ていかかずら (定家蔓) 

学名  Trachelospermum asiaticum
日本名  テイカカズラ
科名(日本名)  キョウチクトウ科
  日本語別名  マサキノカズラ、チョウジカズラ、セキダカズラ(雪駄蔓)
漢名  日本絡石(ニホンラクセキ,riben luoshi)
科名(漢名)  夾竹桃(キョウチクトウ,jiazhutao)科
  漢語別名  亞洲絡石
英名  Japanese star jasmine
2007/05/20 小平市
2005/06/04  森林公園
2006/06/07 京都市嵯峨野
 嵯峨野では、あちこちでかなり気ままに生えているように見えました。


 テイカカズラ属 Trachelospermum(絡石屬)には、次のようなものがある。
   テイカカズラ T. asiaticum(日本絡石)
     チョウジカズラ var. majus
   T. axillare(紫花絡石・車藤)
   T. bodonieri(貴州絡石)
 『雲南の植物Ⅱ』211
   T. brevestylum(短柱絡石・羊角草)
 『雲南の植物Ⅲ』229
   T. cathayanum(乳兒繩)
   T. dunnii(銹毛絡石・大黑骨頭)
   T. foetidum(臺灣絡石)
   T. gracilipes(細梗絡石)
     オキナワテイカカズラ
(リュウキュウテイカカズラ) var. liukiuense
     var. hupehense(湖北絡石)
   トウテイカカズラ
(トウキョウチクトウ・タイワンテイカカズラ) T. jasminoides(絡石・絡石藤・
       卍字茉莉・白花藤・爬山虎・爬墻虎;E.Star jasmine)
       中国(河南・山東・安徽・江蘇・浙江・福建・江西・兩湖・兩廣・貴州・雲南華南)・臺灣に分布。
       
『中薬志Ⅲ』pp.481-485(石南藤)・526-532(絡石藤)、『中国本草図録』Ⅱ/0772 
     ケテイカカズラ var. pubescens
 日本(本州近畿以西・四国・九州・琉球)・朝鮮・中国に分布
     var. heterophyllum(石血・九慶藤・鐡信) 
 キョウチクトウ科 APOCYNACEAE(夾竹桃科)については、キョウチクトウ科を見よ。
 和名は、藤原定家(1162-1241)と式子(しきしまたはしょくし)内親王(ca.1151-1201)に纏わる説話にちなむ。下欄の誌を見よ。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)絡石に、「和名都多」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)絡石に「和名豆太」と。
 すなわち、古くは「つた」という語は、ツタではなく、テイカカズラを指していた。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』14下(1806)絡石に、「テイカゝヅラ ツルクチナシ
勢州 シホフキ薩州」と。
 日本(本州以南)・朝鮮南部に分布。何にでも絡みついて伸張し、茎は径4cm、長10mに達する。
 強い植物なので、よく生垣に用いられる。
 茎葉を乾燥したものは、絡石と呼び、薬用にする。
 和名テイカカズラの元となった藤原定家(1162-1241)は、中世初期の歌人、日記『名月記』の著者、『小倉百人一首』(ca.1235)の撰者。式子内親王(ca.1151-1201)は、後白河天皇(1127-1192)の第3皇女で以仁王(1151-1181)の妹。1159年賀茂斎院、1169年退下、1194年ころ出家。
 金春禅竹
(1405-ca.1470)作とされる謡曲『定家』には、定家との「邪淫の妄執」に成仏できないでいる内親王の亡霊が登場する。すなわち都の「式子内親王の御墓」の「星霜古りたる」石塔に「蔦蔓這ひまとひ」、「この蔓をば定家蔓と申し」、「式子内親王初めは賀茂の斎の宮にそなはり給ひしが、程なく下り居させ給ひしを、定家の卿忍び忍びの御契り浅からず。その後式子内親王程なく空しくなり給ひしに、定家の執心蔓となつて御墓に這ひまとひ、互ひの苦しみ離れやらず」と。
 なお、式子内親王の塚は、指月山般舟三昧院
(京都市上京区)にあり、定家蔓の墓とも呼ばれている。 
 『古事記』(あめ)の石屋戸(いわやと)の場面で、天宇受売(あめのうずめ)の命(みこと)が「天の真拆(まさき)を縵(かづら)と為(し)て」踊ったという、そのまさきは、一説にテイカカズラとする。
 『万葉集』に、つた・いはつた・いはつな・つのなどと呼ばれる植物は、テイカカズラであるという。つな・つのは、ツタの転訛。
 次のような枕詞に用いられる。
  「いわつなの」は、をつ・をつちかへる(若返る)にかかる。
  「は
(這)うつた(蔦)の」は、わかる・おのがむきむきにかかる。
  「つのさはふ」は、いわにかかる。
(ツタが多(さは)に這う意だと言う)。
 『古今集』巻20 神あそびのうたに、

   まきもくの あなしの山の 山人と ひともみるがに 山かづらせよ
   み山には あられふるらし と山なる まさきのかずら 色づきにけり

とある
(一に、このまさきのかずらをテイカカズラとし、一に ツルマサキ Euonymus fortunei とする。)

 西行
(1118-1190)『山家集』に、

   かづらきや まさきの色は 秋ににて よそのこずゑは みどりなる哉
     
(かづらき(葛城)をすぎ侍りけるに、をりにもあらぬもみぢの見えけるを、
      
なにぞととひければ、まさきなりと申けるを聞て)

 『新古今集』に、

   松にはふまさきのかづら散りにけりと山の秋に風すさむらん
(西行法師)
   神無月時雨ふるらしさほ山のまさきのかづら色まさり行く
(読人不知)
 
 『花壇地錦抄』(1695)巻三「藤桂のるひ」に、「薜茘桂(まさきかつら) 葉ハ大つげのごとくニて木ニまといて生ル。葉、冬有リ」、「絡石(ていか) 葉ハまさきかつらのちいさき物なり。少シの枯石(ほくいし)等ニまとひ付、あいらしき物也。かづら、冬有」と。


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