いちじく
学名 |
Ficus carica |
日本名 |
イチジク |
科名(日本名) |
クワ科 |
日本語別名 |
トウガキ(唐柿)、ナンバンガキ(南蛮柿) |
漢名 |
無花果(ブカカ,wúhuāguŏ,むかか) |
科名(漢名) |
桑(ソウ,sāng)科 |
漢語別名 |
映日果(エイジツカ,yìngrìguŏ)、蜜果、文先果、奶漿果、樹地瓜、明目果 |
英名 |
Common fig, Fig-tree |
2007/04/12 明治薬科大学薬草園 |
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2004/07/31 三芳町竹間沢 |
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2005/08/30 新座市野火止 |
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辨 |
イチジク属 Ficus(榕 róng 屬)には、世界の熱帯・亜熱帯を中心に約850-900種がある。
F. abelii(石榕樹・水牛乳樹・牛奶子) 福建・江西・湖南・兩廣・四川・貴州・雲南産 『雲南の植物Ⅱ』159
F. altissima(高山榕・大葉榕・大靑樹) 兩廣・雲南産 『雲南の植物Ⅲ』162・『中国本草図録』Ⅷ/3527
ホソバムクイヌビワ(キングイヌビワ) F. ampelos 琉球・臺灣・マレシア・ニューギニア産
オオツルイヌビワ F. aurantiaca(F.punctata;橙黃榕)
オオバイチジク F.auriculata(F.oligodon;大果榕・蘋果榕・無花果・饅頭果)
『雲南の植物Ⅲ』165・『中国本草図録』Ⅹ/4555
ベンガルボダイジュ F. benghalensis(孟加拉榕;E.Banyan tree)
クリシュナボダイジュ var. krishnae(F.krishnae)
アカメイヌビワ(コウトウイヌビワ) F. benguetensis(F.fistulosa f.benguetensis, F
.miyagii;黃果榕)琉球・臺灣・フィリピン産
シダレガジュマル F. benjamina(垂葉榕・小葉榕・細葉榕・吊絲榕)
兩廣・四川・貴州・雲南・ヒマラヤ・インド・インドシナ・マレシア・ニューギニア・濠洲北東部産
『雲南の植物Ⅲ』164・『中国本草図録』Ⅹ/4556
トキワイヌビワ(オオトキワイヌビワ) F. boninsimae 小笠原産
イチジク F. carica(無花果)
オオバアコウ F. caulocarpa(F. stipulosa;大葉赤榕) 琉球・臺灣・マレシア・インド産
F. chartacea(紙葉榕)
var. torulosa(無柄紙葉榕)
F. concinna(小葉榕)
コウトウイヌビワ F. cumingii(F.cumingii var.terminalifolia;糙毛榕)
F. cyrtophylla(歪葉榕) 廣西・貴州・雲南・チベット産 『雲南の植物Ⅲ』166
コバンボダイジュ F. deltoidea(F.diversifolia)
インドゴムノキ F. elastica(印度膠樹)
F. erecta
イヌビワ(イタビ) var. erecta(矮小天仙果)
ホソバイヌビワ f. sieboldii(F.erecta var.sieboldii)
ケイヌビワ var. beecheyana(F.erecta var.yamadorii, F.beecheyana;天仙果)
テリハイヌビワ F. fistulosa(F.harlandii;水同木・尖尾榕)
タイワンイヌビワ F. formosana(臺灣榕・長葉牛奶子) 『中国本草図録』Ⅹ/4557
f. shimadai(狹葉臺灣榕)
F. fulva(金毛榕・大赦婆樹) 雲南の植物Ⅲ』167・『中国本草図録』Ⅸ/4075
兩廣・雲南・アッサム・マレシア産
F. gasparriniana(冠毛榕) ベトナム・ミャンマー・ヒマラヤ産
var. laceratifolia(F.bhotanica,F.laceratifolia;菱葉冠毛榕・裂葉榕・樹地爪)
湖北・福建・廣西・四川・貴州・雲南・ヒマラヤ産 『中国本草図録』Ⅵ/2541
