りんどう (龍膽・竜胆) 

学名  Gentiana scabra var. buergeri subvar. orientalis
日本名  リンドウ
科名(日本名)  リンドウ科
  日本語別名  
漢名  龍膽(リョウタン,longdan,りんどう)
科名(漢名)  龍膽科
  漢語別名  龍膽草、草龍膽、膽草
英名  
2007/04/12 明治薬科大学薬草園
2006/10/28 薬用植物園

 リンドウ科 GENTIANACEAE(龍膽科)には、次のような属がある。
   Anagallidium(腺鱗草屬)
     A. dichotomum(腺鱗草)
   Canscora(穿心草屬)
     C. lucidissima(穿心草・串錢草)
     C. melastomacea(羅星草) 『中国本草図録』Ⅸ/4294
   シマセンブリ属 Centaurium(百金花屬)
     ベニバナセンブリ C. erythraea
 ヨーロッパ乃至中央アジア原産
     シマセンブリ C. japonicum(Schenkia japonica)
     C. minus
ヨーロッパ産
     マンシュウセンブリ C. pulchellum var. altaicum(百金花)
     ホウライセンブリ C. spicatum(Schenkia spicata;穗状百金花)
     ハナハマセンブリ C. tenuiflorum
   サンプクリンドウ属 Comastoma(喉花草屬)
 1961年リンドウ属から独立
     C. pulmonarium(Gentiana takedae;喉花草)『中国本草図録』Ⅷ/3738・『雲南の植物』174
       サンプクリンドウ ssp. sectum
     C. tenellum(柔弱喉花草)
     C. traillianum(中甸喉毛草)『中国本草図録』Ⅷ/3739・『雲南の植物』174
   Cotylanthera(杯葯草屬)
 腐生植物
     C. paucisquama
ヒマラヤ産、『週刊朝日百科 植物の世界』3-56
     C. yunnanensis(杯葯草)
   Crawfurdia(蔓龍膽屬)
 中国乃至ヒマラヤに約15種がある
     C. campenulacea(雲南蔓龍膽・蜂糖草)
『中国本草図録』Ⅴ/2248
     C. speciosa
東ヒマラヤ産、『週刊朝日百科 植物の世界』3-46
   トルコギキョウ属 Eustoma(草原龍膽屬)
     トルコギキョウ E. grandiflorum(草原龍膽)
 北アメリカ産、リンドウ科の植物
   ベニヒメリンドウ属 Exacum(藻百年屬)
   リンドウ属 Gentiana(龍膽屬)
   チシマリンドウ属 Gentianella(假龍膽屬)
     G. acuta(尖葉假龍膽・苦龍膽) 『中国本草図録』Ⅸ/4295
     チシマリンドウ G. auriculata(Gentiana auriculata)
     G. falcata(鎌萼假龍膽)
     ヤチリンドウ G. sugawarae
     オノエリンドウ G. takedae(G.amarella ssp.takedae;Gentiana takedae)
     ユウバリリンドウ G. yuparensis(G.amarella ssp.yuparensis;
               Gentiana yuparensis)
   シロウマリンドウ(タカネリンドウ)属 Gentianopsis(扁蕾屬)
1951年リンドウ属より独立
     ヒゲリンドウ G. barbata(扁蕾・狹萼扁蕾)『中国本草図録』Ⅵ/2786Ⅷ/3748
     チチブリンドウ G. contorta(Gentiana contorta)
     アカイシリンドウ G. furusei
     G. grandis(大花扁蕾)『中国本草図録』Ⅷ/3749
     G. paludosa(濕生扁蕾)『中国本草図録』Ⅷ/3750
     シロウマリンドウ
(タカネリンドウ) G. yabei(Gentiana yabei)
   ハナイカリ属 Halenia(花錨屬)
   Kingdon-Wardia(藏牙菜屬)
   Latouchea(匙葉草屬)
     L. fokiensis(匙葉草)
   ヒメセンブリ属 Lomatogonium(肋柱花屬)
 北半球の温帯・亜寒帯に約24種がある
     ヒメセンブリ L. carinthiacum 『雲南の植物』178
     L. oreocharis(圓葉肋柱花・大花側蕊)『中国本草図録』Ⅷ/3751
     L. rotatum(肋柱花)
   Megacodon(大鐘花屬)
     M. stylophorus(大鐘花)
          
