らん (蘭)
辨 ラン科
訓 漢名の蘭
漢名の蕙
和名の蘭
誌
辨 |
ラン科 Orchidaceae(蘭 lán 科)には、世界に約860属 約26,000種がある。
(日本には約86属 約320種が、中国には約150属 約1000種がある。)
ここでは、中間分類に関らず、主要な属をアルファベット順に一覧する。
Acampe(脆花屬)
エンレイショウキラン属 Acanthephippium(壇花蘭屬)
熱帯アジア・メラネシアに約15種
エンレイショウキラン A. pictum(臺灣壇花蘭)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
タイワンショウキランA. sylhetense(壇花蘭)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
Aceratorchis(無距蘭屬)
フイリピンナゴラン属 Aerides(指甲蘭屬)
コバナオサラン属 Aeridostachya(氣穗蘭屬)
ヌカボラン属 Agrostophyllum(禾葉蘭屬)
ヒナラン属 Amitostigma(無柱蘭屬)
ミスズラン属 Androcorys(兜蕊蘭屬) 日本・臺灣・中国・ヒマラヤに約10種
A. ophioglossoides(兜蕊蘭)
ミスズラン A. pusillus(Herminium pusillus, A.japonensis;小兜蕊蘭)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
アニアラン属 Ania(安蘭屬)
キバナシュスラン Anoectochilus(開唇蘭屬) 熱帯アジア・メラネシア・ハワイに約30種
キバナシュンラン A. formosanus(臺灣銀錢蘭・金錢蘭・虎頭蕉)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020) 『中葯大辞典』2752
コウシュンシュスラン A. koshunensis(恒春銀綫蘭)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
A. roxburghii(金錢蘭) 『全国中草葯匯編』下/400
Anota(無耳蘭屬)
Anthogonium(筒瓣蘭屬)
タネガシマムヨウラン属 Aphyllorchis(無葉蘭屬) 熱帯アジア・オセアニアに約30種
ヤクシマラン属 Apostasia(擬蘭屬) 7種
タケラン属 Appendicula(牛齒蘭屬)
ジンヤクラン属 Arachnis(蜘蛛蘭屬) 熱帯アジア・オセアニアに13種
ナリヤラン属 Arundina(竹葉蘭屬) 1-2種
ナリヤラン A. graminifolia(A.chinensis, A.bambusifolia;
山荸薺・竹葉蘭) 『全国中草葯匯編』下/66-67
Ascocentrum(鳥舌蘭屬)
Biermannia(胼胝蘭屬)
シラン属 Bletilla(白及屬)
ランダイヤマサギソウ属 Brachycorythis(苞葉蘭屬)
マメヅタラン属 Bulbophyllum(石豆蘭屬) 世界の熱帯に約1900種
クスクスラン B. affine(赤唇石豆蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
B. andersonii(Cirrhopetalum andersonii;梳帽卷瓣蘭・一匹草)
『全国中草葯匯編』下/1
マメヅタラン B. drymoglossum(B.somae;圓葉石豆蘭・狹萼豆蘭)
B. griffithii(B.calodictyon;短齒石豆蘭・石串蓮・小綠芨)
臺灣・雲南・ベトナム・ヒマラヤ産 『全国中草葯匯編』下/85
ムギラン B. inconspicuum(一掛魚・麥斛) 『全國中草藥匯編 上』p.409
ミヤマムギラン B. japonicum(瘤唇卷瓣蘭)
B. kwangtungense(廣東石豆蘭) 『全國中草藥匯編 上』p.409
タネガシマシコウラン B. macrei var. tanegashimense
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
B. odoratissimum(密花石豆蘭) 『全国中草葯匯編』下/383-384
Bulleyia(蜂腰蘭屬)
エビネ属 Calanthe(蝦脊蘭屬)
