げんげ
学名 |
Astragalus sinicus |
日本名 |
ゲンゲ |
科名(日本名) |
マメ科 |
日本語別名 |
レンゲ(蓮華)・レンゲソウ(蓮華草)・レンゲバナ、ゲンゲン・ゲゲバナ・ゲゲナ、デンソウ、タエンドウ、タブドウ。、シャカバナ、ホウゾウバナ・フウゾバナ、ホウトウゲ、ミヤコグサ、モウセングサ、コヤシグサ、ゴギョウ |
漢名 |
紫雲英(シウンエイ, zĭyúnyīng) |
科名(漢名) |
豆(トウ,dòu)科 |
漢語別名 |
沙蒺藜(サシツレイ,shājíli)、草蒺藜(ソウシツレイ,căojíli)、
馬苕子(バチョウシ,mătiáozi)、苕子菜(チョウシサイ,tiáozĭcài)、
米布袋(ベイフタイ,mĭbùdài)、紅花草(コウカソウ,hónghuācăo)、花草(カソウ,huācăo)、
草子(ソウシ,căozi)、翹搖(ギョウヨウ,qiáoyáo)、翹饒(ギョウジョウ,qiáoráo)、
苕饒(チョウジョウ,tiáoráo) |
英名 |
Milk vetch |
2024/03/03 植物多様性センター |
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2010/04/09 入間市宮寺 |
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2009/04/16 入間市宮寺 |
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2007/04/29 野川公園自然観察園 |
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2007/04/30 あきる野市留原 |
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2005/05/04 埼玉県児玉町 |
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2008/05/04 薬用植物園 |
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2013/05/04 入間市宮寺 |
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辨 |
ゲンゲ属 Astragalus(黃耆・黃芪 コウキ,huángqí,おうぎ 屬)には、次のようなものがある。
A. acaulis(無莖黃耆) 四川・雲南・チベット・シッキム産 『中国本草図録』Ⅷ/3645
サイシュウモメンヅル A. adsurgens var. alpinus
A. bhotanensis (地八角・球花紫雲英) 陝甘・西南・チベット・ヒマラヤ産 『雲南の植物Ⅱ』132
マルバノコゴメオウギ A. capillipes (毛細柄黃耆)
キバナノモメンヅル A. chinensis (華黃耆・地黃耆・天津沙苑子)『中国雑草原色図鑑』98
華北・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・極東ロシア産 『中国本草図録』Ⅱ/0611
『(修訂) 中葯志』III/411-419
A. chrysopterus (金翼黃耆) 河北・山西・陝甘・寧夏・靑海・四川産
ダフリアオウギ A. dahuricusa(達呼(烏)里黃耆・野豆角花・興安黃耆)
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・四川・モンゴル・ロシア産 『中国本草図録』Ⅵ/2673
ダライゲンゲ A. dalaiensis(草原黃耆) 内蒙古産
クロガクモメンヅル A. danicus(丹麥黃耆) 歐洲・中央アジア・シベリア・モンゴリア・極東ロシア産
ムラサキオウギ A. davuricus(Galega davurica達烏里黃耆・野豆角花・興安黃耆)
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・四川・モンゴル・ロシア産 『中国本草図録』Ⅵ/2673
A. degensis(窄翼黃耆) 雲南産 『中国本草図録』Ⅷ/3646
A. ernestii (梭果黃耆) 四川・雲南・チベット産
A. floridulus(A.floridus;多花黃耆)
甘肅・青海・四川・チベット・ヒマラヤ産 『中国本草図録』Ⅷ/3647
A. frigidus(A.secundus;廣布黃耆) 四川・雲南・モンゴリアから歐亞亜寒帯に産
