辨 |
メナモミ属 Sigesbeckia(豨薟 xīxiān 屬)には、歐亞温帯と世界の熱帯・亜熱帯に約11種がある。
コメナモミ S. glabrescens(S.orientalis subsp.glabrescens, S.pubescens
var.glabrescens;毛梗豨薟・疏毛豨薟・少毛豨薟)
ツクシメナモミ S. orientalis(豨薟・蝦柑草・粘糊菜・感冒草・肥猪菜)
本州(関東南部以西)・四国・九州・琉球・朝鮮・臺灣・海南島・華東・湖南・西南・陝甘から
広く東歐・アフリカ南部・濠洲東部まで産
メナモミ S. pubescens(S.orientalis subsp.pubescens;腺梗豨薟)
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キク科 Asteraceae(菊 jú 科)の植物については、キク科を見よ。 |
訓 |
「和名ノめハ雌ニシテをなもみノ雄ニ對ス、なもみハ蓋シなづむノ意ニシテなごみト成リ遂ニなもみニ轉化セシナラン、卽チなづむハ澁滯逡巡ノ意ニシテ其粘腺アル鉤毛頻リニ附着シ困頓ヲ極ムルヨリ斯ク云ヒシナラン」(『牧野日本植物図鑑』)。
他説に、茎葉をもんでつけると虫さされに効くことから「なもみ(生揉)」(『日本国語大辞典 第二版』参照)。 |
『大和本草』狶薟には、「和名ヲナモミ」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』11(1806)に、「豨薟 メナモミ イシモチ勢州 モチナモミ古方書 秋ボコリ石州」と。 |
漢名豨薟(キケン,xīxiān)は、豨(ブタ)のように臭く、味は薟(えぐい)ことから(李時珍『本草綱目』)。
薟は、レン,liăn と読めばブドウ科の蔓性植物の汎称、ヤブカラシ(烏蘞苺,ウレンバイ, wūliănméi)・カガミグサ(白蘞,ハクレン,báiliăn)など。豨薟と熟せば キケン,xīxiān と読み、メナモミを指す(『漢語大詞典』『漢語大字典』『諸橋大漢和辞典』)。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・華東・兩湖・四川・貴州・雲南・チベット・ヒマラヤ・陝甘・寧夏・華北・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシアに分布。 |
誌 |
中国では、メナモミなどの全草を豨薟草(キケンソウ,xīxiāncăo)と呼び薬用にする(〇印は正品)。『中薬志Ⅲ』pp.237-242 『全国中草葯匯編』上/901-903
フゾロイバナ Anisomeles indica(Epimerdi indicus;廣防風) シソ科
コバノセンダングサ Bidens bipinnata(婆婆針・鬼針草・刺針草)
ホソバノセンダングサ Bidens parviflora(小花鬼針草・鍋叉草)
タウコギ Bidens tripartita(狼把草・鬼叉・鬼針・鬼刺)
ヒカゲキセワタ Phlomoides umbrosa(Phlomis umbrosa;南方糙蘇・山蘇子) シソ科
〇コメナモミ Sigesbeckia glabrescens(毛梗豨薟・少毛豨薟)
〇ツクシメナモミ Sigesbeckia orientalis(豨薟・蝦柑草・粘糊菜)
〇メナモミ Sigesbeckia pubescens(S.orientalis subsp.pubescens;腺梗豨薟)
また、ゆでて水に曝し、食用にする。 |