辨 |
被子植物の分類については、被子植物 Angiospermae を見よ。 |
コショウ科 Piperaceae(胡椒 hújiāo 科)には、世界の熱帯を中心に8属 約1400種がある。
サダソウ属 Peperomia(草胡椒屬・豆瓣綠屬)
コショウ属 Piper(胡椒屬)
Pothomorphe(大胡椒屬)
P. subpeltata(大胡椒) 臺灣産。
Zippelia(齊頭絨屬) 1属1種
Z. begoniaefolia(齊頭絨)中国(南部)乃至マレーシア産。『週刊朝日百科 植物の世界』9-53
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コショウ属 Piper(胡椒 hújiāo 屬)の植物には、熱帯地方に700種以上がある。
P. arborescens(蘭嶼胡椒)
P. arboricola (小葉蒟・小葉爬崖香) 図版は『中国本草図録』Ⅰ/0017
P. attenuatum(卵葉胡椒)
P. austrosinense(彎果胡椒・華南胡椒・穿壁風) 『中国本草図録』Ⅹ/4548
P. bambusaefolium(竹葉胡椒)
P. bavinum(腺脈胡椒)
ウスバフウトウカズラ P. begoniaefolium(薄葉爬岩香) 臺灣産
キンマ P. betle (蒟醬・蔞葉)
P. boehmeriaefolium (蕁麻葉胡椒・苧葉蒟・蘆子蘭) 『全国中草葯匯編』下/291-292
var. tonkinense (光軸苧葉蒟・十八症) 『中国本草図録』Ⅷ/3522 『全国中草葯匯編』下/5
P. bonii(複毛胡椒) 『中国本草図録』Ⅷ/3523
P. chaba タイ産
P. chaudocanum({孟力}海胡椒)
P.chinense(中華胡椒)
ヒッチョウカ P. cubeba(Cubeba cubeba, C.officinalis, C.segetum;
蓽澄茄,ヒツチョウカ,bìchéngqié・毘陵茄子・澄茄)
東南アジア産。cubebaも蓽澄茄も現地語から。『中薬志Ⅱ』pp.371-376
P. curtipedunculum(細苞胡椒)
P. damiaoshanense(大苗山胡椒)
P. flaviflorum(黄花胡椒)
P. glabricaule(光莖胡椒)
ブッシュコショウ P. guineense 西アフリカ産
P. hainanense (海南胡椒・海南蒟・山胡椒)
『中国本草図録』I/00018 『全國中草藥匯編 上』pp.247-248
P. hancei (山蒟・綠藤・香藤・鑽骨風)『中国本草図録』Ⅹ/4549『中薬志Ⅲ』pp.481-485
『全國中草藥匯編 上』pp.247-248『(修訂) 中葯志』V/687-694
P. hochiense(河池胡椒)
P. interruptum(疏果胡椒)
フウトウカズラ(ツルコショウ) P. kadzura(P.futokadsura;細葉靑蔞藤・海風藤・風藤・
大風藤・眞風藤・爬岩香・荖藤・山荖葉) 『週刊朝日百科 植物の世界』9-52
『中薬志Ⅲ』pp.481-485(石南藤)・533-536(海風藤)
『(修訂) 中葯志』V/687-694 『全國中草藥匯編 上』pp.247-248,644-645
クラルフウトウカズラ P. kawakamii(恒春風藤・川上氏爬岩香) 臺灣産
P. kwashoense(綠島風藤)
P. laetispicum(大葉蒟) 『中国本草図録』Ⅸ/4063
P. lingshuiense(陵水胡椒)
インドナガコショウ(ヒハツ) P. longum (Chavica longa, C.roxburghii;
蓽菝 bìbá・印度長果胡椒・鼠尾;
E.Indian long pepper) インド原産、果穂を薬用。
『中薬志Ⅱ』pp.368-370 『(修訂) 中葯志』III/508-512 『中国本草図録』Ⅰ/0019
P. macropodum(粗梗胡椒)
P. martinii(毛山蒟・石南藤) 『中国本草図録』Ⅷ/3524
カヴァ(カワカワ・アワ) P. methysticum ポリネシア・ミクロネシア産
P. mischocarpum(柄果胡椒)
P. mullesua(短蒟)
P. mutabile(變葉胡椒)
P. nepalense(尼泊爾胡椒)
コショウ P. nigrum (胡椒) 『中国本草図録』Ⅰ/0020・『週刊朝日百科 植物の世界』9-50
P. nudibaccatum(裸果胡椒)
P. officinarum インドネシア・マレー産
P. paepuloides (蘆子藤・蘆子) 雲南産 『全国中草葯匯編』下/291
P. pedicellatum(角果胡椒)
P. pingbienense(屏邊胡椒)
P. pleiocarpum(綫梗胡椒)
P. polysyphorum(樟葉胡椒)
P. ponesheense(肉軸胡椒)
タイヨウフウトウカズラ P. postersianum 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
P. puberulilimbum (毛葉胡椒・天仙藤・毛蒟・毛蔞・石蔞・玉溪)
P. puberulum (毛蔞・石蔞・毛蒟・石南藤)『中国本草図録』Ⅶ/3045
『全國中草藥匯編』上/247-248,下/148-149 『(修訂) 中葯志』V/687-694
P. pubicatulum(岩椒・岩參)
ジャワナガコショウ(ジャワコショウ・ヒハツモドキ) P. retrofractum(P.officinalum;
爪哇長果胡椒・假蓽蕟;E.Javanese long pepper)『週刊朝日百科 植物の世界』9-51
