
景山と京も
桑植えるのに
よい地を卜し
すべてがよかつた

よいおしめりです
車を出させて
夜をこめて出かけ
桑畑で寝る
君は心直く
心広やかなお方
馬がいくらでもふえるのです
 
 詠いこまれた花  ハシバミ(榛)、クリ(栗)、シマギリ(椅)、アオギリ(桐)、キササゲ(梓)、ウルシ(漆)、クワ(桑)



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