辨 |
ヤブタビラコ属 Lapsanastrum(稻槎菜 dàochácài 屬)については、ヤブタビラコ属を見よ。 |
訓 |
和名の「田平子(たびらこ)」は、ロゼットが田の地面に平に広がっているようすから。「仏の座」も同、ロゼットを仏像の蓮華座に見立てたもの。
コオニタビラコとは、「小型のオニタビラコ」の意だが、オニタビラコとは「大型の田平子」の意。従って、小鬼田平子という名は、『小型の「大型の田平子」』となり、「無駄な名である」(『改訂増補 牧野新日本植物大図鑑』)。
なお、かつてムラサキ科のキュウリグサも、田平子と呼ばれたことがある。 |
『大和本草』に、「黄瓜菜{タビラコ} ・・・一名黄花菜。本邦人日七種ノ菜ノ内佛ノ座是ナリ」と。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・済州島・陝西・華東・湖南・兩廣・雲南に分布。
稲作の休止期間を利用して生活し、水田以外ではほとんど見られない(『週刊朝日百科 植物の世界』)。 |
誌 |
中国では、全草を薬用にする。『全國中草藥匯編 下』p.820 |
日本では、嫩葉を茹でて食用にする。 |
鎌倉時代以来、春の七草の一に仏座(ほとけのざ)が挙げられている。しかし、そのほとけのざ(仏座)とは、今日のホトケノザではなく、このコオニタビラコであるという。春の七草の仏座については、春の七草をも見よ。
「往々鈍苗ヲ食用トス。古、春ノ七草ノ一ナルほとけのざハ、此種ナリ。然ルニ多クノ人々たびらこヲむらさき科ノモノトスルハ誤ナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。ここに「むらさき科ノモノ」とは、上に記したキュウリグサ。
「ほとけのざ ・・・春の七草の一で別名をタビラコ(田平子)という。・・・食用にするのは厳寒から早春にかけての若菜で、すなわちナナクサガユに入れられる。ゆでて和え物・ひたし物にすると一種の香気があり、・・・」(本山荻舟『飲食事典』)。 |