辨 |
種内で地域的変異があり、ヒロハノキハダ(カラフトキハダ) var. sachaliense・オオバノキハダ var. japonicum・ミヤマキハダ var. lavallei などがある。 |
キハダ属 Phellodendron(黃蘗 huángbò 屬)は、アジアの温帯に2-4種がある。
キハダ P.amurense(黃蘗・關黃蘗)
オオバノキハダ var. japonicum 関東・中部(中南部)産
ミヤマキハダ var. lavallei 北海道・東北・中部(北部)産
ヒロハノキハダ(カラフトキハダ) var. sachaliense 本州北部・北海道に分布
P.chinense(黃皮樹・川黃蘗・灰皮柏・華黃柏・小黃連樹) 兩湖・四川産
var. falcatum(鐮葉黃皮樹) 雲南産
var. glabriusculum (禿葉黃皮樹)
臺灣・江蘇・浙江・兩湖・兩廣・陝甘・四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅹ/4680
var. omeiense(峨嵋黃皮樹) 四川産
var. yunnanense(雲南黃皮樹) 雲南産
タイワンキハダ P.wilsonii(臺灣黃蘗・魏氏黃蘗)臺灣産
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ミカン科 Rutaceae(芸香 yúnxiāng 科)については、ミカン科を見よ。 |
訓 |
「和名ハ黃膚ノ意、其内皮黃色ナルヲ以テ云フ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
漢名の檗・蘗(ハク,bò)は 同音同義、キハダを指す。小檗・小蘗とは、メギの仲間。 |
漢語の柏(ハク)は、bó・băi と読めばヒノキ科の植物の総称(狭くはコノテガシワ)。 bò と読めばキハダ。 |
『本草和名』蘗に、「和名岐波多」と。
『延喜式』黄蘗に、「キハタ」と。
『倭名類聚抄』蘗に「和名岐波太」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』蘗木に、「キハダ木皮黄色ナル故ニキハダト名ク」と。 |
アイヌ語で、ヒロハノキハダ(カラフトキハダ)の実をシケレベ、木をシケレベニと云う。
日本語に入り、訛ってキハダの実をシコノヘイ、更に訛ってシコロと云う。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・寧夏・アムール・ウスリー・中央アジアに分布。
雌雄異株。 |
誌 |
樹皮の内皮をコルクとして用い、また黄色の染料にする。 |
中国では、キハダなどの、樹皮のコルク層を除き 乾燥したものを、黃蘖・黃檗・黃柏(コウハク,huángbò,おうばく)と呼び薬用にする品)。
『中薬志Ⅲ』pp.454-458 『全国中草葯匯編』上/769-770 『(修訂) 中葯志』V/498-506
キハダ P. amurense(黃蘖)
P.chinense(黃皮樹・川黃蘗)
日本では、生薬オウバクは キハダ又は Phellodendron chinense の周皮を除いた樹皮である(第十八改正日本薬局方)。
主成分はベルベリン、はなはだ苦い。(商品名を「ワカ末」というものはこれであるという)。 |
キハダの皮やセンブリの根を煮詰めて作った、黒い飴のような形の胃薬を、陀羅尼助(だらにすけ)という。奈良県(大峯・当麻など)の産。
大変に苦いので、僧侶が陀羅尼を唱えるときに眠気覚ましに口に含んだと云う。 |