そらまめぞく (ソラマメ属) 

 マメ科ソラマメ属 Vicia(野豌豆 yěwāndòu 屬)には、世界に約160-240種がある。

  ツルフジバカマ V. amoena(山野豌豆・宿根巣菜・宿根草藤・豆豆苗・蘆豆苗・山黑豆;
         E.Broad-leaf vetch)『中国雑草原色図鑑』118
  ノハラクサフジ V. amurensis(黑龍江野豌豆)
  ホソバノエンドウ V. angustipinnata(V.hirticalycina)
  ベニクサフジ V. benghalensis
  ミヤマタニワタシ V. bifolia(V.unijuga var.bracteata)
本州(栃木~愛知)・朝鮮産 
  トウエンドウ V. bungei(大花野豌豆・三齒萼野豌豆・三齒草藤・山黧豆
{サンリトウ})
         遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・西南・山東・安徽・江蘇産 『中国雑草原色図鑑』120
  V. chinensis(華野豌豆)
  チョウセンエビラフジ V. chosenensis
  クサフジ V. cracca(廣布野豌豆・巣菜・草藤・細葉落豆秧・肥田草;
         E.Bird vetch, Cow vetch)
『中国雑草原色図鑑』120
  ナヨクサフジモドキ V.eriocarpa(V.villosa subsp. eriocarpa)
         
アルジェリア・地中海地方東部・アラビア半島産
  ソラマメ V. faba(蠶豆・南豆・佛豆・胡豆;E.Fava bean, Broadbean, Horse bean,
         Windsor bean)
  ツガルフジ V. fauriei(V.venosa var.fauriei)
 北海道・本州(東北)産 
  キバナカラスノエンドウ V. grandiflora
  スズメノエンドウ V. hirsuta(薇・苕・小巢菜・硬毛果野豌豆・雀野豆)
  ヒロハクサフジ(ハマクサフジ) V. japonica(東方野豌豆・日本野豌豆・透骨草)
         
北海道・本州(近畿以東)・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・極東ロシア・東シベリア産 
         
『中国本草図録』Ⅴ/2170
  V. kulingana (V.edentata;牯嶺野豌豆・紅花豆・無萼齒野豌豆)
 『中国本草図録』Ⅶ/3187
  ヒナカラスノエンドウ V. lathyroides
  オニカラスノエンドウ V. lutea
  アレチノエンドウ V. monantha
  タチノエンドウ V. multicaulis(多莖野豌豆・野毛耳・透骨草)
 『中国本草図録』Ⅴ/2171
         
遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・シベリア・東歐産
  ヨツバハギ V. nipponica
    エダウチヨツバハギ var. ramosa
  V. nummularia(西南野豌豆・黄花野豌豆野馬豆)
  V. ohwiana(頭序歪頭菜)
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・西北・極東ロシア・シベリア産 
  オオバクサフジ V. pseudo-orobus(假香野豌豆・大葉野豌豆・槐條花・大葉草藤・蘆豆苗)
         
歐亞・北アフリカ暖温帯産 『中国本草図録』Ⅵ/2692 
  V. ramosissima(V.gigantea,V.sinogigantea;大野豌豆・野豌豆・大巣菜・薇)
         
『中国本草図録』Ⅰ/0142 華北・陝甘・湖北・四川・雲南産
  V. ramuliflora(V.baicalensis;北野豌豆・貝加爾野豌豆) 『中国本草図録』Ⅸ/4203・4204
  V. sativa
    オオカラスノエンドウ
(オオヤハズエンドウ) subsp. sativa(救荒野豌豆・大巢菜・野綠豆・
         野菜豆・野苕子・薇;E.Common vetch)
         
 『中国本草図録』Ⅵ/2693・『中国雑草原色図鑑』119
    ヤハズエンドウ
(カラスノエンドウ) subsp. nigra(V.angustifolia,
          V.segetalis;窄葉野豌豆・狹葉野豌豆・大巢菜・野綠豆;
         E.Narrowleaved vetch)
『中国雑草原色図鑑』119
      ホソバヤハズエンドウ var. minor
  イブキノエンドウ V. sepium(野豌豆・滇野豌豆;E.Bush vetch)
         
歐洲~シベリア~中国西南産。1568渡来,伊吹山薬草園で栽培,北海道・伊吹山等に帰化 
  カスマグサ V. tetrasperma(四籽野豌豆・烏喙豆)
歐亞暖温帯産、北米に帰化 
  ナンテンハギ (タニワタシ・フタバハギ) V. unijuga(歪頭菜・草豆・两葉豆苗)
  V. venosa
    エビラフジ subsp.cuspidata
      エビラフジ var.cuspidata(V.deflexa)
山形・新潟・長野・富山産 
      シロウマエビラフジ var. glabristyla 白馬岳産 
      ヒメヨツバハギ var. subcuspidata(V.venosa var.cuspidata f.minor) 岡山・九州産 
    ビワコエビラフジ subsp. stolonifera
愛知・岐阜・三重・滋賀産 
    ホソバヨツバハギ subsp. venosa(柳葉野豌豆)
 『中国本草図録』Ⅲ/1228
         
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・極東ロシア・シベリア産
      オオバノヨツバハギ var. albiflora
    シコクエビラハギ subsp. yamanakae
四国産 
  V. villosa
    ビロードクサフジ subsp. villosa(長柔毛野豌豆・毛葉苕子・毛茸苔子;
         E.Fodder vetch)
歐洲・西アジア産、北海道・本州・四国・九州・琉球に帰化 
    ナヨクサフジ subsp. varia
 歐洲産、北海道・本州・四国・九州に帰化 
   
 マメ科 Leguminosae(Fabaceae;豆 dòu 科・荳科)については、マメ科を見よ。
 属名 Vicia は、vincire(巻きつく)から。
 野豌豆の仲間については、ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)も参照。
 『詩経』に「薇を采(と)り薇を采る」と詠われ、伯夷叔斉が「首陽山に隠れ、薇を采」った(『史記』伯夷叔斉伝)というその薇(ビ,wēi)は、野豌豆の仲間だと言う。(我邦では古来「薇」をゼンマイと訓ずるが、誤りと言う)。
 野豌豆類の葉と茎は、味が今日のとうみょう(豆苗・豌豆苗児)によく似て、古代には著名な蔬菜であった。生食も可能であり、またスープの具にもされた。蘇軾が詩に詠った元脩菜がこれであり、巢元脩が嗜んだのでこの名がある。同じ理由で一名を巢菜(ソウサイ,cháocài)といい、今日の野豌豆属の一部の漢名に、それが遺っている。明代には、官により栽培されて、宗廟の祭祀に用いられた。
 若芽を蔬菜とするほか、種子を炒め物にして食い、また花を鑑賞するために栽培することもあった。
 『詩経』国風・召南・草虫に、「彼の南山に陟(のぼ)り、言(ここ)に其の薇を采(と)る」と。

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