からむし (苧・苧麻) 

学名  Boehmeria nipononivea (B. nivea)
日本名  カラムシ
科名(日本名)  イラクサ科
  日本語別名  マオ(真苧)、クサマオ、チョマ、アオソ(青苧)
漢名  苧麻(チョマ,zhuma)
科名(漢名)  蕁麻(ジンマ,qianma)科
  漢語別名  野麻、麻仔、靑麻
英名  China grass, Ramie
2009/08/20 新潟県糸魚川市親不知
2006/09/07 長瀞町

2007/10/04 神代植物公園


 栽培種に、葉の裏に白い毛のある白チョマ(カラムシ)と、毛の無い緑チョマ(アオカラムシ)があり、白チョマは温帯アジアで、緑チョマは熱帯アジアで栽培する。
 佐竹は、カラムシ(マオ・クサマオ) B. nipononivea と ナンバンカラムシ B. nivea(ラミーはその変種 var. candicans)を別種とし、チョマは両者の総称とする。
 林は、アオカラムシを B. nipononivea var. concolor とする。
 牧野は、クサマオ(カラムシ)を B. nivea var. concolor、ナンバンカラムシを var. tenacissima、ラミー var. candicans はナンバンカラムシから改良されたものとする。
 カラムシ属は、多年草又は低木。葉は対生ときに互生、縁に鋸歯・鈍鋸歯又は歯牙があり、表面は緑色、裏面は淡色。
 花は単性、雌雄同株。雄花はまばらな円錐花序を作り、下方の葉腋につく。雌花は、集まって球状になり、花軸上に密接するか又はやや離れて穂状花序となり、上方の葉腋につく。
 カラムシ属 Boehmeria(苧麻屬)の分類はむずかしいといい、諸書で記述が異なる。

   ハマヤブマオ B. arenicola(B.pachystachya,B.tenuifolia,B.kiyozumensis)
   ラセイタソウ B. biloba
   B. blinii(黔桂苧麻)
   オガサワラモクマオ B. boninense
   キダチヒメマオ B. clidemioides(白面苧麻・水麻秧)
 『中国本草図録』Ⅵ/2543
     var. diffusa (B.diffusa;葉序苧麻)
     var. umbrosa (陰地序葉苧麻)
   ヤナギバモクマオ B. densiflora(木苧麻・密花水苧麻・粗糠殻・蝦公鬚・山水柳・
          水柳黄・水柳仔)
   B. dicuspis(雙尖苧麻)
   シマナガバヤブマオ B. egregia
   タイワントリアシ B. formosana(海島苧麻)
   ニオウヤブマオ B. gigantea 
   B. glomerulifera(腋球苧麻)
   クサコアカソ
(マルバアカソ) B. gracilis(B.tricuspis ssp.paraspicata,
          B.tricuspis var.unicuspis,B.paraspicata; 細野麻)
   B. grandifolia (大葉苧麻・山麻・野苧麻・野綫麻・水禾麻)
   ササグリヤブマオ B. hatusimae
   ケナガヤブマオ B. hirtella
   オニヤブマオ B. holosericea
   オオシマヤブマオ B. izuosimensis(B. holosericea var. izuosimensis)
   トガリバヤブマオ B. japonica (藪苧麻)
     var. longispica → ヤブマオ B. longispica
   ツクシヤブマオ B. kiusiana
   ヤブマオ B. longispica(B.japonica var.longispica, B.grandifolia, B.taiwaniana;
          大葉苧麻)
     カタバヤブマオ var. dura(B.dura)
     マルバヤブマオ var. robusta(B.robusta)
   B. macrophylla (長葉苧麻・水麻・水細麻・米頂心)
 『中国本草図録』Ⅰ/0032
   コヤブマオ B. minor
   サイシュウナガバヤブマオ B. nakaiana
   ゲンカイヤブマオ B. nakashimae
   カラムシ
(マオ・クサマオ) B. nipononivea(B. nivea var.concolor f.nipononivea,
          B.nivea ssp.nipononivea;伏毛苧麻)
     アオカラムシ f. concolor(var.concolor, B.nivea var.concolor,
          B.nivea ssp.nipononivea,B.nivea var.viridula,
          B.nivea var. tenacissima)
   ナンバンカラムシ B. nivea (var.nivea;苧麻・家苧麻・白麻・圓麻)
          
 『中国本草図録』Ⅲ/1077
     ラミー var. candicans(B.utilis;楔基苧麻)
     アオカラムシ var. concolor(ssp.niponinivea,var.viridula,
          B.niponiniver var.concolor)
     var. tenacissima(靑葉苧麻)
   フトボヤブマオ B. pachystachya
   サイカイヤブマオ B. pannosa
   B. pilosiuscula(疏毛水苧麻)
   メヤブマオ B. platanifolia (B.tricuspis;懸鈴葉苧麻・方麻・八角麻・水苧麻・山麻)
          
