辨 |
被子植物の分類については、被子植物 Angiospermae を見よ。 |
ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae(馬兜鈴 mădōulíng 科)には、4-5属 約500種がある。
Apama(阿柏麻屬) 近年は Thottea に含むことが多い
A. hainanensis(阿柏麻)
ウマノスズクサ属 Aristolochia(馬兜鈴屬)
incl. Isotrema
カンアオイ属 Asarum(細辛屬)
Hydnora(鞭寄生屬)
Lactoris(嚢粉花屬)
Saruma(馬蹄香屬)
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ウマノスズクサ属 Aristolochia(馬兜鈴 mădōulíng 屬)には、温帯から熱帯に約400種がある。
incl. Isotrema
A. autroszechuanica(川南馬兜鈴・大葉靑木香) 四川・貴州産
根を薬用 『全國中草藥匯編 上』pp.50-51『中国本草図録』Ⅶ/3056
A. braziliensis
A. calcicola(青香藤・南木香)
A. championii(三筒管・長葉馬兜鈴) 『中国本草図録』Ⅱ/05 『全国中草葯匯編』下/20
A. cinnabarina(四川硃砂蓮)
A. clematitis(E.;Birthwort)
マルバウマノスズクサ A. contorta(A.nipponica;北馬兜鈴・馬兜鈴・臭葫蘆・後老婆罐)
『中国本草図録』Ⅰ/0033・『中国雑草原色図鑑』18
コロバウマノスズクサ A. cucurbitifolia(南瓜葉馬兜鈴・瓜葉馬兜鈴・靑木香)
A. cucurbitoides(齒被馬兜鈴・葫蘆葉馬兜鈴)
ウマノスズクサ A. debilis(馬兜鈴・靑木香)
A. delavayi(貫葉馬兜鈴)
var. micrantha(山草果・山蔓草)
パイプカズラ A. elegans(A.littoralis;美麗馬兜鈴)
A. fangchi(防己馬兜鈴・廣防己) 『中国本草図録』Ⅳ/1590・『全國中草藥匯編』上 pp.23-24
防己についてはツヅラフジを参照。
A. feddei(大寒藥)
A. fimbriata(卷毛巨花馬兜鈴)
A. fordiana(通城虎) 廣西産 『全国中草葯匯編』上/682-683
A. gentilis(優貴馬兜鈴・小馬兜鈴・小獨一味)
A. gigantea(巨花馬兜鈴)
ペリカンバナ(オオパイプカズラ) A. grandiflora(大花巨花馬兜鈴;
E.Dutchman's pipe) グアテマラ・アンティル諸島産
A. griffithii(西藏馬兜鈴) 中国(雲南)・ヒマラヤ産、
『中国本草図録』Ⅴ/2053・『週刊朝日百科 植物の世界』9-48
A. hainanensis(海南馬兜鈴) 『中国本草図録』Ⅲ/1081
A. heterophylla(異葉馬兜鈴・異形馬兜鈴・漢中防己・防己・靑木香)
『中薬志Ⅰ』pp.246-255 『全国中草葯匯編』下/162-163 『中国本草図録』Ⅶ/3057
防己についてはツヅラフジを参照。
オオバウマノスズクサ A. kaempferi(Isotrema kaempferi;大葉馬兜鈴)
A. kwangsiensis(A. shukangii;廣西馬兜鈴・大葉馬兜鈴・管南香) 『中国本草図録』Ⅰ/0035
リュウキュウウマノスズクサ A. liukiensis(琉球馬兜鈴)
キダチウマノスズクサ A. manshuriensis(Isotrema manshuriensis, Hoquartia
manshuriensis;木通馬兜鈴・馬木通・關木通)『中国本草図録』Ⅳ/1591
藤茎を關木通と呼び薬用 『全國中草藥匯編 上』pp.312-313 木通を参照
A. minutissama(朱砂蓮) 『全國中草藥匯編 上』p.375
A. mollis(柔毛馬兜鈴・金獅藤・金絲藤) 『全国中草葯匯編』下/401-402
ビロードウマノスズクサ A. mollissima(綿毛馬兜鈴・尋骨風)
『中国本草図録』Ⅳ/1592 『全國中草藥匯編 上』p.350 『(修訂) 中葯志』IV/379-383
モッコウウマノスズクサ A. moupinensis(木香馬兜鈴・寶興馬兜鈴・
淮通馬兜鈴・穆坪馬兜鈴)
『雲南の植物Ⅰ』80・『中国本草図録』Ⅶ/3058・『週刊朝日百科 植物の世界』9-34
A. neolengifolia(綫葉馬兜鈴) 『中国本草図録』Ⅴ/2054
