いぬびわ (犬枇杷) 

学名  Ficus erecta var. erecta (F. japonica, F. erecta var. rhodovenia)
日本名  イヌビワ
科名(日本名)  クワ科
  日本語別名  イタビ・イタブ、コイチジク、チチノミ、ヤマビワ、カラビワ、トウガキ、サルガキ
漢名  矮小天仙果(ワイショウテンセンカ, ăixiăo tiānxiānguŏ)
科名(漢名)  桑(ソウ,sāng)科
  漢語別名  天師果
英名  
2024/04/07
   薬用植物園 

2007/04/10 小石川植物園
2023/04/20 町田市野津田 

2006/08/13 神代植物公園

2009/08/13 入間市宮寺

2011/11/04京都市 枳殻邸
2009/11/26 神代植物公園 
 Ficus erecta には、次のような種内分類群がある。

  イヌビワ
(イタビ) var. erecta(矮小天仙果)
    ホソバイヌビワ f. sieboldii(F.erecta var.sieboldii)
  ケイヌビワ var. beecheyana(F.erecta var.yamadorii, F.beecheyana;
         天仙果)
淡路島・小豆島・琉球・臺灣・華東・兩湖・兩廣・貴州・ベトナム産 
   
 イチジク属 Ficus(榕 róng 屬)の植物については、イチジク属を見よ。
 「和名ハ犬枇杷ノ意、其果びはニ似テ小ク品位下等ナレバいぬヲ加ヘ其名トス、いたび并ニいぬぶハ其語原不明」(『牧野日本植物圖鑑』)。  
 『本草和名』木蓮子及び折傷木に「和名以多比」と。『倭名類聚抄』木蓮子に「和名以太比」と。
 『大和本草』に、「薜荔(ヘキリ) イタヒ也」と。ただし薜荔は蔓をなす藤本である。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』27 無花果の条に、「天仙果 イチジク イヌビハ エノビハ ヱノビ
和州 ヨノンバ同上 カキノホウヅキ勢州 チゝタツボ同上 サルガキ駿州 コダラ薩州 カクロ ウシノヒタヒ防州 マメギ豫州 マメヅタ マメギシバ イヌホウヅキ共ニ同上 イタブ土州 イタツボウ大坂 ヤマビハ肥前 チゝブ筑後 イシヅク同上 イヌトウガキ藝州 ウシノシタ豊前 サルノシリ城州 カラスノビハ同上」と。
 本州(関東以西)・四国・九州・琉球・済州島・臺灣に分布。
 実は食用になる。
 中国では、宋祁(998-1061)に「天仙果贊」がある。
 日本では、『万葉集』に、

   ちちの実の 父のみこと ははそ葉の 母のみこと
   おぼろかに 情
(こころ)尽して 念(おも)ふらむ 其の子なれやも・・・
     
(19/4164,大伴家持)
   大王の まけ
(任)のまにまに 島守に わがたちくれば
   ははそば
(葉)の はは(母)のみことは みも(御裳)のすそ(裾) つみあげかきなで
   ちちのみの ちち
(父)のみことは たくづの(栲綱)の しらひげ(白鬚)のうへ(上)
   なみだ
(涙)たり なげ(嘆)きのたばく・・・ (20/4408,防人の歌)

とある「ちちのみ」は、一説にイヌビワとする。近畿地方の方言に、イヌビワをチチノキ・チチノミということから。
(他説はちちのみをイチョウとするが、イチョウは万葉時代にはまだ渡来していなかった可能性がある)。なお、「ははそ葉」の ははそは、コナラ
 
    ホソバイヌビワ 2024/04/07 薬用植物園
2022/05/11 同上

跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
跡見群芳譜トップ モクゲンジ イチイ アブラチャン タチバナ イロハカエデ 樹木譜index