F. henryi(尖葉榕) 甘肅・兩湖・廣西・西南・チベット・ベトナム産 『雲南の植物Ⅲ』166
F. heteromorpha(異葉榕・奶漿果) 『中国本草図録』Ⅳ/1585
山西・陝甘・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・ミャンマー産
コウトウカシワイヌビワ F. heteropleura(F.caudatolongifolia;尾葉榕)
『中国本草図録』Ⅰ/0028 『全国中草葯匯編』下/191
F. hispida(對葉榕・牛奶子) 兩廣・雲貴・ヒマラヤ・熱帯アジア・濠洲北部産 『全国中草葯匯編』下/191
オオヤマイチジク F. iidaiana 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ムクイヌビワ F. irisana(糙葉榕) 琉球・臺灣・マレシア産
カシワバゴムノキ F. lyrata
オオバゴムノキ F. macrophylla
F. macropodocarpa(F.stenophylla(竹葉榕) 雲貴・廣西・インドシナ産 『中国本草図録』Ⅹ/4560
ガジュマル F. microcarpa(榕樹・細葉榕) 『中国本草図録』Ⅹ/4558
カシワイヌビワ F. nervosa(九丁樹・猪麻榕樹)
オオトキワイヌビワ F. nishimurae 小笠原産
F. pandurata(琴葉榕) 河南・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・インドシナ産
『中国本草図録』Ⅹ/4559 『全国中草葯匯編』上/820
イワイヌビワ F. pedunculosa(F.pedunculosa var.mearnsii;蔓榕)
カショウイヌビワ F. pubinervis(F.nervasa subsp.pubinervis;綠島榕)
オオイタビ F. pumila(F.pumila var.lutchuensis;薜荔 bìlì・絡石藤・石龍藤・涼粉樹・
・木蓮・水饅頭)『中薬志』Ⅲ/526-532 『全國中草藥匯編』上/248,923
『中国本草図録』Ⅳ/1586。『本草綱目啓蒙』14下/390
本州(千葉以西)・四国・九州・琉球・臺灣・華東・湖南・兩廣・四川・貴州・雲南・インドシナ産
テイカカズラの誌を見よ
アイギョクシ var.awkeotsang(F.awkeotsang)
F. pyriformis(舶梨榕・梨果榕・梨状牛乳子) 福建・兩廣・アッサム産 『中国本草図録』Ⅴ/2045
ウドンゲノキ F. racemosa(F.glomerata;聚果榕・優曇華)
インドボダイジュ F. religiosa(思惟樹・菩提樹)
ヒイランイヌビワ F. ruficaulis(F.ruficaulis var.antaoensis;紅莖榕)
ボダイジュモドキ F. rumphii(心葉榕)
F. sarmentosa(F.foveolata, F.reticulata)
var. duclouxii(大果爬藤榕) 四川・雲南産
アリサンイタビ var. henryi(珍珠蓮・冰粉樹) 臺灣・華東・陝甘・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南産
var. impressa(爬藤榕) 河南・陝甘・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・ベトナム産
var. luducca(長柄爬藤榕) 湖北・兩廣・四川・貴州・雲南・チベット・ヒマラヤ産
var. lacrymens(尾尖爬藤榕) 福建・江西・兩湖・兩廣・雲貴・ベトナム産
イタビカズラ var. nipponica(F.oxyphylla, F.nipponica;白背爬藤榕・天仙果・巖柘榴)
本州(福島新潟以西)・四国・九州・琉球・朝鮮・臺灣・
・華東・兩廣・四川・貴州・雲南・チベット・ヒマラヤ・インドシナ産
var. sarmentosa(匍莖榕・爬崖藤・磨草・風不動) チベット・ヒマラヤ・アッサム・ミャンマー産
ヒメイタビ var. thunbergii(F.thunbergii;少脈爬藤榕)
本州(千葉以西)・四国・九州・琉球・済州島・浙江(?)産
