あおぎり (青桐) 

学名  Firmiana simplex
日本名  アオギリ
科名(日本名)  アオギリ科
  日本語別名  
漢名  梧桐(ゴトウ,wutong) 
科名(漢名)  梧桐科
  漢語別名  靑桐(セイトウ,qingtong)、櫬(シン,chen)
英名  Chinese parasol tree, Phoenix tree

2006/02/18 野川公園

2007/04/29 野川公園

2006/05/11 野川公園

2005/07/11   三芳町竹間沢
2007/07/26 野川公園自然観察園

2006/08/13 神代植物公園

2005/09/03  野川公園

2005/10/15  同上


 アオギリ科 Sterculiaceae(梧桐科)には、世界の熱帯を中心に約68-72属1000-1500種がある。
   トゲアオイモドキ属 Abroma(昂天蓮屬) 
2種
     トゲアオイモドキ A. angusta(昂天蓮・水麻・假芙蓉)
   Buettneria(刺果藤屬)
     B. aspera(刺果藤・牛蹄麻・鷄冠麻)
   コラノキ属 Cola 
熱帯アフリカに約125種
     ヒメコラノキ C. acuminata
     コラノキ C. nitida 
清涼飲料水の原料
   Commersonia(山麻樹屬)
     C. batramia(山麻樹・大葉麻木・紅山麻)
   Craigia(滇桐屬)
   Eriolaena(火繩樹屬)
     E. malvacea(火繩樹)
   アオギリ属 Firmiana(梧桐屬)
   ヤンバルゴマ属 Helicteres(山芝麻屬)
 アジア・アメリカの熱帯に約40種
     ヤンバルゴマ H. angustifolia(山芝麻・山油麻・坡油麻)
     H. hirsuta(雁婆麻・坡麻・坡油麻)
     H. isora(扭蒴山芝麻・坡片麻・鞭龍・火索麻)
         
中国(南部)乃至ジャワ島産。『週刊朝日百科 植物の世界』7-111
     H. lanceolata(劔葉山芝麻・萬頭果・坡芝麻)
   サキシマスオウノキ属 Heritiera(銀葉樹屬) 
約30種
     H. angustata(長柄銀葉樹)
     サキシマスオウノキ H. littoralis(銀葉樹)
   フウセンアカメガシワ属 Kleinhovia(鷓鴣麻屬)
 1属1種
     フウセンアカメガシワ K. hospita(鷓鴣麻)
   ノジアオイ属 Melochia(馬松子屬)
 熱帯に約50種
     キダチノジアオイ M. compacta
     ノジアオイ M. corchorifolia(馬松子・野路葵)
     M. umbellata
インド乃至マレー産
   Paradombeya(平當樹屬)
   ゴジカ属 Pentapetes(午時花屬)
   シマウラジロノキ属 Pterospermum(翅子樹屬)
     モミジバウラジロノキ P. acerifolium 
ジャワ乃至インド産
     シマウラジロノキ P. formosanum 
臺灣産
     P. heterophyllum(翻白葉樹・半楓荷・米紙)
     P. lanceaefolium(翅子樹)
     P. niveum(臺灣翅子樹)
   チャセンギリ属 Reevesia(梭羅樹屬)
臺灣乃至ヒマラヤに3-4種
     R. longipetiolata(長柄梭羅樹・細棉木・硬殻果樹)
     R. pebescens(梭羅樹)
中国(南部)乃至ヒマラヤ産
     R. rotundifolia(圓葉梭羅樹)
     R. thyrsoidea(兩廣梭羅樹・牛關麻・細葉馬甲)
   Scaphium
     S. affine(大海子)
ビルマ・マレーシア産、薬用
   ピンポンノキ属 Sterculia(蘋婆屬)
 熱帯に約200種
     ヤツデアオギリ S. foetida 
旧世界の熱帯産
     S. lanceolata(假蘋婆・鷄冠皮・山木棉)
     ピンポンノキ S. nobilis(蘋婆・七姐果;E.Pimpon)
         
中国(南部)・インドシナ産。和名のピンポンは漢名頻婆の音の転訛。
     S. pexa(棉毛蘋婆・家麻樹・九層皮)
     S. scaphigera(胖大海)インド・東南アジアの熱帯産。
         