ホテイラン属 Calypso(布袋蘭屬) 1属1
カタセトゥム属 Catasetum(龍鬚蘭屬) 中央・南アメリカ熱帯と西インド諸島に葯50種
カトレア属(ヒノデラン属) Cattleya(卡特蘭屬)
キンラン属 Cephalanthera(頭蕊蘭屬)
トクサラン属 Cephalantheropsis(黃蘭屬) 東・東南アジア・ヒマラヤに4種
Ceratostylis(牛角蘭屬)
チケイラン属 Cestichis
ヒメノヤガラ属 Chamaegastrodia(疊鞘蘭屬) 4種
Changnienia(獨花蘭屬)
カイロラン属 Cheirostylis(叉柱蘭屬)
アジア・アフリカ・オセアニアの熱帯に約50種。和名は属名の前半から
アリサンムヨウラン C. takeoi(全唇叉柱蘭)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
オオクモラン属 Chiloschista(異型蘭屬)
クリソラン属 Chrysoglossum(金唇蘭屬)
オオムカデラン属 Cleisostoma(隔距蘭屬)
アオチドリ属 Coeloglossum(凹舌蘭屬)
キンヨウラク属 Coelogyne(貝母蘭屬)
マシロラン C. cristata(貝母蘭)
マリアナクンヨウラク C. guamensis
C. occultata(卵葉貝母蘭) 雲南・チベット・ヒマラヤ産『全国中草葯匯編』下/335
キンヨウラク C. pulverula(C.dayana)
ガンショウラン C. speciosa(彌觀貝母蘭)
コラビラン属 Collabium(吻蘭屬) 和名は属名の前半から
サンゴネラン属 Corallorhiza(珊瑚蘭屬)
Corybas(鎧蘭屬)
バイケイラン属 Corymborkis(管花蘭屬) 世界の熱帯に7種
サイハイラン属 Cremastra(杜鵑蘭屬)
ヒメラン属 Crepidium(沼蘭屬) アジア・オセアニアの熱帯・亜熱帯に約280種
オキナワヒメラン C. purpureum(深裂沼蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
Cryptochilus(宿苞蘭屬)
オオスズムシラン属 Cryptostylis(隱柱蘭屬) 熱帯アジア・オセアニアに約25種
オオスズムシラン C. arachnites(隱柱蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
タカオオオスズムシラン C. taiwaniana(臺灣隱柱蘭)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
シュンラン属 Cymbidium(蘭屬)
Cyperorchis(莎草蘭屬)
アツモリソウ属 Cypripedium(杓蘭屬)
ツチアケビ属 Cyrtosia(肉果蘭屬)
ハクサンチドリ属 Dactylorhiza(掌裂蘭屬)
イチヨウラン属 Dactylostalix(指脊蘭屬) 日本特産の属
セッコク属 Dendrobium(石斛屬)
タイワンムカゴソウ属 Dendrochilum(足柱蘭屬)
コカゲラン属 Didymoplexiella(錨柱蘭)
コカゲラン D. siamensis(錨柱蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ヒメヤツシロラン属(ユウレイラン属) Didymoplexis(雙唇蘭屬)
ホザキヒメラン属 Dienia(無耳沼蘭屬)
ホザキヒメラン D. ophrydis(無耳沼蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
Diplomeria(合柱蘭屬)
サガリラン属 Diploprora(蛇舌蘭屬)
サガリラン C. championii(蛇舌蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
Dipylax(尖葯蘭屬)
ジョウロウラン属 Disperis(雙袋蘭屬) 約75種
ジョウロウラン D. neilgherrensis(雙囊蘭)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
Doritis(五唇(血葉蘭屬))
サワラン属 Eleorchis(旭蘭屬)
コクラン属 Empusa
Ephemerantha(金石斛屬)
