辨 |
サンザシ属 Crataegus(山樝 shānzhā 屬)の植物には、北半球の温帯に約200-220種がある。
(無融合生殖を行う)。
C. altaica(阿爾泰山樝)
クロミサンザシ C. chlorosarca(綠肉山樝)
北海道・本州(長野県菅平)・樺太・カムチャツカ産 絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
C. chungtienensis(中甸山樝) 『雲南の植物Ⅰ』129
サンザシ C. cuneata(野山樝・南山樝)
キミノサンザシ f. lutea(C.cuneata f.xanthocarpa)
ダフリアサンザシ C. dahurica
セイヨウカリン C. germanica
C. hupehensis(湖北山樝・猴樝子)
山西・河南・陝西・兩湖・江蘇・浙江・江西・四川産 『全國中草藥匯編 上』p.117
エゾサンザシ C. jozana
C. kansuensis(甘肅山樝) 河北・山西・陝甘・貴州・四川産 『全國中草藥匯編 上』p.117
セイヨウサンザシ C. laevigata(C.oxyacantha;鈍裂葉山樝;
E.English hawthorn, Mayflower)
オオバサンザシ(アラゲアカサンザシ) C. maximowitzii(毛山樝)
北海道根室・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・樺太・シベリアに分布
ヒトシベサンザシ C. monogyna(E.Common hawthorn, Mayflower)
アカバナサンザシ 'Paulii'
オオサンザシ(コサンザシ) C. pinnatifida(山樝) 『中国本草図録』Ⅰ/0097
オオミサンザシ var. major(山裏紅・大山樝・北山樝・紅果・酸梅子)
ホソバサンザシ var. psilosa(無毛山樝・長毛山樝) 朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江産
アカサンザシ C. sanguinea(遼寧山樝・遼山樝)
河北・遼寧・吉林・黑龍江・内蒙古・新疆産 『全國中草藥匯編 上』p.117
var. glabra(光葉遼寧山樝) 『中国本草図録』Ⅸ/4159
C. scabrifolia(雲南山樝・雲樝・山林果) 『全國中草藥匯編 上』p.117,『中国本草図録』Ⅹ/4624
C. wattiana(瓦特山樝)
C. wilsonii(華中山樝) 陝甘・兩湖・浙江・四川・貴州・雲南産
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バラ科 Rosaceae(薔薇 qiángwēi 科)については、バラ科を見よ。 |
訓 |
樝(サ,zhā)・楂(サ,zhā)・柤(サ,zhā)は、同字として通用している。いずれも果木の名、樝子はクサボケ。榠樝(ベイサ,míngzhā)はカリン、山樝(サンサ,shānzhā)はサンザシ。
ただし楂を サ,chá と読むときは、いかだ、または木の切り株。 |
漢語の山樝子・山楂子(サンサシ,shānzhāzĭ)は、山樝(オオサンザシ)の実。
「和名(サンザシ)ハ山楂子ニシテ其子ハ元來果實ヲ指セドモ我邦ニテハ今ハ其植物ノ名ト成レリ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)26山樝に、「サンザシ通名 閏月ウメ種樹家、今ハヨバズ」と。 |
属名は、ギリシア語「力 kratos」「持つ agein」に由来、材が堅いことから。 |
説 |
河南・陝西・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南に分布。
日本には享保19(1734)年に薬用として入り、今日では各地で庭木として栽培する。 |
誌 |
牧野は、果実は「食フニ耐エザルモ藥用ニ供セラル」という(『牧野日本植物図鑑』)が、『中国高等植物図鑑』には「果は生で食い、酒を醸しあるいはジャムを作る。若い葉は茶の代用とする。果実は薬用にする」云々とある。 |
中国では、オオサンザシ・オオミサンザシ・サンザシなどの果実、根・葉を山樝(サンサ,shānzhā)と呼び薬用にする(〇印は正品)。『全國中草藥匯編 上』pp.115-117 『中薬志Ⅱ』pp.8-14 『(修訂) 中葯志』III/146-152
〇サンザシ Crataegus cuneata(野山樝・南山樝)
Crataegus hupehensis(湖北山樝・猴樝子)
Crataegus kansuensis(甘肅山樝)
〇オオサンザシ(コサンザシ) Crataegus pinnatifida(山樝)
〇オオミサンザシ var. major(山裏紅・大山樝・北山樝・紅果・酸梅子)
アカサンザシ Crataegus sanguinea(遼寧山樝・遼山樝)
Crataegus scabrifolia(雲南山樝・雲樝・山林果)
ワリンゴ M. asiatica(花紅・沙果・林檎・文林郎果)
ヒメリンゴ(イヌリンゴ・マルバカイドウ) Malus prunifolia(楸子・海棠果)
Malus yunnanensis(Eriolobus yunnanensis;滇地海棠)
日本では、生薬サンザシは サンザシ又はオオミサンザシの偽果をそのまま又は縦切若しくは横切したものである(第十八改正日本薬局方)。 |