種子(大海・安南子・大發・大洞果)を薬用、『中薬志Ⅱ』pp.307-309
   Tarrietia(蝴蝶樹屬)
     T. parvifolia(蝴蝶樹)
   カカオノキ属 Theobroma
   Waltheria(蛇婆子屬)
     W. americana(蛇婆子) 
 アオギリ属 Firmiana(梧桐屬)には、アジア・アフリカの熱帯・亜熱帯に約10種がある。
   F. colorata(火桐) 『雲南の植物Ⅲ』99
   F. simplex(F.platanifolia)
     アオギリ var. tomentosa(梧桐・靑桐・桐麻) 
葉の裏に短毛を密生する 
     ケナシアオギリ
(イツサキ) var. simplex 葉の裏に毛が無い 
 和名は、葉がキリに似て 幹があおいことから。
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)に「陶隠居本草注云、桐有四種、靑桐梧桐崗桐椅桐」「和名皆木里」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』
(1806)31梧桐に、「アヲギリ アヤギリ アヲニヨロリ」と。
 古来中国では、桐の字でキリ・アオギリなどを総称し、必要な場合にはキリを白桐、アオギリを梧桐・青桐といって区別した。
 『爾雅』釈木に、「櫬(シン,chen)、梧。〔今の梧桐なり。〕」と、また「榮(エイ,rong)、桐木。〔則ち梧桐なり。〕」と。
 ただし、榮はキリであり、郭璞の注は誤りとする。
 狭義のアオギリ var.tomentosa は中国原産。日本には奈良時代に渡来したといわれ、公園樹・街路樹などとしてよく植えられ、しばしば野生化している。
 日本に自生するものはケナシアオギリ var. simplex。日本(暖地)・臺灣・中国・インドシナに分布。伊豆下田の白浜神社の群生は、野生の北限として天然記念物に指定。
 種子は蛋白質・脂肪に富み、梧桐子と呼んで薬用・食用にする。『中薬志Ⅱ』pp.397-399
 第二次世界大戦中の日本では、コーヒー豆の代用にした。
 中国では、梧桐は鳳凰の棲むところである。
 『詩経』大雅の巻阿に、「鳳凰鳴けり、彼の高き岡に。梧桐生ず、彼の朝陽に」とあり、『荘子』秋水篇に「夫の鵷鶵
(エンスウ,鳳凰の一種)、南海を発して北海に飛ぶ。梧桐に非ざれば止まらず、練実(竹の実)に非ざれば食わず、醴泉(甘い味のする泉の水)に非ざれば飲まず」と。のちには鳳凰は「梧桐にあらざれば栖まず、竹実にあらざれば食わず」の諺を生んだ(『晋書』14・苻堅(在位351-355)載記下、『魏書』21下・彭城王勰(471-508)伝)
 
したがって、日本でキリに鳳凰を排する(皇室では衣裳などの文様や紋章、身近なところでは たとえば花札)のは誤りだが、すでに清少納言『枕草子』に誤解が見られる。
 後には優れた人物に譬え、日日その幹を洗い拭うとよい、とされた(『長物志』)
 倪瓉{ゲイサン}(1301-1374)は極度の潔癖症で、閣の前に植えた梧桐を、百日ごとに人に洗わせたという
(顧元慶『雲林遺事』)
 梧桐は月の正閏を知り、立秋の日に初めて葉を一枚墜すといい、「梧桐一葉落ちて、天下尽く秋を知る」の語があった(王象晋『群芳譜』)
 『楚辞』「九弁」に「白露 既に百草に下れば、奄
(にわか)にして此の梧楸(ごしゅう)を離披(りひ)す」とあり、朱熹注に「梧桐と楸梓(しゅうし,キササゲ)とは、皆 早く凋む」と。
 夏に涼しい木陰を提供し、葉落ちては秋を告げる樹木として、しばしば園林に植える。
 賈思勰『斉民要術』
(530-550)巻5に「種槐・柳・楸・梓・梧・柞」が載る。

 代表的な絵画作品に、次のようなものがある。
 アオギリそのものを花卉画の題材として画いたものとして、
   ○明・徐渭(1521-1593)「雑花図」巻 (南京博物院蔵)

 アオギリに関わる故事を画いたものとして、
   ○明・崔子忠(?-1644)「雲林洗桐図」軸 (台北/国立故宮博物院蔵)

 アオギリを画面の構成要素の一として画いたものは多数あるが、その一例として、
   ○明・仇英「桐陰清話図」軸 (台北/国立故宮博物院蔵)

 日本では、『万葉集』に 梧桐で作った日本琴の記事が出る(5/810)。しかし、これはキリの漢名を梧桐と誤解したものであって、実際にはキリであったであろう。
 「四月花をひらき、六月に実を結び、秋熟して、生(なま)ながらも食し、炒りても食すべし。めづらしき菓子なり。
  又梧桐月を知ると云ふ事あり。閏月まで知る物なり。下よりかぞへて十二葉あり。一方に六葉づゝ也。閏月ある年は十三葉なり。小き所則ち閏としるべし。又立秋の日をも知る。其日に至りて一葉先づ落つ。花もきれいに見事なる物にて、庭にうへ置きても愛すべき木なり。無類なる霊木なり」(宮崎安貞『農業全書』1697)。

 吾輩も彼等の變化なき雜談を終日聞かねばならぬ義務もないから、失敬して庭へ蟷螂(かまきり)を探しに出た。梧桐(あをぎり)の綠を綴る間から西に傾く日が斑(まだ)らに洩れて、幹にはつくつく法師(ぼふし)が懸命にないて居る。晚はことによると一雨かゝるかもしれない。(夏目漱石『吾輩は猫である』) 


跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
跡見群芳譜トップ モクゲンジ イチイ アブラチャン タチバナ イロハカエデ 樹木譜index