コイチヨウラン属 Ephippianthus(馬鞍蘭屬)
Epidendrum(樹蘭屬)
Epigeneium(厚唇蘭屬)
カキラン属 Epipactis(火燒蘭屬) 『雲南の植物』59
トラキチラン属 Epipogium(虎舌蘭屬) アフリカ・ユーラシア・オーストラリアに3種
アオキラン E. japonicum(日本虎舌蘭)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
オオオサラン属 Eria(毛蘭屬) 熱帯アジア・ポリネシアに約500種
ホソフデラン属 Erythrodes(鉗喙蘭屬)
ホソフデラン E. blumei(鉗唇蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
タカツルラン属 Erythrorchis(假吊蘭屬)
タカツルラン E. altissima(倒吊蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
イモラン属(イモネヤガラ属) Eulophia(美冠蘭屬) 主として熱帯に約200種
タカサゴヤガラ E. taiwanensis(寶島美冠蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
カモメラン属 Galearis(盔花蘭屬)
オオタカツルラン属(ツチアケビ属) Galeola(山珊瑚屬)
カシノキラン属 Gastrochilus(盆距蘭屬)
マツゲカヤラン G. ciliaris(緣毛盆距蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
オニノヤガラ属 Gastrodia(天麻屬)
ヤクシマヤツシロラン G. albida(無喙天麻) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
オニノヤガラ G. elata(天麻・明天麻・赤箭・鬼督郵)
『中薬志』I/88-89 『中草薬現代研究』Ⅰ/120 『全國中草藥匯編』上/165-166
『(修訂)中葯志 』I/316-318
鬼督郵については、スズサイコの誌を見よ。
『本草和名』赤箭及び鬼督郵に 和名乎止乎止之、一名加美之と
『倭名類聚抄』赤箭に 和名乎止乎止之、一云加美乃夜加良と
『本草圖譜』赤箭天麻にぬすびとのあしと
日本の生薬テンマは、本種の塊茎を、湯通し又は蒸したものである(日本薬局方)
シロテンマ var. pallens 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ナンゴクヤツシロラン G. shimizuana 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
トサカメオトラン属(メオトラン属) Geodorum(地寶蘭屬)
熱帯アジア・太平洋諸島に約5種
シュスラン属 Goodyera(斑葉蘭屬)
ホウオウラン属 Grammatophyllum
テガタチドリ属 Gymnadenia(手參屬)
ミズトンボ属 Habenaria(玉鳳花屬)
ヤチラン属 Hammarbya(谷地蘭屬)
ヒメクリソラン属 Hancockia(滇蘭屬)
ヒメクリソラン H. uniflor(滇蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ニオイラン属 Haraella(香蘭屬)
ハグルマラン属 Hayata
ウチョウラン属(ニイタカヒトツバラン属) Hemipilia(舌喙蘭屬)『雲南の植物』62
ムカゴソウ属 Herminium(魚盤蘭屬)『雲南の植物』63
ムカゴソウ H. angustifolium
ハルザキムカゴソウ H. longicrure(H.lanceum var.longicrure)
クシロチドリ H. monorchis(角盤蘭) 『全国中草葯匯編』下/334-335
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ミスズラン H. pusillum
ヒメノヤガラ属 Hetaeria(翻唇蘭屬)
オオカゲロウラン H. oblongifolia(矩葉翻唇蘭)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
