辨 |
ガマズミ科 Viburnaceae(莢蒾 jiámí 科)には、4-5属 約200-230種がある。
レンプクソウ属 Adoxa(五福花屬) 北半球温帯に3-4種
incl. Tetradoxa
A. corydalifolia(Sinadoxa corydalifolia;華福花) 靑海産
A. moschatellina
レンプクソウ(ゴリンバナ) var. moschatellina(var.japonica;五福花)
北海道・本州(近畿以東)・北九州・朝鮮・遼寧・黑龍江・華北・西北・西南から北半球温帯に産
シマレンプクソウ var.binsularis(A.insularis) 千島産
A. omeiensis(Tetradoxa omeiensis;四福花) 四川産
ニワトコ属 Sambucus(接骨木屬)
ガマズミ属 Viburnum(莢蒾屬)
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ガマズミ属 Viburnum(莢蒾 jiámí 屬)には、世界に約160-200種がある。
V. atrocyaneum(藍果黑莢蒾) 雲南・アッサム・ミャンマー産 『雲南の植物Ⅰ』217
ニイタカガマズミ V. betulifolium(V.morrisonense;樺葉莢蒾・紅對節子)
臺灣・陝甘・四川・貴州・雲南・チベット産
『雲南の植物Ⅰ』217・『中国本草図録』Ⅵ/2848
シマガマズミ V. brachyandrum(短序莢蒾)
カラスガマズミ V. burejaeticum(暖木條莢蒾) 朝鮮・モンゴリア・極東ロシア産
チョウジガマズミ V. carlesii
チョウジガマズミ var. bitchiuensis(紅蕾莢蒾)
オオチョウジガマズミ var. carlesii 対馬・朝鮮産
V. chingii(漾濞莢蒾) 雲南・インドシナ産 『雲南の植物Ⅰ』217
V. chinshanense(金佛山莢蒾) 陝甘・四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅵ/2849
V. cylindricum(水紅木・吊白葉) 甘肅・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・インドシナ・ヒマラヤ産
『雲南の植物Ⅱ』218・『中国本草図録』Ⅶ/3349
ガマズミ V. dilatatum(莢蒾)
V. erosum
コバノガマズミ var. erosum(var.punctatum, V.ichangense, V.matsudae;宜昌莢蒾)
サイゴクガマズミ var. taquetii(裂葉宜昌莢蒾) 日本・朝鮮・山東産
イヌガマズミ var. vegetum
V. erubescens(紅莢蒾) チベット・ヒマラヤ産 『原色高山植物大図鑑』106
ニオイガマズミ V, farreri(香莢蒾)
V. foetidum
var. ceanothoides(珍珠莢蒾・山五味子・老米酒樹)
『中国本草図録』Ⅵ/2850 『全国中草葯匯編』下/237-238
タイワンヨウゾメ var. rectangulatum(直角莢蒾・酸五味子)『中国本草図録』Ⅵ/2851
V. fordiae(南方莢蒾) 華東・湖南・兩廣・雲貴産 『中国本草図録』Ⅹ/4872
var. ceanothoides(珍珠莢蒾) 『雲南の植物Ⅱ』218
タカサゴガマズミ V. formosanum(V.luzonicum var.formosanum;臺中莢蒾) 臺灣産
オオカメノキ(ムシカリ) V. furcatum
V. glomeratum(聚花莢蒾) 河南・陝甘・寧夏・湖北・四川・雲南産 『中国本草図録』Ⅵ/2852
ニイタカホソバガマズミ v. integrifolium(V.foetidum var.integrifolium)
V. japonicum
ハクサンボク var. japonicum(var.fruticosum;日本莢蒾)
伊豆半島・伊豆諸島・愛知・山口・九州・琉球・朝鮮・臺灣産
トキワガマズミ var. boninsimense(V.boninsimense) 小笠原産
ヒロハガマズミ V. koreanum(朝鮮莢蒾) 北海道・朝鮮・吉林産
V. lutescens(淡黃莢蒾・帶子樹) 両広・インドシナ・マレシア産 『中国本草図録』Ⅴ/2330
ルソンガマズミ V. luzonicum(呂宋莢蒾) 臺灣・福建・浙江・江西・兩廣・雲南・インドシナ・フィリピン産
V. macrocephalum(繡毬・大繡毬) 園藝種 『中国本草図録』Ⅸ/4348
f. keteleeri(八仙花・瓊花・木繡毬)
イワガマズミ V. mongolicum(蒙古莢蒾) 『中国本草図録』Ⅳ/1870
河北・山西・西北・モンゴリア・ザバイカル産
V. nervosum(V.cordifolium;顯脈莢蒾・心葉莢蒾) 『雲南の植物Ⅰ』218・『中国本草図録』Ⅶ/3350
