辨 |
ミズキ属 Cornus(山茱萸 shānzhūyú 屬)については、ミズキ属を見よ。 |
訓 |
和名は、漢名の音。漢名は、秋に熟する赤い果実から。 |
漢名を茱萸(シュユ,zhūyú)と言うものには、次のものがある。
サンシュユ |
山茱萸 |
Cornus officinalis |
ゴシュユ |
呉茱萸 |
Evodia rutaecarpa |
カラスザンショウ |
食茱萸・樧 |
Zanthoxylum ailanthoides |
中国で歴史的に茱萸と呼び、その実を9月9日に食ってきたものは、食茱萸。サンショウを見よ。 |
深江輔仁『本草和名』(ca.918)に、山茱萸は「和名以多知波之加美、一名加利波乃美」、食茱萸は「和名於保多良乃美」と。 |
『大和本草』(1709)に、「なはしろぐみ」に「山茱萸」の字をあてている。爾来、日本ではグミを茱萸と書くことが多いが、当らない。 |
説 |
朝鮮・山西・陝西・河南・山東・安徽・浙江・四川に分布。
日本には、享保7(1722)年薬用に朝鮮から導入され、小石川の御薬園で栽培された。19世紀初には世に多く栽ていた(『本草綱目啓蒙』31)。 |
誌 |
漢方では、果実(じつは偽果)から種子(じつは果実)を抜き取った果肉(じつは成熟した花床)を乾燥させたものを山茱萸(サンシュユ,shānzhūyú)・棗皮(ソウヒ,zăopí)と呼び、薬用にする。『全國中草藥匯編 上』pp.111-112,『中薬志Ⅱ』pp.6-7
日本では、生薬サンシュユ(山茱萸)は サンシュユの偽果の果肉である(第十八改正日本薬局方)。 |
賈思勰『斉民要術』(530-550)巻4「種茱萸」に、「山茱萸は則ち食うに任えず」と。この書に言う茱萸は、食茱萸。 |
宮崎県の民謡稗つき節に「庭のさんしゅゆの木」と詠われているものは、サンショウ(山椒)の転訛であろうという。 |