 『週刊朝日百科 植物の世界』3-35・『中国本草図録』Ⅷ/3752・『雲南の植物』179
   ミツガシワ属 Menyanthes(睡菜屬)
   アサザ属 Nymphoides(荇菜屬)
   ホソバノツルリンドウ属 Pterygocalyx(翼萼蔓屬) 1属1種
     ホソバノツルリンドウ P. volubilis(翼萼蔓)
   Sebaea(小黄菅屬)
     S. microphylla(小黄菅)
   センブリ属 Swertia(獐牙菜屬)
   ツルリンドウ属 Tripterospermum(雙蝴蝶屬)
   Veratrilla(滇黄芩屬)
     V. baillonii(滇黄芩)『中国本草図録』Ⅷ/3757・『雲南の植物』179
   Zeltnera
     アメリカホウライセンブリ Z. muhlenberghii 
 リンドウ属 Gentiana(龍膽屬)には、主にユーラシアに約360種がある。
   チャボリンドウ G. acaulis
アルプス・ピレネー産
   トウヤクリンドウ G. algida (高山龍膽・白花龍膽)
 『中国本草図録』Ⅳ/1801
      クモイリンドウ f. igarashii
      var. przewalskii (黄花龍膽)
   G. alpina
アルプス・ピレネー産
   G. ampla(寛花龍膽) 
『雲南の植物Ⅰ』222
   G. apiata (茱苓草)
   ヒナリンドウ G. aquatica
      コヒナリンドウ var. laeviuscula
   G. arethusae var. delicatula(細圓裂龍膽・藍龍膽)
          
『雲南の植物』174・『中国本草図録』Ⅷ/3740
   アリサンリンドウ G. arisenensis
   G. atuntsiensis(阿墩子龍膽)
『雲南の植物Ⅰ』223・『雲南の植物』175
   G. barbata var. sinensis(扁蕾)『中国本草図録』Ⅵ/2786
   G. cephalantha(頭花龍膽) 『中国本草図録』Ⅷ/3741
   G. crassicaulis (粗莖秦艽・蘿蔔艽・牛尾艽)
          
『雲南の植物』176・『中国本草図録』Ⅶ/3301・『週刊朝日百科 植物の世界』3-34
   G. crinita
北アメリカ東部原産
   G. dahurica (達烏里龍膽・小秦艽)
          
『中薬志Ⅰ』pp.394-399、『中国本草図録』Ⅵ/2784・『中国雑草原色図鑑』159
   G. davidii (五嶺龍膽・簇花龍膽・九頭靑)
      ホウライリンドウ var. formosana
   ハイリンドウ G. decumbens(斜升秦艽)
 西藏・ヒマラヤ産
   G. delavayi(微子龍膽)
 『雲南の植物Ⅱ』222
   G. depressa
ヒマラヤ・ネパール・シッキム・チベット原産。『朝日百科 世界の植物』203
   G. duclouxii(昆明龍膽) 『雲南の植物Ⅱ』222
   G. emodii 『週刊朝日百科 植物の世界』3-41
   G. farreri
中国原産
   G. fetissowii(費氏秦艽)『中薬志Ⅰ』pp.394-399
   G. filistyla (藍花龍膽)
   ニイモトリンドウ G. flavomaculata
 臺灣特産、『週刊朝日百科 植物の世界』3-38
   ヨコヤマリンドウ G. glauca
   G. gracilipes
   G. heptaphylla(七葉龍膽) 『中国本草図録』Ⅷ/3742
   マボラスリンドウ G. horaimontana
   イザワリンドウ G. itzershanensis
   リシリリンドウ(クモマリンドウ) G. jamesii
   カンザンリンドウ G. kaohsiungensis
   コヒナリンドウ G. laeviuscula
   G. loureirii (華南龍膽・地丁・紫花地丁)
 『中国本草図録』Ⅴ/2249地丁を見よ。
   ゲンチアナ G. lutea
ヨーロッパ・小アジア原産、黄花。根をゲンチアナ根と呼び、薬用にする。
          『週刊朝日百科 植物の世界』3-40
   オオバリンドウ G. macrophylla (秦艽・大葉龍膽・西秦艽・蘿蔔艽)
          
『中薬志Ⅰ』pp.394-399、『中国本草図録』Ⅱ0/763・『中国雑草原色図鑑』159
     var. fetissowi(大花秦艽)
   オヤマリンドウ G. makinoi
   マンシュウリンドウ G. manshurica(條葉龍膽・東北龍膽)『中国本草図録』Ⅵ/2785
   G. microdonta(小齒龍膽) 『中国本草図録』Ⅷ/3743
   G. nanobella(矮美龍膽) 
『雲南の植物Ⅰ』222
   ミヤマリンドウ G. nipponica
      シロバナミヤマリンドウ f. leucantha
      イイデリンドウ var. robusta
   G. omeiensis(峨眉龍膽) 『中国本草図録』Ⅶ/3302
   G. ornata
ヒマラヤ原産。『朝日百科 世界の植物』205
   G. praticola
『雲南の植物』176
   G. primuliflora
『雲南の植物』177
   G. pubigera(柔毛龍膽) 
『雲南の植物Ⅰ』222
   G. punctata
アルプス原産
   G. purdomii(岷縣龍膽)『中国雑草原色図鑑』158
   G. purpurea
アルプス・アペニン・ノルウェー原産
   G. pyrenaica
ピレネー原産
   G. regescens(雲南龍膽)
   G. rhodantha (紅花龍膽・星秀花・小靑魚膽・龍膽草・星秀花・土白蓮・九月花)
           
