辨 |
キブシ科 Stachyuraceae(旌節花 jīngjiéhuā 科)は、キブシ属1属のみ。 |
キブシ属 Stachyurus(旌節花 jīngjiéhuā 屬)には、東アジア~ヒマラヤに8-9種がある。
タイワンキブシ S. chinensis(中國旌節花・旌節花・水涼子・通花・通草)
河南・陝西・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・チベット・ベトナム産 『中国本草図録』Ⅵ/2728
S. cordatulus(滇緬旌節花) 雲南・ミャンマー産
ヒマラヤキブシ S. himalaicus(喜馬山旌節花・西域旌節花・小通草・小通花・通條樹)
S. macrocarpus
ナガバキブシ var. macrocarpus(S.praecox var.macrocarpus)
小笠原産 絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
ハザクラキブシ var. prunifolius 小笠原産
S. obovatus(倒卵葉旌節花・小通草) 四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅶ/3232
キブシ S. praecox(S.lancifolius) 中国『植物智』は S.chinensis のシノニムとする
ハチジョウキブシ var. matsuzakii(S.matsuzakii)
S. retusus(S.szechuanensis;凹葉旌節花) 四川・雲南産 『中国本草図録』Ⅶ/3233
S. salicifolius(柳葉旌節花・通花・鐵泡桐) 廣東・四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅶ/3234
タロコキブシ S. sigeyoshii 中国『植物智』は S.chinensis のシノニムとする
S. yunnanensis(S.oblongifolius, S.callosus;雲南旌節花) 兩湖・廣東・四川・貴州・雲南産
var. pedicellatus(長梗旌節花)
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訓 |
和名は、会津で婦人が、この種子をヌルデのふし(五倍子・附子)の代用としてお歯黒に用いたことから。俗にきふじと呼び、藤と結びつけるのは誤り。「果實ヲ五倍子ノ代品トシテ用ウ、故ニ木ぶし又ハ豆ぶしノ名アリ」(『牧野日本植物圖鑑』)。
ズイ・ズイノキは、幹の髄をさまざまに利用したことから。ツキダシノキも、髄を突き出して遊んだことから。
ゴンズイについては、ゴンズイの訓を参照。 |
説 |
北海道(渡島半島)・本州・四国・九州・琉球・朝鮮に分布。
雌雄異株(又は雌雄同株)。固い球形の果実の中に小さい豆状の種子を多数入れる。 |
誌 |
種子はタンニンの原料とし、また粉にしてふしの代用として黒色染料として用いる。
幹には白い髄が有り、子供はそれを押出して遊ぶ。 |
中国では、次のような植物の茎の髄を小通草(ショウツウソウ,xiăotōngcăo)と呼び薬用にする(〇印は正品)。
『中薬志Ⅲ』pp.546-550 『全国中草葯匯編』下/81-82 『(修訂) 中葯志』V/537-542
〇タイワンキブシ(タロコキブシ) Stachyurus chinensis(S.sigeyosii;中國旌節花・通花・通草)
〇ヒマラヤキブシ Stachyurus himalaicus(喜馬山旌節花・西域旌節花・通條樹)
Stachyurus obovatus(倒卵葉旌節花・小通草)
キブシ S. praecox(S.matsuzakii;旌節花)
Stachyurus retusus(S.szechuanensis;凹葉旌節花)
Stachyurus salicifolius(柳葉旌節花・通花・鐵泡桐)
〇Stachyurus yunnanensis(S.oblongifolius, S.callosus;雲南旌節花)
クサネム Aeschynomene indica(田皂角・合萌)
Helwingia chinensis(中華靑莢葉・葉長花)
Helwingia himalaica(西藏靑莢葉・西南靑莢葉)
〇ハナイカダ Helwingia japonica(H.japonica f.lancifolia;靑莢葉・葉上花)
カラコンテリギ Hydrangea chinensis(H.umbellata;中國繡毬・傘形繡毬・野八仙・常山)
ヤマブキ Kerria japonica(棣棠)
なお、通草(ツウソウ,tōngcăo)はカミヤツデ。 |