マツノハラン属 Holcoglossum(槽舌蘭屬)
フグリラン属 Hylophila(袋唇蘭)
ハクウンラン属 Kuhlhasseltia(旗唇蘭屬)
レリア属(アキアサヒラン属) Laelia(蕾麗蘭屬) 中央・南アメリカの熱帯に約50種
ムヨウラン属 Lecanorchis(盂蘭屬)
サキシマスケロクラン L. flavicans 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
クモキリソウ属 Liparis(羊耳藤屬)
フタバラン属 Listera(對葉蘭屬) 約20種
ホンコンシュスラン属(ボウラン属) Ludisia(血葉蘭屬)
ホンコンシュスラン L. discolor(血葉蘭・石上藕) 『全国中草葯匯編』下/177
ボウラン属 Luisia(釵子股屬)
L. hancoockii(釵子股・千葉釵子股) 『全国中草葯匯編』下/399-400
ボウラン L. teres(叉唇釵子股)
L. teretifolia(柱葉釵子股・金釵股) 『全国中草葯匯編』下/399-400
リカステ属(マイヅルラン属) Lycaste
ナンバンカゴメラン属 Macodes(長唇蘭屬) 14種
ナンバンカモメラン M. petola(籠紋蘭) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ホザキイチヨウラン属(ヤチラン属) Malaxis(Microstylis;沼蘭屬)
シマホザキランン M. boninensis 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ニラバラン属 Microtis(葱葉蘭屬) オーストラリアを中心に12種
ウスベニゴチョウ属 Miltonia(麗菫蘭屬)
アリドオシラン属 Myrmechis(全唇蘭屬) 6種
ツクシアリドオシラン M. tsukusiana 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ノビネチドリ属 Neolindleya
サカネラン属 Neottia(鳥巣蘭屬) 約10種
カイサカネラン N. furusei 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ムカゴサイシン属 Nervilia(芋蘭屬)
N. fordii(毛唇芋蘭・靑天葵)
兩廣・四川・インドシナ産 『全国中草葯匯編』下/348
ムカゴサイシン N. nipponica(單花脈葉蘭)
本州(関東以西)・四国・九州・琉球・済州島産
ヨウラクラン属 Oberonia(鳶尾蘭屬)
オオバヨウラクラン O. makinoi 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
イナバラン属 Odontochilus(齒唇蘭屬)
ハツシマラン O. hatsusimanus 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
スズメラン属 Oncidium(文心蘭屬)
コケイラン属 Oreorchis(山蘭屬)『雲南の植物』64
O. erythrochrysea(O.foliosa;短梗山蘭・獨葉山蘭・山慈姑・小白及)
『全國中草藥匯編 上』p.118
コハクラン O. indica(O.foliosa var.indica, Kitigorchis itoana)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
コケイラン O. patens(山蘭)
トキワラン属 Paphiopedilum(兜蘭屬)『雲南の植物』65
ハナボウラン属 Papilionanthe(風蝶蘭屬)
ガンゼキラン属 Paraphaius(擬鶴頂蘭屬)
ムカデラン属 Pelatantheria(鑚柱蘭屬)
ムカゴトンボ属 Peristylus(闊蕊蘭屬)『雲南の植物』70
ヒゲナガトンボ P. calcaratus 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
タコガタサギソウ P. lacertifer 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
カクチョウラン属 Phaius(鶴頂蘭屬)
コチョウラン属 Phalaenopsis(蝶蘭屬)