A. ovatifolia(卵葉馬兜鈴・毛藤香) 『中国本草図録』Ⅶ/3059
A. recurvilabra(彎唇馬兜鈴)
A. saccata(Isotrema saccatum;嚢花馬兜鈴) 雲南・シッキム・インド産 雲南で馬兜鈴として薬用
A. salvadorensis(雙目馬兜鈴)
アリマウマノスズクサ(タイワンウマノスズクサ・ホソバウマノスズクサ)
A. shimadae(A.onoei;臺灣馬兜鈴・木香・藤薯)
A. szemaoense(思茅馬兜鈴・夢卜防己)
A. tagala(卵葉馬兜鈴・耳葉馬兜鈴・黒面防己) 『中国本草図録』Ⅰ/0036
タンザワウマノスズクサ A. tanzawana(A.kaempferi var.tanzawana)
A. transsecta(粉質花馬兜鈴・細尖馬兜鈴・粉質青木香・蝴蝶暗消)
A. tricaudata
A. tuberosa(背蛇生・硃砂連・廣西硃砂連) 『中国本草図録』Ⅹ/4571
A. tubiflora(管花馬兜鈴・逼血雷)
A. westlandii(Isotrema westlandii;
香港關木通・香港馬兜鈴・銀袋・百解馬兜鈴・廣防己・藤防己・防己)
A. yunnanensis(雲南馬兜鈴・南木香)
コウシュンウマノスズクサ A. zollingeriana(A.kankauensis;港口馬兜鈴)
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訓 |
和名ウマノスズクサは、果実の形から。
漢名馬兜鈴(バトウレイ,mădōulíng)も同。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』14(1806)馬兜鈴に、「ジヤカウサウ苗ノ名。下同 ウマノスゞカケ和州 ツンボグサ播州。コノ実耳ヲ毒ス、故ニ名ク チドリサウ同上 ウマノスゞグサ片玉本草 ウマノスゞ実ノ名 スゞナリ勢州。同上 靑木香根名」と。 |
属名は、 aristos(最善)+locheia(出産)の意。ヨーロッパでは、A. clematitis の根茎の芳香が分娩の痛みを和らげると考え、これを安産の薬としたことから。
A. clematitis の英名 Birthwort も同意。なお Birthwort はウマノスズクサ属の植物の総称としても用いる。 |
英名 Dutchman's pipe は、花の形から。 |
説 |
本州(中部以西)・四国・九州・河南・山東・華東・兩湖・廣西に分布。
ウマノスズクサ属の植物は、一般に有毒。 |
誌 |
中国では、ウマノスズクサ Aristolochia debilis(馬兜鈴)及びマルバウマノスズクサ A.contorta(北馬兜鈴)の成熟した果実を馬兜鈴(バトウレイ,mădōulíng)と呼び、茎葉を天仙藤(テンセントウ,tiānxiànténg)と呼び、根を靑木香(セイボクコウ,qīngmùxiāng)と呼んで、いずれも薬用にする。『全國中草藥匯編 上』83-84,476-47 『中薬志』Ⅰ/277-281,Ⅱ/69-74,Ⅲ/479-481 『(修訂)中葯志』Ⅲ/190-197,V/557-559
上記のほか、雲南・チベットでは Aristolochia saccata(Isotrema saccatum;嚢花馬兜鈴)の果実を、また雲南・貴州では
ユリ科の Cardiocrinum cathayanum(蕎麥葉大百合)・ヒマラヤウバユリ Cardiocrinum giganteum(大百合・心葉百合)・テッポウユリ Lilium longiflorum(麝香百合)の果実或は種子を、馬兜鈴として薬用。
廣東では、クスノキ科のスナヅル Cassytha filiformis(無根藤)の蔓を天仙藤として薬用。
地方によりウマノスズクサ属の幾つかの種を同様に靑木香として薬用する。また北京ではキク科のオオグルマ Inula helenum(土木香・祁木香)及び I.racemosa(藏木香) を靑木香と呼び、雲南ではキク科の Dolomiae edulis(Vladimiria
edulis;菜木香), D.forrestii(V.forrestii;膜緣木香) 及び D.berardioidea(V.berardioidea;厚葉木香)を靑木香と呼び、それぞれ薬用する。『全國中草藥匯編 上』pp.476-477
なお、木香(ボクコウ,mùxiāng,もっこう)と呼ぶ中薬については、モッコウを見よ。 |
中国では、また キダチウマノスズクサ A. manshuriensis(關木通)など幾つかの植物を木通(ボクツウ, mùtōng)として薬用にする。木通を見よ。 |