P. rubrum(紅果胡椒)
P. sarmentosum (蛤蔞・假蒟・假蔞) 『中国本草図録』Ⅱ/0517
『全國中草藥匯編』上/247-248,853 『(修訂) 中葯志』III/508-512
P. semiimmersum(緣毛胡椒)
P. senporeiense(斜葉蒟)
P. sinense(華山蔞)
P. spirei(滇南胡椒)
P. stipitiforme(短柄胡椒)
P. submultinerve var. nandanicum(狹葉多脈胡椒)
P. sylvaticum(長柄胡椒) ビルマ・インド産
P. szemaoense(思茅胡椒)
P. taanyuanense(粗穗胡椒)
P. terminaliflorum(頂花胡椒)
P. thomsonii(球穗胡椒)
P. tricolore(三色胡椒)
P. wallichii(P. wallichii var.hupehense, P.aurantiacum var.hupehense;
巴巖香・石南藤・南藤)『全國中草藥匯編 上』pp.247-248
『中薬志Ⅲ』pp.481-485 『(修訂) 中葯志』V/567-570,691
P. yinkiangense(盈江胡椒)
P. yunnanense(蒟子)
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訓 |
サンスクリット語で、インドナガコショウを ピッパリ pippali と呼ぶ。
漢語には、これを蓽■{草冠に撥}梨(ヒツハツリ,bibali)、蓽■{草冠に撥}・蓽菝・蓽蕟・蓽茇(いずれもヒツハツ,biba,ひはつ)と音写する。
学名の piper、英名の pepper も、pippali の転訛。
これに対して、コショウのサンスクリット名はマリチャ maricha。 |
源順『倭名類聚抄』(ca.934)に、「蒟醬 本草云、蒟醬、一名蓽■{草冠に撥}。〔必発二音。和名和太々非〕」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)28胡椒に、「ヱノミゴシヤウ東国」と。 |
説 |
インド(南西部)原産。広く東南アジア・ブラジルなどで栽培する。
中国では、兩廣・雲南・臺灣で栽培する。
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種子にチャビシン1-3%・ピペリン・精油2%内外を含む。 |
誌 |
その果実・種子は、古来香辛料・防腐剤・薬用などに用いる。古代ローマではシナモンとともに代表的なスパイスの一。 |
未熟果を干して果皮に皺がよって黒くなったものを黒胡椒 black pepper(黑川・黑古月)、成熟果の白色の種子を白胡椒 white
pepper(白川・白古月)と呼び、薬用にする。『中薬志Ⅱ』pp.299-302 『(修訂) 中葯志』III/498-503
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中国では、Piper wallichii(巴巖香)などの茎・葉・全株を石南藤(セキナントウ,shínánténg)と呼び薬用にする(〇印は正品)。 『中薬志Ⅲ』pp.481-485 『全國中草藥匯編 上』pp.247-248
オオイタビ Ficus pumila(薜荔・絡石藤・石龍藤・涼粉樹)
Piper hainanense (海南胡椒・海南蒟・山胡椒)
Piper hancei (山蒟・綠藤・香藤・鑽骨風)
フウトウカズラ Piper kadzura(P.futokadsura;細葉靑蔞藤・海風藤・風藤・
大風藤・眞風藤・爬岩香・荖藤・山荖葉)
Piper puberulum (毛蔞・石蔞・毛蒟・石南藤)
Piper sarmentosum (蛤蔞・假蒟・假蔞)
〇Piper wallichii(P. wallichii var.hupehense;巴巖香・石南藤・南藤)
オオカナメモチ Photinia serratifolia(P.serrulata;石楠・寛葉石楠)
トウテイカカズラ Trachelospermum jasminoides(絡石・絡石藤)
また、フウトウカズラなどの全株を海風藤(カイフウトウ,hăifēngténg)と呼び薬用にする(〇印は正品)。 『全国中草葯匯編』上/644-645
アケビ Akebia quinata(木通・五葉木通)
ナンゴクミツバアケビ Akebia trifoliata subsp. australis (A.chingshuiensis;
白木通・臺灣木通・三葉木通・八月瓜藤・八月櫨)
Kadsura heteroclita(異形南五味子・大葉風沙藤・地血香)
Piper hancei (山蒟・綠藤・香藤・鑽骨風)
〇フウトウカズラ Piper kadzura(P.futokadsura;細葉靑蔞藤・海風藤・風藤)
Piper wallichii(P. wallichii var.hupehense;巴巖香・石南藤・南藤)
Sargentodoxa cuneata(S.simplicifolia;大血藤・活血藤) アケビ科
サルオガセの仲間 Usnea diffracta, U.florida, U.longissima
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中国では、唐本草に初見。日本では、奈良時代に入る。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻三「冬木之分」に、「こせう 木。葉ハぢんてうげのるひにて、花白シ。あかき実有。味ヒからきゆへこせうの名ヲ得たり。かならず不可食」と。 |