湖南・廣西・四川・雲南・ヒマラヤ・インドシナ産
V. odoratissimum
タイワンサンゴジュ var. odoratissimum(珊瑚樹・早禾樹)
臺灣・福建・湖南・兩廣・アッサム・インドシナ・マレシア産
『雲南の植物Ⅲ』244・『中国本草図録』Ⅴ/2331
ヤドリサンゴジュ var. arboricola(V.arboricola;臺灣珊瑚樹)
サンゴジュ var. awabuki(V.awabuki;日本珊瑚樹・矮大葉珊瑚樹)
V. opulus
セイヨウカンボク var. opulus(歐洲莢蒾)
カンボク var. sargentii(var.calvescens, V.sargentii;
鷄樹條莢蒾・天目瓊花・山竹子)『中国本草図録』Ⅲ/1374
ヒメガマズミ V. parvifolium(小葉莢蒾) 臺灣産
オトコヨウゾメ V. phlebotrichum(毛脈莢蒾)
V. plicatum
タイワンヤブデマリ var. formosanum
オオデマリ var. plicatum(粉團・雪球莢蒾)
オオデマリ f. plicatum
ケナシヤブデマリ f. glabrum
ヤブデマリ var. tomentosum(蝴蝶莢蒾)
コヤブデマリ var. parvifolium 静岡御殿場産
オイワケガマズミ V. propinquum(球核莢蒾)
臺灣・福建・浙江・江西・陝甘・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・ルソン島産
V. rhytidophyllum(皺葉莢蒾・枇杷葉莢蒾) 陝西・湖北・四川・貴州産 『中国本草図録』Ⅵ/2853
V. schensianum(陝西莢蒾) 華北・陝甘・山東・江蘇・湖北・四川産 『中国本草図録』Ⅵ/2854
subsp. chekiangense(浙江莢蒾) 浙江産
V. sempervirens(常綠莢蒾・堅莢蒾) 江西・廣東産 『中国本草図録』Ⅶ/3350
V. setigerum(V.theiferum;茶莢蒾) 華東・湖北・四川産 葉は茶として飲用
V. sieboldii
ゴマキ var. sieboldii(櫻葉莢蒾)
ヒロハゴマキ(マルバゴマキ) var. obovatifolium
ゴモジュ V. suspensum(琉球莢蒾)
コニシガマズミ V. sympodiale(V.furcatum var.melanophyllum, V.melanophyllum;
合軸莢蒾)
タイトウガマズミ V. taitoense(臺東莢蒾)
オオシマガマズミ V. tashiroi(V.luzonicum var.tashiroi, V.mullaha var.tashiroi)
奄美産
V. tinus(地中海莢蒾)
アメリカカンボク V. trilobum
ヤマシグレ V. urceolatum(V.taiwanianum;壺花莢蒾・臺灣莢蒾)
本州(福島以南)・四国・九州・臺灣・福建・浙江・江西・湖南・兩廣・雲貴産
V. utile(烟管莢蒾) 陝西・兩湖・四川・貴州産 『全国中草葯匯編』上/854
V. wrightii
ミヤマガマズミ var. wrightii(var lucidum;浙皖莢蒾)
オオミヤマガマズミ var. stipellatum(var.sylvestre) 北海道・本州・四国・九州産
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訓 |
和名の由来は不明。ズミは酸っぱい実とする説、染めの意とする説などがある。
ネソについては、マンサクを見よ。ムシカリについては、ムシカリを見よ。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)31に、莢蒾は「ガマズミ ズミ紀州 カメガラ伯州 ムシカリ尾州 カザメシ羽州 カマトウシ薩州 イタチノケタガヘシ」と。 |
説 |
北海道(西南部)・本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・華東・河南・華北・陝西・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南に分布。 |
誌 |
赤熟した果実は食用にし、酒を作る。
また、赤い実は染料として用いたという説がある。すなわちズミ(スミ)・ゾメ(ソメ)・シブレ(シブ)は、いずれも染める意である、同属のミヤマシグレも深山シブレの転訛であろう、と(武田久吉『民俗と植物』)。 |
『万葉集』巻7/1344に、次の歌が載る。
真鳥(まとり)住む 卯名手(うなて)の神社(もり)の 菅(すが)の根を
衣に書き付け 服(き)せむ児(こ)もがも
かつて牧野富太郎は、この「根」は「実」の誤りであり、「菅」とはガマズミである、と唱えたことがある(『植物記』)。 |