オオバイヌビワ F. septica(稜果榕) 琉球・臺灣・マレシア・ニューギニア・濠洲・太平洋産
F. simplicissima(極簡榕) 海南島・インドシナ・スマトラ・ジャワ産 『全國中草藥匯編 上』p.148
var. hirta(掌葉榕・佛掌榕・五指毛桃) 『中国本草図録』Ⅱ/0526
var. palmatiloba(粗葉榕・五指毛桃) 根を薬用 『全國中草藥匯編 上』pp.151-152
シマダイヌビワ F. stenophylla(F.formosana f.shimadae;竹葉榕)
『全国中草葯匯編』下/258-259
F. superba(華麗榕)
アコウ var.japonica(F.subpisocarpa;筆管榕・雀榕)
イチジクグワ F. sycomorus
ツルイヌビヨ F. tannoensis(濱榕)
ヒメイタビ F. thunbergii(F.sarmentosa var.thunbergii;少脈爬藤榕)
イタビキヅタ F. tikoua(地瓜・地石榴・地膽紫・地枇杷) 『中国本草図録』Ⅵ/2542
兩湖・廣西・四川・貴州・雲南産 『全國中草藥匯編 上』p.338
F. tinctoria
subsp. gibbosa(斜葉榕) 『中国本草図録』Ⅱ/0527
臺灣・福建・廣西・雲貴・チベット・ヒマラヤ・インド・インドシナ・マレシア・北濠洲産
subsp. parastica(凸尖榕) 雲南・ヒマラヤ・インド・インドシナ産
ガランビイヌビワ subsp. swinhoei(匍匐斜葉榕) 臺灣・フィリピン産
タイヘイヨウイヌビワ subsp. tinctoria(斜葉榕)
臺灣・海南島・フィリピン・スラウェシ・ニューギニア・西濠洲・太平洋諸島産
コケモモイタビ F. vaccinioides(越橘葉蔓榕)
ギランイヌビワ(コニシイヌビワ)F. variegata(F.konishii;雜色榕・靑果榕・斡花榕)
琉球・臺灣・兩廣・雲南・インド・インドシナ・マレシア・ニューギニア・濠洲北東部産
F. variolosa(變葉榕・常綠天仙果) 『中国本草図録』Ⅱ/0528
浙江・福建・江西・湖南・兩廣・雲貴・インドシナ産
F. virens(筆管榕)
var. sublanceolata(黃葛樹)
湖北・廣西・四川・貴州・雲南・南&東南アジア・濠洲産 『中国本草図録』Ⅸ/4076
var. virens(綠黃葛樹) 臺灣・福建・兩廣・雲南・ヒマラヤ・南&東南アジア・濠洲産
ハマイヌビワ F. virgata(F.virgata var.philippinensis;島榕)
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クワ科 Moraceae(桑 sāng 科)については、クワ科を見よ。 |
訓 |
漢名の無花果(wúhuāguŏ)は、明・汪穎『食物本草』に初見。
映日果(yìngrìguŏ)は、ペルシア語の anjir の音写。 |
和名イチジクは、本来イヌビワ(イタビ)の名、後に無花果をさす。
イチジクの語言は不明(牧野)。一説に、映日果(yìngrìguŏ)の中国音の転訛か、という。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)27無花果に、「イチジク トウガキ筑前 ウドンゲ加州」と。
ウドンゲ(優曇華,yōutánhuā)は、「優曇鉢・優曇婆羅の花」の省略形。優曇鉢・優曇婆羅は、サンスクリットの udumbara の音写、意味は「霊瑞・稀有」。想像上の植物で、三千年に一度花を開く、という。
今日のウドンゲ Ficus racemosa(聚果榕・優曇華)は、インド原産の常緑高木。 |
説 |
小アジアまたはアラビア南部の原産。雌雄異株。
B.C.2000ころ地中海地方で広く栽培される。
漢土には、唐代にペルシアより入る。
日本には、寛永(1624-1644)年間長崎に渡来。日本のイチジクは全て雌株、受粉せずに花嚢は熟す。 |
誌 |
中国では、果実・根・葉を無花果(ブカカ,wúhuāguŏ)と呼び薬用にする。『全國中草藥匯編 上』pp.157-158 |
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