ばなな (バナナ) 

学名  Musa × sapientum
日本名  バナナ
科名(日本名)  バショウ科
  日本語別名  ミバショウ(実芭蕉)
漢名  香蕉(コウショウ,xiāngjiāo)
科名(漢名)  芭蕉(バショウ,bājiāo)科
  漢語別名  甘蕉(カンショウ,gānjiāo)、龍溪蕉(リョウケイショウ,longxijiao)、天寶蕉(テンポウショウ,tianbaojiao)、矮脚香蕉(ワイキャクコウショウ,aijiaoxiangjiao)
英名  Banana
2006/04/16 東京都 薬用植物園(温室)
   「Musa sapientum L.」 バナナ」 マライ半島原産」 果実=生食、加工用」 と表示

 バナナの成立過程や分類については、専門書に譲る。下の「説」に ほんの一部を引いた。
 バショウ属 Musa(芭蕉 bājiāo 屬)については、バショウ属を見よ。
 漢名・属名・英名について、バショウを見よ。
 数千年前に成立した、最も古い栽培植物の一。
 かつ、今日の世界で最も生産量の多い果物。  
 (生食用・調理用を問わず)食用になるバナナは、次の内のいずれかである。
   野生種マレーヤマバショウ M.acuminata(AA)の改良品種 M.acuminata(AA,AAA,AAAA)
   野生種マレーヤマバショウ M.acuminata(AA)と、野生種リュウキュウバショウ
      M.balbisiana(BB)の雑種(AB,AAB,ABB,ABBB) 
 野性種マレーヤマバショウ M. acuminata(AA,阿加蕉)は、マレーシア西部からインド東部に分布。実は大きく美味、香も良い。ただしアズキ大の固い種子が詰っている。
 かつてその中から単為結実による種なしのものが現れて作物化され、今日の生食用のバナナとなった。ニューギニアの現地人は改良されたAAを栽培している。それに対し、中南米で企業栽培する品種 Gros Michel や、日本でいう台湾バナナなど、今日の生食用バナナの主流はAAAである。なお、ハワイには更なる4倍体AAAAがある。
 野生種リュウキュウバショウ M.balbisiana(BB,倫阿蕉)は、フィリピン・インドに分布。実は食用にならない。
 栽培段階にまで改良された M.acuminata(AA)と出あって様々な雑種が出現した。それらの雑種群は、今日でも世界の熱帯で多く栽培されている。
 その中でも、M.×paradisiaca(M.×sapientum, AAB, E.French plantain,大蕉・芭蕉)と M.×corniculata(AAB, E.Horn plantain)は、澱粉質が多いのでリョウリバナナ(E.Plantain)と呼び、加熱調理して食用にする。
 (なお、リンネは料理用バナナに対して M.paradisiaca、生食用バナナに対して M.sapientum と名づけたが、今日では M.×sapientum は M.×paradisiaca のシノニムとして扱われている。)
 1979年の統計では、世界のバナナの生産量は約3,900万トン、リョウリバナナの生産量は約2,000万トン。
 バナナは、日本では、沖縄・小笠原などで栽培。
 実を食用とするほか、繊維を取って芭蕉布を織り、葉を包装に用い、雄花・若芽を蔬菜とし、根茎を家畜の飼料とする。
 「バナナは全世界的に見ると、果物の中でいちばん重要なものだ。その生産量はあらゆる果物の中でいちばん多い。リンゴやブドウ、柑橘類よりバナナのほうが多いらしい。多いらしいというのは、東南アジア、アフリカ、中米などで原住民の自家消費が圧倒的な量を占めるからだ。統計なんてそこにはない。簡単な推算をしてみた結果こうなるわけだ。けれどもバナナは果物といっては都合が悪いかもしれない。バナナの中には煮たり焼いたりして食べる、イモのように使用される種類がそうとうある。バナナはおそろしく多様性に富んでいる。」(中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』1966) 


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