荒城の月
 

作者名  土井晩翠 (1871-1952)
作品名  荒城の月
制作年代  1888
収載書名  
刊行年代  
 その他  東京音楽学校の依頼により作る。作曲は瀧廉太郎(1879-1903)。
 
春高樓の花の宴
めぐる盃影さして
千代の松が枝わけいでし
昔の光いまいづこ。

秋陣營の霜の色
鳴き行く雁の數見せて
植うるつるぎに照りそひし
むかしの光今いづこ。

いま荒城のよはの月
變らぬ光たがためぞ
垣に殘るはただかつら
松に歌ふはただあらし。

天上影は變らねど
榮枯は移る世の姿
寫さんとてか今もなほ
ああ荒城のよはの月。 


 詠いこまれた植物   サクラマツカツラ
なにごとも かはりのみゆく 世の中に おなじかげにて すめる月哉
ながむれば ほかのかげこそ ゆかしけれ かはらじものを あきのよの月
    
(西行『山家集』秋)

 第2番にでてくる「植うるつるぎ」とは何かという話が、高島俊男『お言葉ですが・・・6 
イチレツランパン破裂して』
(文春文庫,2005)pp.268-282 にある。



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