きはだ (黄膚)

学名  Phellodendron amurense
日本名  キハダ
科名(日本名)  ミカン科
  日本語別名  
漢名  黃蘗・黃檗・黃柏(コウハク,huángbò,おうばく)
科名(漢名)  芸香(ウンコウ,yúnxiāng)科
  漢語別名  蘗、黃波羅・黃波欏、黃伯栗
英名  Amur cork tree
2024/02/10 薬用植物園 
2007/04/19 同上 2007/05/03 同左
2016/05/15 諏訪高島城址 
 旧幕時代に薬用に植えられた株という。

雄株   2007/05/26 薬用植物園
2008/06/01 同上
2007/06/02 神代植物公園
2006/06/04 北海道大学 


 種内で地域的変異があり、ヒロハノキハダ(カラフトキハダ) var. sachaliense・オオバノキハダ var. japonicum・ミヤマキハダ var. lavallei などがある。
 キハダ属 Phellodendron(蘗 huángbò 屬)は、アジアの温帯に2-4種がある。

  キハダ P.amurense(・關蘗)
    オオバノキハダ var. japonicum
 関東・中部(中南部)産 
    ミヤマキハダ var. lavallei
 北海道・東北・中部(北部)産 
    ヒロハノキハダ(カラフトキハダ) var. sachaliense
 本州北部・北海道に分布
  P.chinense(黃皮樹・川蘗・灰皮柏・華黃柏・小連樹)
兩湖・四川産
    var. falcatum(鐮葉黃皮樹)
雲南産
    var. glabriusculum (禿葉黃皮樹)
          臺灣・江蘇・浙江・兩湖・兩廣・陝甘・四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅹ/4680
    var. omeiense(峨嵋黃皮樹)
四川産
    var. yunnanense(雲南黃皮樹)
雲南産
  タイワンキハダ P.wilsonii(臺灣黃蘗・魏氏黃蘗)
臺灣産 
   
 ミカン科 Rutaceae(芸香 yúnxiāng 科)については、ミカン科を見よ。
 「和名ハ黃膚ノ意、其内皮黃色ナルヲ以テ云フ」(『牧野日本植物図鑑』)。
 漢名の檗・蘗(ハク,bò)は 同音同義、キハダを指す。小檗・小蘗とは、メギの仲間。
 漢語の柏(ハク)は、bó・băi と読めばヒノキ科の植物の総称(狭くはコノテガシワ)。 bò と読めばキハダ
 『本草和名』蘗に、「和名岐波多」と。
 『延喜式』黄蘗に、「キハタ」と。
 『倭名類聚抄』蘗に「和名岐波太」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』蘗木に、「キハダ
木皮黄色ナル故ニキハダト名ク」と。
 アイヌ語で、ヒロハノキハダ(カラフトキハダ)の実をシケレベ、木をシケレベニと云う。
 日本語に入り、訛ってキハダの実をシコノヘイ、更に訛ってシコロと云う。
 北海道・本州・四国・九州・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・寧夏・アムール・ウスリー・中央アジアに分布。
 雌雄異株。
 樹皮の内皮をコルクとして用い、また黄色の染料にする。
 中国では、キハダなどの、樹皮のコルク層を除き 乾燥したものを、黃蘖・黃檗・黃柏(コウハク,huángbò,おうばく)と呼び薬用にする品)。
  
『中薬志Ⅲ』pp.454-458 『全国中草葯匯編』上/769-770 『(修訂) 中葯志』V/498-506 

   キハダ P. amurense(黃蘖)
   P.chinense(黃皮樹・川蘗)

 日本では、生薬オウバクは キハダ又は Phellodendron chinense の周皮を除いた樹皮である(第十八改正日本薬局方)。

 主成分はベルベリン、はなはだ苦い。
(商品名を「ワカ末」というものはこれであるという)
 キハダの皮やセンブリの根を煮詰めて作った、黒い飴のような形の胃薬を、陀羅尼助(だらにすけ)という。奈良県(大峯・当麻など)の産。
 大変に苦いので、僧侶が陀羅尼を唱えるときに眠気覚ましに口に含んだと云う。

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