きいちご (木苺) 

 バラ科 Rosaceae(薔薇科) バラ亜科 Rosoideae(薔薇亞科) キイチゴ属 Rubus(懸鉤子屬)の植物の総称。ほとんどの果実は、食用になる。
 世界に300種あるとも、3000種あるとも言い、分類が困難という。

 日本・中国に自生するものには、次のようなものがある。

   R. adenophorus (腺毛苺・紅牛毛刺)
   ケオリイチゴ R. alceaefolius (粗葉懸鉤子・大葉蛇泡■
{竹冠に勒}) 『中国本草図録』Ⅸ/4174
   R. amabilis (秀麗苺・倒紮龍)
 『中国本草図録』Ⅵ/2665
   アマミフユイチゴ R. amamianus
     コバノアマミフユイチゴ var. minor
   R. amphidasys (周毛懸鉤子・全毛懸鉤子) 『中国本草図録』Ⅹ/4633
   R. biflorus (粉枝苺)
 『雲南の植物Ⅰ』136・『中国本草図録』Ⅷ/3639
   R. blinii (五葉懸鉤子・五爪風・五爪藤)
 『中国本草図録』Ⅴ/2146
   イオウトウキイチゴ R. boninensis(R.pacificus,R.tuyamae;太平苺)
   フユイチゴ
(カンイチゴ) R. buergeri (寒苺・寒刺泡・山火苺)
   ヤチイチゴ
(ホロムイイチゴ) R. chamaemorus 日本では北海道・猪苗代湖周辺
   ゴショイチゴ R. chingii(R.officinalis; 掌葉復盆子・華東復盆子・秦氏懸鉤子・大麥泡・
       大號角公・牛奶母)
『中薬志Ⅱ』pp.491-493、『中国本草図録』Ⅳ/1677
   R. chroosepalus (毛萼苺)
   ウラジロゴヨウイチゴ R. cochinchienesis (越南懸鉤子・越南山泡・五葉泡・
       猫枚筋・蛇泡筋・鷄足刺) 『中国本草図録』Ⅹ/4634
   トキンイバラ
(ボタンイバラ) R. commersonii(酴醿・酴蘼・荼蘼,トビ,tumi)
       
 中国原産、古く日本に入り、観賞用に栽培。『朝日百科 世界の植物』5/1359
   ビロードイチゴ R. corchorifolius (山苺・懸鉤子・大麥泡・對嘴泡・猫爪刺・牛奶泡・
       栽泡)
 『中国本草図録』Ⅲ/1192
   トックリイチゴ R. coreanus (插田泡・插田藨・覆盆子・大麥苺・朝鮮懸鉤子・端陽苺・
       倒生根)
 『中国本草図録』Ⅶ/3160
   クマイチゴ R. crataegifolius (山樝葉懸鉤子・牛迭肚・樹苺)
 『中国本草図録』Ⅲ/1193
   オオバライチゴ R. croceacanthus(R.piptopetalus)
   R. delavayi (三葉懸鉤子・小鳥泡・倒鉤刺・小倒鉤刺・刺茶)
 『中国本草図録』Ⅴ/2147
   R. ellipticus (切頭懸鉤子・黄藨・黄泡・老虎泡・黄喜馬泡)
     var. obcordatus (栽泡・黄鎖梅・鎖梅根・黄泡)
 『中国本草図録』Ⅴ/2148
   ヨウミャクイチゴ R. euphlebophyllus(虎婆刺・虎梅刺・虎不刺)
 臺灣産
   R. eustephanos (大紅泡・大紅袍) 『中国本草図録』Ⅶ/3161
   R. feddei(黔桂懸鉤子・紅泡刺) 『中国本草図録』Ⅹ/4635
   R. flosculosus (山挂牌條)
   R. foliolosus (灰毛果苺・硬枝黑鎖梅・紅刺泡・栽泡・紫泡) 
『中国本草図録』Ⅱ/0604
   ミヤマフユイチゴ R. hakonensis
   テガタイチゴ R. formosensis
   リュウキュウイチゴ R. grayanus
   ミヤマフユイチゴ R. hakonensis
   R. henryi (鷄爪茶)
   クサイチゴ R. hirsutus (R. thunbergii;蓬蘽
・刺菠)
   R. ichangensis (黄泡子・牛尾泡)
   R. idaeopsis (西藏復盆子・擬復盆子)
   エゾキイチゴ R. idaeus (覆盆子;E.Raspberry)
 ミヤマウラジロイチゴ・イシヅチイチゴを含む
   ゴヨウイチゴ R. ikenoensis
   バライチゴ R. illecebrosus 
バラとは、葉の形から(武田)、或は刺があることから(牧野)
   R. innominatus (白葉苺)
     var. kuntzeanus (無腺白葉苺・早谷藨)
   R. irenaeus (灰毛泡・地五泡藤)
   ミヤマニガイチゴ R. koehneanus
   シマバライチゴ R. lambertianus (蓬蘽・山粟刺藤・高粱泡・十月苗・寒泡刺・倒水連)
     var. glaber (山泡刺藤・光葉高粱泡・黄水藨葉・倒盤龍)
   R. lasiostylus (毛柱苺)
   R. leucanthus (白花懸鉤子) 『中国本草図録』Ⅹ/4636
   R. malifolius (羊尿泡)
   R. mallodes (紅鐡泡刺・烏龍鬚)
   クロイチゴ R. mesogaeus (喜陰懸鉤子)
 『雲南の植物Ⅰ』137
   ニガイチゴ R. microphyllus
   ヒメバライチゴ R. minusculus
   R. multibracteatus (大烏泡)
 『中国本草図録』Ⅴ/2149
   ナントウイチゴ R. nantoensis(南投懸鉤子)
 臺灣産
   R. niveus (毛果覆盆子・紫泡・紅泡刺藤) 『中国本草図録』Ⅷ/3640
   オキナワバライチゴ R. okinawensis
   ナガバモミジイチゴ R. palmatus (懸鉤子・槭葉苺・掌葉懸鉤子)
     モミジイチゴ var. coptophyllus(R. coptophyllus)
   R. parkeri (烏藨子・烏泡子・小鳥泡)
   ナワシロイチゴ R. parvifolius (茅苺・薅田藨)
     var. adenochlamys (倒苺子・腺花茅苺)
   R. pectinellus (黄泡・小黄泡)
   コガネイチゴ R. pedatus 
日本では高山植物
   ハスノハイチゴ R. peltatus (盾葉苺)
   エビガライチゴ R. phoenicolasius (多腺懸鉤子・空筒泡・樹苺;E.Wineberry)
   R. pileatus (菰帽懸鉤子)
   R. pinfaensis (紅毛懸鉤子・黄藨・老熊泡・老虎泡) 
『雲南の植物Ⅱ』121
   R. pinnatisepalus (羽萼懸鉤子)
 R.alceaefolius と同一か。 
   シマヤブイチゴ R. piptopetalus(R.okinawensis var. formosana;早脱瓣懸鉤子)
        
