辨 |
りんごに、ワリンゴとセイヨウリンゴの二種類がある。
ワリンゴ M. asiatica は、江戸時代まで林檎(りんご)と呼ばれてきた在来種。
セイヨウリンゴ M. domestica(M.pumila) は、明治以降日本でも栽培・食用され、こんにち一般にりんごと呼ばれているもの。
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リンゴ属 Malus(蘋果 píngguŏ 屬)の植物については、リンゴ属を見よ。 |
訓 |
リンゴは、漢名の林檎(リンキン,línqín)の音の転訛。
明治時代以降、セイヨウリンゴが普及すると、それと区別して 地林檎(じりんご)・和林檎(わりんご)と呼ばれた。
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『倭名類聚抄』林檎に、「和名利宇古宇」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』林檎に、「リウゴウ和名鈔 リンゴ アヲリンゴ加州」と。 |
漢名の林檎(リンキン,línqín)は、もと西北方の異民族のことばの音写か。林檎という語は、今日の中国でも 西北地方の一部で用いられるのみ、という。 |
説 |
遼寧・内蒙古・華北・西北・湖北・西南に分布(自生地は湖北省、ともいう)。葉縁は鋭鋸歯、萼片は鋭尖頭。直径4-5cmの黄色乃至赤色の果実をつけ、生であるいは加工して食用にし、また酒を作る。古くから多くの栽培品種がある。
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日本には鎌倉時代に渡来し、長野県から奥羽地方に分布。(明治初期にセイヨウリンゴが導入されるまで)一般的に林檎(りんご)と呼ばれ、食用にされてきた。
今日では、庭木として栽培する程度で、経済栽培はない。 |
誌 |
賈思勰『斉民要術』(530-550)巻4に「柰・林檎」が載り、栽培法・利用法を記す。 |