辨 |
カリン属 Pseudocydonia(木瓜 mùguā 屬) は、1属1種。
カリン Pseudocydonia sinensis (Chaenomeles sinensis;木瓜・光皮木瓜・榠樝・木李)
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バラ科 Rosaceae(薔薇 qiángwēi 科)については、バラ科を見よ。 |
訓 |
「和名ハ此樹ノ木理くわりん(花櫚)ニ似タレバ斯ク云フト謂ヘリ」(『牧野日本植物図鑑』)。したがって、花梨は当て字。なお、花櫚はフタバガキ科の植物。 |
樝(サ,zhā)・楂(サ,zhā)の字については、クサボケを見よ。 |
『中薬志Ⅱ』pp.56-58によれば、本種の名は榠樝であり、木瓜と呼ぶのは誤りという。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)26榠樝に「クハリン キボケ」、31櫚木に「クハリン」と。 |
説 |
陝西・山東・江蘇・安徽・湖北・兩廣原産。日本には江戸時代に渡来。
長野県諏訪地方特産のカリンと称するものは、じつはマルメロ。 |
誌 |
果実は酸っぱくて渋く生食はできないので、水煮にしたり砂糖漬けにするなどして食う。
また、果実・種子・枝葉を薬用にする。ボケの誌を見よ。
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花や果実を鑑賞するために、しばしば庭園に植える。
木材は硬いので、床柱に用いる。
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『詩経』衛風・木瓜(ぼくか)に「我に投げるに木瓜を以てす」とある木瓜は、これだという。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻三「辛夷(こぶし)のるひ」に「あんらんじゅ 葉ハもくれんげニ少にて、夏 実あり、形 梨子(なし)のごとし」と、また「梨子(なし)るひ」に「くわりん くわんおんじのごとく」と。 |
どしや降りの午後になりつつものをいふことさへもなく木瓜(ぼけ)の実煮たり
(1943,齋藤茂吉『小園』)
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