 『中国本草図録』Ⅸ/4080
   B. platyphylla (水苧麻・癩蛤蟆棵)
     var. tomentosa(毛葉水苧麻)
   B. polystachya(岐序苧麻)
   B. pseudotricuspis(滇黔苧麻)
   タンナヤブマオ B. querpaertensis
   B. siamensis (束序苧麻・八楞麻・野苧麻)
   ナガバヤブマオ B. sieboldiana(var.stenostachya, B.pseudosieboldiana)
   アカソ B. silvestrii(赤麻) → アカソ B. tricuspis
   コアカソ B. spicata (小赤麻・赤麻)
     コバノコアカソ var. microphylla
   サイシュウアカソ B. taquetii
   B. tibetica(西藏苧麻)
   ヤブマオモドキ B. tikusiensis
   ムラダチヤブマオ B. tiliifolia
   B. tomentosa(密毛苧麻)
   リュウノヤブマオ B. tosaensis
   アカソ B. tricuspis (赤麻)
     クサコアカソ
(マルバアカソ) var. unicuspis → B. gracilis
   B. umbrosa(陰地苧麻)
   クマヤブマオ B. villigera
   ナガバヒメマオ B. wattersii(B.zollingeriana var.podocarpa,B.blinii var.podocarpa)
   ヤエヤマラセイタソウ B. yaeyamensis
   ナガバヒメマオ B. zollingeriana(長葉苧麻・帚序苧麻)
 臺灣・雲南産 
 イラクサ科 Urticaceae(蕁麻科)については、イラクサ科を見よ。
 和名のソは、草から取った繊維を謂う。ヤマソ・イラソのように用いられた。
 アオソと呼ぶのは、アカソに対して、または繊維が青味を帯びていることから。
 カラムシは、幹(殻)を蒸して繊維を取ることから。
 野生品をノマオ(野真苧)と呼び、畑に栽培するものをカラムシと呼んだ。ノマオから採った繊維がヤマソであろう。
 イラソは、ミヤマイラクサ
(イラ)から採った繊維。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)苧根に、「和名乎乃祢」と。
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)に、苧は「和名加良無之」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』
(1806)に、「苧麻 カラムシ和名鈔 マヲ カツポウ豫州 シロヲ土州 衣草和方書 シラソ雲州 ヤマソ佐州 シロソ肥前 シロハ シロホ倶ニ同上 ヒウジ播州」と。
 漢名の苧は、李時珍『本草綱目』に、「苧麻は紵(チョ,zhu)を作る。以て紵を績(つむ)ぐべければ。故に之を紵と謂う。凡そ麻絲の細き者は■{糸偏に全}(セン,juan,ほそぬの)と為し、粗き者は紵と為す」と。
 麻と言うものは、もともとはタイマ(大麻)。後にタイマのように繊維を取る植物、例えばアマ(亜麻)・チョマ(苧麻)・コウマ(黄麻)・ケイマ(莔麻)・ケナフ(洋麻)なども麻と呼んだ。
 属名 Boehmeria は、ドイツのヴィッテンベルクの教授であった G.R.Boehmer(1723-1803)の名に因む。
 東南アジア原産、中国では古くから繊維植物として栽培していた。
 日本でも古くから栽培するが、広く中部以南に野生している。野生するものを野マオと呼び、畑に栽培してカラムシと呼ぶ。
 カラムシは、カラムシ属の中では唯一 葉が互生する。
 カラムシ(白チョマ)からは、茎の靭皮から繊維を取り、夏用の上質な布を織り、また上質の紙を漉く。
 茎から採った強い粗繊維(青麻・青苧,あおそ)から、「ペクチン質を除き精製すると光沢の美しい強い繊維がとれる。このため灰汁(あく)につけ、水洗いしては雪上にさらす。布を織ってさらすのが縮、さらした糸で織ったものが上布である」(世界大百科事典)。
 中国では、根を苧麻根と呼び、薬用にする。『中薬志Ⅰ』pp.340-341
 『万葉集』に、

   ひとごと
(人言)のしげ(繁)きによりてまおごも(真苧薦)
     おや
(同)じまくら(枕)はわ(吾)はま(纏)かじやも (14/3464,読人知らず)
   まをごものふ
(節)のま(間)ちか(近)くてあ(逢)はなへば
     おき
(沖)つまかも(真鴨)のなげ(嘆)きそあ(吾)がする (14/3524,読人知らず)

 青麻を裂いて糸にしたものを績麻(うみお)という。「績麻なす」は、長いにかかる枕詞、糸が長いことから。
 『万葉集』に、

   ・・・績麻なす 長柄の宮に・・・
(6/928,笠金村)
 



跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
跡見群芳譜トップ ナス オクラ ブルーベリー コマツナ ソバ ナシ 農産譜index