リシリオウギ subsp. parviflorus(A.secundus)
チャボゲンゲ A. galactites(乳白黃耆) 遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・南シベリア産
A. gummifer 西アジア産 薬用、生薬トラガント
A. hoantchy(烏拉特黃耆・賀蘭山黃耆) チベット産 『中国本草図録』Ⅹ/4643
ウスギモメンヅル A. inopinatus)
エゾモメンヅル A. japonicus(A.kurilensis) 北海道産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
カワカミモメンヅル A. kawakamii 択捉産
A. kialensis(苦黃耆・西康黃耆) 四川・雲南・チベット産 『中国本草図録』Ⅷ/3648
A. laxmannii
subsp. laxmannii(斜莖黃耆) 遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・西南・モンゴリア・極東ロシア・シベリア産
ムラサキモメンヅル var. adsurgens(A.adsurgens,
A.laxmannii var.fujisanensis,A.fujisanensis;
直立黃耆・直莖黃耆・斜莖黃耆・地丁・沙苑子)
『中国本草図録』Ⅴ/2153・『中国雑草原色図鑑』97。
日本では高山植物。『週刊朝日百科 植物の世界』4-307
A. maowenensis(茂汶黃耆) 四川産
シナガワハギモドキ A. melilotoides (草木樨狀黃耆・草木樨狀紫雲英)
長江以北・モンゴリア・シベリア産 『中国本草図録』Ⅶ/3169・『中国雑草原色図鑑』98
var. tennuis(細葉黃耆) 長江以北・モンゴリア・シベリア産 『中国本草図録』Ⅶ/3170
キバナオウギ A. membranaceus(A.penduliflorus var.dahuricus,
A.mongholicus var.dahuricus)
サイシュウオウギ var. nakaianus(A.nakaianus, A.mongholicus var.nakaianus)
モウコモメンヅル(ナイモウオウギ) A. mongholicus(A.membranaceus var.mongholicus,
A.penduliflorus subsp.mongholicus;
膜莢黃耆・黃耆・蒙古黃耆) 『中薬志Ⅰ』pp.451-456、『中国本草図録』Ⅴ/2154
華北・黑龍江・モンゴリア・極東ロシア・シベリア産
ヒナモメンヅル A. miniatus(細弱黃耆)
A. monadelphus (單蕊黃耆・單體蕊樨) 甘肅・青海・四川産 『中国本草図録』Ⅷ/3649
ナンコオウギ A. nankotaizanensis(南湖大山紫雲英・南口臺黃耆)
キバナゲンゲ A. nokoensis(臺灣紫雲英)
モメンヅル(フジオウギ) A. reflexistipulus 岩崎灌園『本草圖譜』フジワウギ
シュミットソウ A. sachalinensis 樺太・海馬島に分布
コゴメオウギ A. satoi(小米黃耆) 陝西・甘粛・内蒙古産
ハイゲンゲ A. scaberrimus(糙葉黃耆・粗糙紫雲英)
遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・モンゴリア・シベリア産 『中国雑草原色図鑑』99
カラフトモメンヅル A. schelichovii 北海道・朝鮮・極東ロシア・シベリア産
絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
セツレイオウギ A. setsureianus
タイツリオウギ A. shinanensis(A.membranaceus var.obtusus, A.yezoensis)
シロウマオウギ A. shiroumensis
ナルトオウギ A. sikokianus(A.koraiensis) RedList2020(環境省)では野生絶滅
1950徳島県鳴門市で発見。2003韓国で発見。中国に同種確認。
ゲンゲ(レンゲソウ) A. sinicus (紫雲英・翹搖・沙苑子)
ダッタンモメンヅル A. tataricus (小果黃耆・皺黃耆)
遼寧・内蒙古・華北・山西産 『中国本草図録』Ⅹ/4644
A. tatsinensis(A. yunnanensis var. tatsinensis;康定黃耆)
四川・貴州・雲南産 『週刊朝日百科 植物の世界』4-309