タマラン属 Pholidota(石仙桃蘭屬)
P. chienesis(石仙桃) 『全國中草藥匯編 上』p.244
P. yunnanensis(石棗子) 『全国中草葯匯編』下/18-182
フレラン属 Phreatia(馥蘭屬)
P. inversa(巖蔥) 『全國中草藥匯編 上』p.528
リュウキュウセッコク属 Pinalia(蘋蘭屬)
P. graminifolia(Eria graminifolia;禾葉蘋蘭・禾葉毛蘭)
雲南・チベット・ヒマラヤ産 『全国中草葯匯編』下/196-197
ツレサギソウ属 Platanthera(舌唇蘭屬)
タイリントキソウ属 Pleione(獨蒜蘭屬)
トキソウ属 Pogonia(朱蘭屬)
トガリバクレソラン属 Pomatocalpa(鹿角蘭屬)
ウチョウラン属 Ponerorchis(小紅門蘭屬)
ヒメシラヒゲラン属 Pristiglottis(雙丸蘭屬) 13種
ヒメシラヒゲラン P. rubricentra 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ジンヤクラン属 Renanthera(火焰蘭屬)
ヤクシマアカシュスラン属 Rhomboda(菱蘭屬)
オオホザキマツラン属 Rhynchostylis(鑚喙蘭屬)
R. retusa 『中尾佐助著作集』IV巻頭図版
マツラン属 Saccolabium(嚢唇蘭屬)
カヤラン属 Sarcochilus(狹唇蘭屬)
タカサゴクレソラン属 Sarcophyton(肉蘭屬)
ナゴラン属 Sedirea(萼脊蘭屬)
チクヨウラン属 Sobralia(折葉蘭屬)
コウトウシラン属 Spathoglottis(苞舌蘭屬)
ネジバナ属 Spiranthes(綬草屬)
ニュウメンラン属 Staurochilus(掌唇蘭屬)
イリオモテムヨウラン属 Stereosandra(肉葯蘭屬) 1属1種
コオロギラン属 Stigmatodactylus(指柱蘭屬)
レンギョウエビネ属 Styloglossum(落苞蘭屬)
ハナビラン属 Sunipia(大苞蘭屬)
クモラン属 Taeniophyllum(帶葉蘭屬)
ヒメトケンラン属 Tainia(帶唇蘭屬)
コウキチラン属 Thelasis(矮柱蘭屬)
カヤラン属 Thrixspermum(白點蘭屬)
ハガクレナガミラン T. fantasticum 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ケイタオフウラン T. saruwatarii 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ホザキカクラン属 Thunia(笋蘭屬)
T. alba(笋蘭・巖笋) 『全國中草藥匯編 上』p.527
ヒトツボクロ属 Tipularia(筒距蘭屬)
クラルクレソラン属(ニュウメンラン属) Trichoglottis(毛舌蘭屬)
ニュウメンは、琉球の西表(いりおもて)を入面と書き、これを音読したもの
ネッタイラン属 Tropidia(竹莖蘭屬) 約35種
コウトウラン属 Tuberolabium(紅頭蘭屬)
ヒスイラン属 Vanda(萬帶蘭屬)
バニラ属 Vanilla(香果蘭屬)
ミソボシラン属 Vrydagzynea(二尾蘭屬)
ショウキラン属 Yoania(寛距蘭屬)
キヌラン属 Zeuxine(綫柱蘭屬) 76種
オオキヌラン Z. nervosa(Heterozeuxine nervosa;芳香綫柱蘭)
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ムラサキウズララン属 Zygopetalum(軛瓣蘭屬) |
新しいAPGにおける被子植物の分類ついては、被子植物を見よ。 |
訓 |
漢語では、蘭(ラン,lán)の字は 香りの高い草を意味する〔蘭=lán=香り高い草〕が、具体的には、時代により指すものが異なる。すなわち、
1. 唐以前においては、蘭は キク科ヒヨドリバナ属 Eupatorium(澤蘭屬)の草本、ことにはフジバカマを指す〔蘭=lán=フジバカマ〕。
2. 宋以後においては、蘭は ラン科 Orchidaceae(蘭科)の植物、今日のいわゆるランを指す〔蘭=lán=ラン〕。
明末に李時珍は、Eupatorium を蘭草、Orchidaceae を蘭花と呼んで区別し、以て今日に至る。