 臺灣産
   R. pirifolius (梨葉懸鉤子・紅筋鈎)
 『中国本草図録』Ⅰ/0105
   ヒメゴヨウイチゴ R. pseudojaponicus
   R. pungens (刺懸鉤子・倒扎龍)
     var. indefensus (香苺・九頭飯消扭・九里香・落地角公)
   R. reflexus (銹毛苺・蛇包■
{草冠に力}・七爪風・七指風) 『中国本草図録』Ⅸ/4175
   ハチジョウイチゴ R. ribisoideus
   バラバキイチゴ R. rosaefolius (空心泡・空心藨・薔薇苺・洋金銀藤・黄牛泡・倒觸傘)
         『中国本草図録』Ⅹ/4637。中央アメリカでは若芽を蔬菜とする
   R. rufo-lanatus (紅綿藤)
   エゾイチゴ R. sachalinensis (庫頁懸鉤子)
 『中国本草図録』Ⅳ/1678
   R. saxatilis (石生懸鉤子・小懸鉤子) 『中国本草図録』Ⅸ/4176
   R. setchuenensis (川苺・烏泡・大烏泡)
   ホウロクイチゴ R. sieboldii (炮烙苺・龍船烏泡)
   コジキイチゴ R. sumatranus
   R. stans(直莖苺)
 『雲南の植物Ⅰ』138
   R. suavissimus (甜茶)
 『中国本草図録』Ⅰ/0106 葉を茶にして飲用
   コジキイチゴ R. sumatranus (紅腺懸鉤子・腺毛懸鉤子・牛奶苺) 『中国本草図録』Ⅸ/4177
   R. swinhoei (木苺・高脚老虎)
   タイワンイチゴ R. taiwanianus(臺灣懸鉤子)
 臺灣産
   R. tephrodes (灰白毛苺・烏泡刺・烏龍擺尾)
 『中国本草図録』Ⅰ/0107
   トキンイバラ
(コヤオギ) R. tokinibara(酴醿,トビ,tumi)
   R. trianthus (三花懸鉤子)
   カジイチゴ R. trifidus
   ベニバナイチゴ R. vernus
   R. wilsonii (過江龍・倒扎龍)
   R. xanthocarpus (黄果懸鉤子・地苺子・黄刺兒根) 『中国本草図録』Ⅵ/2666

 外来種或は外国産種に、次のようなものがある。
   クロミキイチゴ R. allegheniensis(R.occidentalis)
北アメリカ原産
   セイヨウヤブイチゴ
(クロミノキイチゴ) R. armeniacus(R.fruticosus;E.Blackberry)
   オオナワシロイチゴ R. caesius
ユーラシア原産
   イシカリキイチゴ R. exsul
ヨーロッパ原産か? 日本には明治時代に渡来、北海道に帰化
   ヤツデキイチゴ R. flagellaris
北アメリカ原産 
 西洋起源で 広く栽培されるものに、ラズベリー Raspberry(エゾキイチゴとその品種)ブラックベリー Blackberry がある。
 熟すと実がほろりと柄から外れるのがラズベリー、外れないのがブラックベリー。
 いわゆる苺は、バラ科イチゴ属 Fragaria の総称。
 ヘビイチゴ・ヤブヘビイチゴは、ヘビイチゴ属 Duchesnea。
 バラ科 Rosaceae(薔薇科) バラ亜科 Rosoideae(薔薇亞科)については、バラ亜科を見よ。
 和名は、木になる苺(いちご)で、草苺の対義語。
 イチゴの語は、江戸時代まではキイチゴ(木苺)をさしていた。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)に、蓬虆は「和名以知古」、覆盆子は「和名加宇布利以知古」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)覆盆子に、「和名以知古」と。
 
 中国では、R.chingii(華東復盆子)や、ナガバモミジイチゴ R.palmatus(懸鈎子)・R.coreanus(插田泡)・R.corchorifolius (山苺)などの果実を、覆盆子と呼び、薬用にする。『中薬志Ⅱ』pp.491-493 
 日本では、西行(1118-1190)『山家集』に、

   いちごもる うばめ媼の かさねもつ このて柏に おもてならべむ
     
(としたか、よりまさ(源頼政,1105-1180)、勢賀院にて老下女を思ひかくる恋と
     
 申すことをよみけるにまゐりあひて)
 



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