『雲南の植物Ⅰ』225
   G. rigescens (堅龍膽・藍花根・大靑魚膽・炮脹花・滇龍膽草) 
『雲南の植物Ⅰ』225
   G. robusta(粗壯龍膽) 『中国本草図録』Ⅷ/3744
   G. rubicunda(深紅龍膽) 『中国本草図録』Ⅶ/3303・『週刊朝日百科 植物の世界』3-40
   G. sarcorrhiza (金綫參)
   リュウキュウリンドウ G. satsunanensis
   G. saxosa
ニュージーランド原産
   G. scabra
      トウリンドウ
(チョウセンリンドウ) var. scabra(龍膽・龍膽草・草龍膽・膽草)
          
 『中国本草図録』Ⅴ/2250・『中薬志Ⅰ』pp.126-129
      リンドウ  var. buergeri
      キタダケリンドウ var. kitadakensis
   ニイタカリンドウ G. scabrida
   G. scariosa(乾膜葉龍膽) 
『雲南の植物Ⅰ』225
   ナツリンドウ G. septemfida
小アジア・イラン原産
   アサマリンドウ G. sikokiana
   G. sino-ornata
『雲南の植物』177・『朝日百科 世界の植物』206
   G. siphonantha
『週刊朝日百科 植物の世界』3-39
   コケリンドウ G. squarrosa (鱗葉龍膽・小龍膽・石龍膽) 
『中国本草図録』Ⅲ/1330
      リュウキュウコケリンドウ var. liukiuensis
   G. stipilata(雜色龍膽) 『中国本草図録』Ⅷ/3745
   G. straminea(麻花艽)
   G. striata(條紋龍膽) 『中国本草図録』Ⅷ/3746
   G. szechenyii(大花龍膽)
 『中国本草図録』Ⅴ/2251
   ミヤマコケリンドウ G. takushii
   タロコリンドウ G. tarokoensis
   タータカリンドウ G. tatakensis
   テンチョウリンドウ G. tentyoensis
   タイトウリンドウ G. tenuissima
   G. thunbergii
      ハルリンドウ var. thunbergii
         シロバナハルリンドウ f. albiflora
      タテヤマリンドウ var. minor
         シロバナタテヤマリンドウ f. ochroleuca
   G. tianshanica(天山秦艽)
   G. tibetica
ヒマラヤ・チベット原産。『中国本草図録』Ⅴ/2252
   トウオヤマリンドウ G. triflora (三花龍膽)
 『中国本草図録』Ⅲ/1331・『中薬志Ⅰ』図87
      ホソバエゾリンドウ var. triflora
      エゾリンドウ var. japonica
      エゾオヤマリンドウ subvar. montana
      ホロムイリンドウ subvar. horomuiensis
   G. urnula (烏奴龍膽)
 『中国本草図録』Ⅴ/2253
   G. verna
アルプス・コーカサス原産。
          『原色高山植物大図鑑』139・『週刊朝日百科 植物の世界』3-40
   G. wutaiensis(五台秦艽)
   ヤクシマコケリンドウ G. yakumontana
   ヤクシマリンドウ G. yakushimensis
   G. yokusai(灰綠龍膽・龍膽地丁) 『中国本草図録』Ⅶ/3304
   G. yunnanensis(雲南龍膽) 
『雲南の植物Ⅰ』225・『中国本草図録』Ⅷ/3747
   フデリンドウ G. zollingeri (筆龍膽) 
 今日園芸店で切花として売られているりんどうは、エゾリンドウの園芸品。
 和名は、漢名龍膽(竜胆)の呉音リュウダンの転訛。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)龍膽に、「和名衣也美久佐、一名尓加奈」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)龍膽に、「和名衣夜美久佐、一云迩加奈」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』9(1806)に、「リンダウ龍膽ノ音転ナリ ニガナ和名鈔 ヱヤミグサ同上 クダニ古歌 オモヒ同上 アゼ桔梗 オコリオトシ播州 サゝリンダウ奥州勢州」と。
 漢名龍膽は、「葉は龍葵(イヌホオズキ)の如く、味の苦きは膽の如し。因て以て名と為す」と(李時珍『本草綱目』)
 秦艽は、もとシンキュウ,qinjiu と読んだが、明末には既にシンキョウ,qinjiao と読むようになっており、今日に至る。
 李時珍『本草綱目』(ca.1596)に、艽は「音は交」と。また「本名は秦糺(シンキュウ,qin2jiu1)、糾と同」、「秦艽は秦中より出づ。根、羅紋交糾を作る者を佳とするを以て、故に秦艽・秦糺と名づく」と。
 日本では、シンキュウ・シンギョウ・ジンギョウなどと読む。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)秦艽に、「和名都加利久佐、一名波加利久佐」と。
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)秦艽に、「和名都加里久佐、一云波加里久散」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』9
(1806)秦艽に、「ハカリグサ和名鈔 ツカリグサ同上」と。
 属名は、古代イリュリア Illyria の王ゲンティウス Gentius(ca.500B.C.)に因む。
 彼は はじめてリンドウの薬効を発見したといい、プリニウス
(ca.23-79)は リンドウをゲンティアナと呼んだ。
 リンドウは、日本(本州・四国・九州)に分布。
 トウリンドウ
(チョウセンリンドウ)は、朝鮮・中国(東北・浙江)・シベリアに分布。
 根茎を薬用にする。
 すなわち 中国では、同属植物のうち、
   トウリンドウ Gentiana scabra(龍膽)
   G. manshurica(條葉龍膽・東北龍膽)
   エゾリンドウ G. triflora(三花龍膽)
の根・根茎を龍膽と呼び、薬用にする。日本薬局方も同様
(龍膽はりゅうたんと読む)だが、日本産品は少なく、中国の東北・内蒙古産のものが輸入されている。
 同じく、
   オオバリンドウ G. macrophylla (秦艽・秦糺・大葉龍膽)
   G. crassicaulis (粗莖秦艽)
   G. dahurica (小秦艽)
などの根を、秦艽(シンコウ・シンキョウ,qin2jiao1,
しんぎょう・じんぎょう)と呼び、薬用にする。また、地方により、G.straminea(麻花秦艽)・G.siphonantha(管花秦艽)・G.decumbens(斜升秦艽)・G.tibetica(西藏秦艽)・G.crassicaulis(粗莖秦艽・蘿蔔艽・牛尾艽)などを、同様に薬用にする。『中草薬現代研究』Ⅰp.145 
 同じく、
   G. loureirii (華南龍膽・地丁・紫花地丁)
   コケリンドウ G. squarrosa (鱗葉龍膽・小龍膽・石龍膽)
の全草を、龍膽地丁と呼び、薬用にする。
 これらのほか、各地方により、多くリンドウ属の植物を薬用にする。
 ヨーロッパでは、同属の G. lutea(ヨーロッパ・小アジアに分布する亜高山植物)の根を健胃薬として用いる(日本薬局方のゲンチアナ)。
 日本では、『古今集』巻10物名「りうたんのはな」に、

