たいつりおうぎ (鯛釣黄耆)
学名 |
Astragalus mongholicus (A.membranaceus var.obtusus, A.shinanensis) |
日本名 |
タイツリオウギ |
科名(日本名) |
マメ科 |
日本語別名 |
ヤワラクサ、キバナ(黄花)オウギ、ボウコウ(膀胱)オウギ |
漢名 |
黃耆(黃芪,コウキ,huángqí,おうぎ) |
科名(漢名) |
豆(トウ,dòu)科 |
漢語別名 |
膜莢黃耆(バクキョウコウキ,mojiahuangqi)、東北黃耆、蒙古黃耆、東山黃耆 |
英名 |
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辨 |
ゲンゲ属 Astragalus(黃耆 huángqí 屬)については、ゲンゲ属を見よ。 |
YList によれば、次の三植物はそれぞれ独立した種として扱われる。
キバナオウギ A. membranaceus(A.penduliflorus var.dahuricus,
A.mongholicus var.dahuricus)
モウコモメンヅル(ナイモウオウギ) A. mongholicus(A.membranaceus var.mongholicus,
A.penduliflorus subsp.mongholicus)
タイツリオウギ A. shinanensis(A.membranaceus var.obtusus, A.yezoensis)
Kew植物園の IPNI によれば、これらの三植物は次の二種にまとめられている。
A. mongholicus(A.penduliflorus var.mongholicus, A.membranaceus,
A.mongholicus var.dahuricus, etc.)
A. shinanensis(A.yezoensis)
中国の『植物智』によれば、これらの三植物は次の一種にまとめられている。
A. membranaceus var. mongholicus(A.membranaceus, A.shinanensis, A.mongholicus,
A.membranaceus var.obtusus, A.mongholicus var.dahuricus, etc.;
蒙古黃耆 ménggŭ huángqí・膜莢黃耆・黃耆)
『本草図譜総合解説』(木島)も同意見
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訓 |
漢名の黃耆(黃芪,コウキ,huángqí,おうぎ)について:
李時珍『本草綱目』(ca.1596)黃耆の釈名に、「耆(キ,qí)は長なり。黃耆は、色 黃にして補藥の長たり、故に名づく。今 俗に通じて黄芪に作る。或は蓍(シ,shī)に作る者は非なり。蓍は乃ち蓍龜(シキ,shīguī,筮竹と亀甲、占いの道具)の蓍、音は尸(シ,shī)なり」と。
(『中国高等植物図鑑』が黃蓍と記すのは、単なる誤植か。ちなみに蓍(シ,shī)はノコギリソウ、古くその茎でめどぎを作った。) |
今日の中華人民共和国では黄芪の字を用いる。芪は耆と同音同義。所謂簡体字ではないが、この植物の名ぐらいでしか用いられない。 |
和名のタイツリ・ボウコウとは、実の形から。 |
『本草和名』黄耆に、「和名也波良久佐、一名加波良久佐」と。
『延喜式』黃蓍に、「ヤハラクサ、カハラクサ」と。
『倭名類聚抄』黄耆に、「和名夜波良久佐」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』8(1806)黄耆に、「ワウギ通名」と。
岩崎灌園『本草圖譜』(1828)に、「黄耆(ワウギ) やはらくさ」と。 |
説 |
北海道・本州(岩手・中部高山)・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・モンゴリア・極東ロシア・シベリアに分布。 |
誌 |
中国では、キバナオウギ・モウコモメンヅルなどの根を黃耆(黃芪)・綿黃耆・綿耆と呼び薬用にする(〇印は正品)。 『中薬志Ⅰ』pp.451-456 『全国中草葯匯編』上/761-763
Astragalus chrysopterus (金翼黃耆)
Astragalus ernestii (梭果黃耆)
Astragalus floridulus (多花黃耆)
Astragalus maowenensis (茂汶黃耆)
〇キバナオウギ Astragalus membranaceus(膜莢黃耆)
〇モウコモメンヅル Astragalus mongholicus(蒙古黃耆)
Astragalus tongolensis (東俄洛黃耆・黑毛果黃耆・白耆)
Astragalus yunnanensis (雲南黃耆)
また、地方により次のようなものの根を、土黃耆と呼び薬用し、或は黃耆として用いる。
ムレスズメ Caragana sinica(C.chamlagu;錦鷄兒)
ムラサキウマゴヤシ Medicago sativa(苜蓿)
Melilotus officinalis
シロバナシナガワハギ subsp. albus(M.albus;白花草木樨)
シナガワハギ subsp. suaveolens(M.suaveolens;草木樨・野苜蓿)
Oxytropis coerulea藍花棘豆・小花棘豆)
ノアズキ Dunbaria villosa(毛野扁豆) マメ科
ウスベニタチアオイ Althaea officinale(藥蜀葵・土黃耆)
ナガエアオイ Malva pusilla(M.rotundifolia;圓葉錦葵)
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日本では、生薬オウギは キバナオウギ又は Astragalus mongholicus の根である(第十八改正日本薬局方)。 |
日本では、また、イワオウギ(岩黄耆、タテヤマオウギ) Hedysarum vicioides(H.iwawogi;擬蠶豆,ギサントウ, nicandou)を、和黄耆(わおうぎ)の名で同様に薬用にした。
また、日本で唐黄耆(からおうぎ)と呼んだものは Hedysarum polybotrys(多序巖黃耆)、中国では紅耆・束耆の名で 同様に薬用にする。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 夏之部」に、「わうき 中。葉も花も、藤のちさきもの也。薬種のわうき」と。 |
キバナオウギ |
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2008/04/05 明治薬科大学薬草園
「Astragalus membranaceus Bunge」キバナオウギ」と標示 |
2008/07/21 薬用植物園
「キバナオウギ」と標示 |
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2008/08/19 薬用植物園(キバナオウギ) |
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2010/08/24 富山県薬用植物指導センター 「Astragalus membranaceus Bunge」キバナオウギ」と標示
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