辨 |
ゴシュユ属 Tetradium(呉茱萸 wúzhūyú 屬)には、東&東南アジア・ヒマラヤに9種がある。
T. austrosinense(Euodia austrosinensis;華南呉茱萸) 兩廣・雲南産 『雲南の植物Ⅲ』187
T. calcicola(石山呉茱萸) 廣西・雲貴産
イヌゴシュユ T. danielli(Euodia daniellii, E.baberi;
臭檀・異花呉茱萸) 陝西・湖北・四川産 『中国本草図録』Ⅶ/3193
T. fraxinifolium(無腺呉萸・稜子呉萸) 雲南・チベット・ヒマラヤ産
ホソバハマセンダン T. glabrifolium
(楝葉呉茱萸・檫樹・臭辣樹・獺子樹・野呉芋・山辣子)
河南・陝西・華東・臺灣・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・東南アジア・ヒマラヤ産
絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
『雲南の植物Ⅲ』187・『中国本草図録』Ⅸ/4212・『中国本草図録』Ⅶ/3194
ハマセンダン var. glaucum(Euodia glauca)
本州三重以西・四国・九州・琉球・臺灣産
ゴシュユ T. ruticarpum(Euodia ruticarpa, E.bodinieri;呉茱萸)
var. bodinieri(波氏呉茱萸)
ホンゴシュユ var. officinale(Euodia officinalis;石虎・呉芋)
ホソバハマセンダン T. taiwanense
T. trichotomum(Euodia trichotoma;牛枓呉萸・牛糺樹・茶辣・山呉萸)
廣西・四川・貴州・雲南・ベトナム産 『雲南の植物Ⅲ』188・『中国本草図録』Ⅴ/2175
『全国中草葯匯編』下/63
|
ミカン科 Rutaceae(芸香 yúnxiāng 科)については、ミカン科を見よ。 |
訓 |
和名別名のハブテコブラについては、オオベニタデの訓を見よ。 |
『本草和名』に、呉茱萸は「和名加良波之加美」、秦樹は「和名加波々之加味美」と。
『延喜式』呉茱萸に、「カラハシカミ、カハハシカミ」と。
『倭名類聚抄』呉茱萸に「和名加波々之加美」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』28呉茱萸に、「カハハジカミ和名鈔 今ハ通名 ハブテコブラ紀州若山雲州 ハビテコブラ紀州熊野」と。 |
漢名を茱萸(シュユ,zhūyú)と言うものには、次のものがある。
サンシュユ |
山茱萸 |
Cornus officinalis |
ゴシュユ |
呉茱萸 |
Tetradium ruticarpum
(Evodia rutaecarpa) |
カラスザンショウ |
食茱萸・樧 |
Zanthoxylum ailanthoides |
中国で歴史的に茱萸と呼び、その実を9月9日に食ってきたものは、食茱萸。 |
説 |
華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・ヒマラヤに分布。
var. officinalis は、江蘇・浙江・江西・湖南に分布。 |
雌雄異株。
日本には、一説に享保年間(1716-1736)に入り、小石川植物園で栽培した。今日 各地で薬用に栽培するが、日本にあるものは雌株のみで、種子ができない。地下茎で繁殖。 |
誌 |
中国では、ゴシュユ及びその変種の果実を呉茱萸(ゴシュユ,wúzhūyú)と呼び薬用にする。『中薬志Ⅱ』pp.173-177 『中草藥現代研究』Ⅲp.111 『全國中草藥匯編 上』p.448,452-453 『(修訂) 中葯志』III/397-405
日本では、生薬ゴシュユ(呉茱萸)は ホンゴシュユ又はゴシュユの果実である(第十八改正日本薬局方)。
中国では、種子から油を搾り、葉を黄色の染料にする。 |