イトバオウギ A. tenuis(A.meliotoides var.tenuis;細葉黃耆)
長江以北・モンゴリア・ダフリア産
トカチオウギ A. tokachiensis 北海道産 絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
A. tongolensis (東俄洛黃耆・黑毛果黃耆・白耆) 甘肅・靑海・四川・チベット産
ヤチオウギ A. uliginosus(濕地黃耆) 朝鮮・極東ロシア・モンゴリア・シベリア産 『中国本草図録』Ⅱ0612
カリバオウギ A. yamamotoi 北海道産 絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
A. yunnanensis (雲南黃耆・黃花綿耆) 四川・雲南産 『中国本草図録』Ⅷ/3651
A. zacharenis(小黃耆) 華北・遼寧・モンゴリア産
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マメ科 Leguminosae(Fabaceae;豆 dòu 科・荳科)については、マメ科を見よ。 |
訓 |
「和名ノげんげハ或ハ翹搖ノ字音ヨリ來リシニ非ザル乎ト謂ハル、蓮華草ハ花ノ輪列セル姿ニ基キテ稱ヘシ名ナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。
『跡見群芳譜』著者曰く、小生は1945長野県に生れ、東京都に育った者ですが、
ゲンゲという言葉は聞いたことがありませんでした。レンゲは仏座としての蓮華座と思ってきました。 |
漢名の属名「黃耆(コウキ,huángqí,おうぎ)」については、タイツリオウギの訓を見よ。 |
説 |
河南・陝西・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南に分布し、広く栽培する。
日本には、『大和本草』(1709)に記述があり、それ以前に渡来した。 |
誌 |
嫩葉を蔬菜として、花は塩漬けにして食用にし、全草を緑肥・飼料とする。
また、根・全草・種子を薬用にする。『全國中草藥匯編 上』p.399 |
近縁植物のうち、次のものの種子を沙苑子(サエンシ,shāyuànzĭ)と呼び薬用にする(〇印は正品)。
『(修訂) 中葯志』III/411-419
〇キバナノモメンヅル Astragalus chinensis (華黃耆・地黃耆・天津沙苑子)
ゲンゲ(レンゲソウ) Astragalus sinicus (紫雲英・翹搖・沙苑子)
〇ツルゲンゲ Phyllolobium chinense(Astragalus complanatus;
蔓黃耆・背扁黃耆・背扁膨果豆・夏黃耆・扁莖黃耆・沙苑子・潼蒺藜)
キバナハギ Crotalaria mucronata(猪屎豆・猪屎靑・野黄豆・三圓葉猪屎豆)
コガネタヌキマメ Crotalaria retusa(凹葉野百合・羊角豆・吊裙草)
Crotalaria yaihsienensis(崖州猪屎豆・崖州野百合)
クサネム A. indica(田皂角・合萌)
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『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 夏之部」に、「げんげ草 初。むらさきと白有。葉も花も、小藤の如ク」と。 |
日本では、かつて徳川時代中期以後、刈入れ後の田んぼにレンゲの種を蒔き、翌年の春、田をおこすときに鋤き込んで緑肥とした。
今日その風習が廃れたのは、一つには科学的に作られた窒素肥料が普及したこと、そして今一つには「田植えが機械化されたことである。以前、田植えの時期は、レンゲソウの花の終わる頃だった。大きく育ったイネの苗を、手で植えていたからである。しかし、田植えの機械化が進み、大きく育つ前のイネの苗を機械で植えるようになり、田植えの時期が早くなった。 そのため、レンゲソウの花の季節を待たずに、田んぼの土を起こし、田植えをする。すると、レンゲソウが育つ期間が短くなるので、レンゲソウ・パワーが十分に生かせない。結局、レンゲソウを栽培してもあまり役に立たなくなったのだ」(田中修『雑草のはなし』2007)。 |
春の小川は さらさらいくよ。
岸のすみれや れんげの花に、
においめでたく 色うつくしく、
咲けよ咲けよと ささやきながら。
(文部省唱歌、1912;1942一部修正)
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