あかまつ (赤松) 

学名  Pinus densiflora
日本名  アカマツ
科名(日本名)  マツ科
  日本語別名  メマツ(雌松)、オナゴマツ(女松)、フタバマツ(双葉松)
漢名  赤松(セキショウ,chisong) 
科名(漢名)  松(ショウ,song)科
  漢語別名  遼東赤松(リョウトウセキショウ,liaodongchisong)、短葉赤松、日本赤松
英名  Japanese red pine
2007/03/04 薬用植物園
2010/05/03 群馬県吾妻郡嬬恋村

2007/04/29 神代植物公園

2010/04/04 長野県上田市
雄花 雌花
2005/06/21   薬用植物園 2006/08/12 同左
2005/06/04  森林公園
2005/07/02  平林寺
 マツ属 Pinus (松屬)については、マツ属を見よ。
 和名のアカは樹皮の色から。雌・女というのはクロマツに対して。
 本州・四国・九州及び朝鮮の温帯・暖帯に分布。
 アカマツ林の自然の生育地は、露岩地・尾根筋・表土の浅い土地など、乾燥しやすい貧栄養のところである。このような条件の悪い土地には、他の樹木の侵入は容易ではなく、アカマツ林は土壌的極相をなしている。
 一般の土地では、マツ林は一時遷移あるいは二字遷移において、初期の途中相をつくることが多い。溶岩原、沖積低地、崩壊地あるいは伐採地、草原などにその例が見られる。アカマツ林が日本の主要植生になったのは、くり返し加えられた人為作用の結果である。瀬戸内地方の花崗岩地帯では、長年の乱伐によって土壌侵蝕が進んだところにアカマツ林が広く成立し、容易に遷移が進まない状態にある。
 アカマツ林は造林地が多く、自然林との区別がつきにくいところもある。自然林の場合は、コナラクリミズナラなどの落葉樹や、アラカシ・アカガシ・ウラジロガシなどの常緑樹と混生する例が多い。林床は明るいためササ類で占められるが、地方によってスズタケ、チシマザサ、アズマネザサ、ネザサなど種類が異なる。つまり高木層はアカマツであるが、地域の環境を反映してさまざまな種類組成となる。
   
(沼田・岩瀬『図説 日本の植生』1975)
 マツタケ(松茸)が生ずるのは、よく手入れされたアカマツ林である。
 近来、マツノザイセンチュウによる被害が、西南日本から本州中部に及んでいる。
 中国では、花粉を薬用にする。
 (アカマツの文化史は、マツをも見よ。)
 「大阪市の南、泉北丘陵にニュータウンが建設されたが、この場所は、かつて朝鮮から渡来した技術で須恵器を大量に焼いたところであった。ニュータウン建設に先立つ調査によって陶器の窯跡がつぎつぎと見つかり、その数は千基以上にも達した。ともに埋もれていた須恵器から年代の推定できる釜跡に残っていた木炭を分析した西田正規博士は、年代の古い窯の燃料のほとんどがカシなどの照葉樹で、六世紀後半からアカマツがぐんと増え、七世紀後半からはほとんどがアカマツになることを見出した。・・・
 森林が酷使されてきたのは、農村・農地のためだけではなかった。街が発達すればその建築資材や燃料材として、また鉄や銅などの精錬用の燃料、泉北丘陵の例のような陶器を焼くための燃料などとして、文化圏の森林は収奪されるいっぽうであったのである。こうして「やせ山」は増え、照葉樹林など本来の森林は衰微して、やせ地にも耐えるアカマツが侵入し、いたるところマツ山と化したのであった。
 こう考えると、文化の中心から遠い地ほど、マツが優勢になる時期が遅くなって当然である。たとえば、長野県の土中に埋没している花粉を分析した酒井潤一博士は、
木曾谷でアカマツの花粉が多く出現するのは一一〇〇年以降と推定している。
 興味を引くのは、木曾谷でアカマツと同時に、ソバの花粉も出現するということである。ソバは山間部の開拓の最初によく使われる作物であり、人間が入りだしたことの指標と見てよいだろう。」(只木良也『森の文化史』1981)
 『万葉集』に、

   すみのえ
(住吉)のはままつ(浜松)が根のした(下)(延)へて
     わが見るをの
(小野)のくさ(草)なか(刈)りそね (20/4457,大伴家持)

 西行
(1118-1190)『山家集』に、

   あらいその なみにそ
(磯)(馴)れて は(這)ふまつは
     みさごのゐ
(居)るぞ たよりなりける
   うら
(浦)ちかみ かれたる松の こずゑには
     なみのおとをや 風はか
(借)るらん
   なみちかき 磯の松がね
(根) まくらにて うらがなしきは こよひのみかは
   すみよし
(住吉)の 松がねあらふ なみのおとを
     こずゑにか
(懸)くる おき(沖)つしほかぜ(潮風)
 

     山のおみやげ
     まつぼつくり
     ぼつくり
     ころころ
     ころげだせ

     お昼餉
(ひる)だよう
     鐵瓶の下さたきつけろ
       
(山村暮鳥「まつぼつくり」、『雲』(1925)より)
 
 
   松かぜのおともこそすれ松かぜは遠くかすかになりにけるかも
   あまつ日は松の木原のひまもりてつひに寂しき蘚苔
(こけ)を照せり
     
(1921,斎藤茂吉『つゆじも』。「山ふかき林のなかの」風景)
   赤松の秀づる山をとほるとき松の膚
(はだへ)に折々寄るも
     
(1939霧島川,齋藤茂吉『のぼり路』)
   松かぜのつたふる音を聞きしかどその源はいづこなるべき
     
(1945,齋藤茂吉『小園』) 
 
 岡山県・山口県の県木。

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