   我やどの はなふみしだく とりうたん のはなければや ここにしもくる
(紀友則)

 清少納言『枕草子』第67段「草の花は」に、「りんだうは、えだ
(枝)ざしなどもむつかしけれど、ことはな(花)どものみな霜が(枯)れたるに、いとはなやかなる色あひにてさし出でたる、いとをかし」と。
 民子は・・・桐の葉に包んで置いた龍膽の花を手に採って、急に話を転じた。
 「こんなに美しい花、いつ採ってお出でなして。りんどうはほんとによい花ですね。わたしりんどうがこんなに美しいとは知らなかったわ。わたし急にりんどうが好きになった。おオえエ花・・・」
 花好きな民子は例の癖で、色白の顔にその紫紺の花を押しつける。やがて何を思いだしてか、ひとりでにこにこ笑いだした。
 「民さん、なんです、そんなにひとりで笑って」
 「政夫さんはりんどうの様な人だ」
 「どうして」
 「さアどうしてということはないけど、政夫さんは何がなしに龍膽の様な風だからさ」
 民子は言い終って、顔をかくして笑った。
   
(この会話に先だって 正雄は民子を 野菊の花のようだ と言っていたのである。野菊の誌を見よ。伊藤左千夫『野菊の墓』1906)

   男泣きに泣かむとすれば龍膽がわが足もとに光りて居りたり
     
(北原白秋『桐の花』1913)

   草枯の土ひそやかに愛らしき春龍膽は眼をあきにけり
   枯草のそよぎのかげに暮れてゆく春りんだうは幽かなるかも
   露霜をしげみ寒けみ富士見野の龍膽の花紺ならんとす
     
(島木赤彦『馬鈴薯の花』1913)
 

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