以上の蘭は草本であるが、漢人は香りの高い木も 木蘭(ボクラン,mulan,木本の蘭)と認識した〔(木)蘭=(mù)lán=香り高い木〕。
具体的には、今日のハクモクレンであるという〔(木)蘭=(mù)lán=ハクモクレン〕。 |
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李時珍『本草綱目』蘭草の釈名に、「陸機の詩の疏に言う、<鄭の俗、三月、男女 蕑を水際に秉(と)り、以て自ら祓除す>と。蓋し蘭は以て之を闌(さえぎ)り、蕑は以て之を閑(ふさ)ぐ。其の義、一なり」と。ただし、この蘭・蕑はフジバカマである。 |
蘭蕙同芳と称えられる蕙(ケイ,huì)の字義も、時代により異なる。
1.古くは、カミメボウキ Ocinum tenuiflorum(O.sanctum;薰草・零陵香)を謂う。
李時珍『本草綱目』薰草の釈名に、「古くは、香草を焼き、以て神を降す。故に薰と曰い、蕙と曰う。薰は熏(ふす)ぶるなり。蕙は和(やわら)ぐなり。『漢書』に云う、<薰、香を以て自ら焼く>と。是なり。或は云う、<古人の祓除は、此の草を以て之を薰(ふす)ぶ。故に之を薰と謂う>と。亦た通ず」と。 |
2.宋以降は、ラン科 Orchidaceae(蘭科)の植物のうち、「一茎数花」のものを蕙(ケイ,huì)と謂う。
3.今日では、シュンラン属 Cymbidium(蘭屬)の C. faberi を蕙蘭と呼ぶ。
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日本における蘭の字義は、次のような変遷をたどった。
1. 最も古くは、あららぎの漢字に蘭をあてた。あららぎは「まばらに生えるネギ」の意で、ノビルを指す〔蘭=あららぎ=ノビル〕。 (ノビルの誌を見よ。)
2. 平安時代には、蘭(らん・らに・らむ)はフジバカマを指すことが、認識された〔蘭=らん・らに=フジバカマ〕。
『本草和名』に、蘭草は「和名布知波加末」、沢蘭は「佐波阿良々岐、一名阿加末久佐」と。
『倭名類聚抄』に、蘭は「和名本草云布知波賀万、新撰万葉集別用藤袴二字」、沢蘭は「和名佐波阿良々木、一云阿加末久佐」と。
なお、この沢蘭の訓に見るように、1と2が混線して〔蘭=あららぎ=フジバカマ〕として用いられたことがある。 |
3. 鎌倉・室町時代になると、中国からホウサイラン・ソシンランなどが入って、日本・中国に産するランを栽培・鑑賞するようになり、その風は江戸時代の享保(1716-1736)・天明(1781-1789)のころ極まった。この時代、蘭はもっぱらランを指した〔蘭=らん=ラン〕。
4. 明治以降、イギリス・フランスから洋ランが入ったが、栽培が難しく一般化しなかった。第二次世界大戦後ようやく普及し、1970年ころから商業ベースに乗って流行し、今日に至る。現在では、蘭(ラン)はもっぱら洋ランを指すことが多くなり〔蘭=らん=洋ラン〕、旧来の日本・中国のランは東洋ランと呼んで区別する。
平安時代以来、次のような成句が行われた。
蘭橈桂檝(ランジョウ ケイシュウ, 蘭の棹と 桂の舵)、舷(ふなばた)を東海の東に鼓(たた)く
(大江朝綱,949作)
蘭橈桂檝、舷を南海の月に敲(たた)く
(『太平記』12,14c.後半)
中国の木蘭・木蘭舟のイメージを嗣ぎ、〔蘭=らん=香り高い木〕の意で 美称として用いるものであり、特定の樹種を指すものではあるまい。
しかし、これが後に混線し、今日の各地の方言に残る〔(蘭)=あららぎ=イチイ〕を導いたものであろうか。 |
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『本草和名』蘭に、「和名阿良々岐」と。
『大和本草』に、「眞蘭 和名フヂバカマ、又アラゝギトモ云、古歌ニラニトモヨメリ、八雲抄ニモ蘭ヲフチハカマ、ラニト云ト書玉フ」と、また「蘭 是世俗ニ花ヲ玩賞スル蘭ナリ、眞蘭ニアラス・・・〇本草芳草類蘭草ヲ載タリ、フチハカマナリ、是眞蘭ナリ」と。 |
説 |
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誌 |
『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 夏之部」に、蘭の品種を挙げる。 |
夜の蘭香(か)にかくれてや花白し (蕪村,1716-1783)
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