辨 |
シラン属 Bletilla(白芨 báijí 屬)には、東アジアに約5種がある。
アマナラン B. formosana(小白芨) 臺灣・中国(江西・広西・西南)産。『雲南の植物』57
B. ochracea(黄花白芨・猫兒薑) 『中国本草図録』Ⅵ/2949
B. sinensis(華白芨)
シラン B. striata(白芨・雙腎草)
シロバナシラン f. gebina
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ラン科 Orchidaceae(蘭 lán 科)については、ラン科を見よ。 |
訓 |
『本草和名』白芨に、「和名加々美」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』8 に、「シラン シケイ花戸 シュラン筑前阿州豫州播州雲州 ラン奥州」と。 |
漢名は、李時珍『本草綱目』白及の釈名に、「其の根は白色、連及して生ず。故に白及と名づく」と。 |
説 |
本州(関東以西)・四国・九州・朝鮮・臺灣・華東・陝西・兩湖・兩廣・四川・雲南に分布。
日本では、野生のものは準絶滅危惧種。 |
誌 |
本種 或いは同属の B. ochracea(狹葉白芨・黃花白芨・猫兒薑)の偽球茎(塊茎)を、白芨(ハクキュウ, báijí,びゃくきゅう)と呼び 薬用にする。『中薬志Ⅰ』pp.146-148 『全國中草藥匯編 上』pp.279-280 『(修訂)中葯志 』I/382-384
また、澱粉を糊として用いる。 |
西行(1118-1190)『山家集』百首に、
野辺の色も 春のにほひも おしなべて 心そめける さとりにぞなる
(楊梅の春の匂 遍吉の功徳なり、紫蘭の秋の色は 普賢菩薩の真相なり)
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『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 夏之部」に、「紫蘭 初。葉ハさゝのやうにて、中より花出て、こいむらさき」「白蘭 初。葉ハしらんよりみじかく、花しろし」と。 |