にしきぎ (錦木)
学名 |
Euonymus alatus f. alatus |
日本名 |
ニシキギ |
科名(日本名) |
ニシキギ科 |
日本語別名 |
ヤハズニシキギ、シラミコロシ、ソメキ、アオハダニシキギ |
漢名 |
衞矛(エイボウ, wèimáo) |
科名(漢名) |
衞矛(エイボウ,wèimáo)科 |
漢語別名 |
鬼箭羽(キセンウ,guĭjiànyŭ)・鬼羽愁・鬼箆子、八樹、六月稜、四稜鋒・四稜樹、衞膽邊、山鷄條子、芸楊、 |
英名 |
Winged spindle tree, Japanese winged euonymus |
2007/07/26 野川公園自然観察園 |
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2009/09/26 入間市宮寺 |
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2005/10/15 野川公園自然観察園 |
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2004/11/04 跡見学園女子大学新座キャンパス |
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2006/11/15 同上 |
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辨 |
ニシキギ科 CELASTRACEAE(衞矛 wèimáo 科)には、世界の熱帯・亜熱帯を中心に約90-96属 約1200-1300種がある。
Catha(巧茶屬)
アラビアチャノキ C. edulis(巧茶;E.Khat) 東アフリカ産、海南島・広西で栽培
ツルウメモドキ属 Celastrus(南蛇藤屬)
ニシキギ属 Euonymus(衞矛屬)
ハリツルマサキ属 Gymnosporia(裸實屬)
Maytenus(美登木屬) 世界の熱帯・亜熱帯に約180種
M. hookeri(美登木) 雲南・ミャンマー・インド産
モクレイシ属 Microtropis(假衞矛屬)
Monimopetalum(永瓣藤屬) 1種
M. chinense(永瓣藤) 安徽・江西産
ウメバチソウ属 Parnassia(梅花草屬)
ナンヨウニシキギ属 Salacia(五層龍屬) 世界の熱帯に約200種
S. chinensis(S.prinoides;五層龍屬) 廣東・東南アジア・インド産
クロヅル属 Tripterygium(雷公藤屬)
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ニシキギ属 Euonymus(衞矛 wèimáo 屬)には、世界の亜熱帯~亜寒帯に約130種がある。
E. acanthocarpus(E.tengyuehensis;刺果藤仲・白皮・牛千金) 兩湖・兩廣・西南産
E. aculeatus (軟刺衞矛・小千金・硬筋藤) 湖北・四川・貴州産
ニシキギ(アオハダニシキギ) E. alatus(Celastrus alatus;衞矛・鬼箭羽・四稜樹・干箆子)
ケコマユミ f. apterus(E.sacrosanctus) ケニシキギのうち枝に翼のないもの
『全国中草葯匯編』下/58
ケニシキギ f. pilosus(var.pubescens, var.pilosus) 葉の裏面脈状に毛があるもの
『全国中草葯匯編』下/58
コマユミ f. striatus(f.ciliatodentatus, var.arakianus, f.subtrislorus,
f.microphyllus, E.striatus)枝にコルク質の翼がないもの
オオコマユミ var. rotundatus
ヒメマサキ E. boninensis
コクテンギ(クロトチュウ) E. carnosus(E.batakensis, E.tanakae;肉花衞矛)
E. centidens (百齒衞矛・地靑干・安胃藤) 安徽・江西・湖南・兩廣・西南産 『中国本草図録』Ⅳ/1731
ヒゼンマユミ E. chibae
E. cornutus(角翅衞矛・木螃蟹) 陝甘・湖北・四川産 『雲南の植物Ⅰ』165・『中国本草図録』Ⅶ/3204
E. echinatus(E.trichocarpus;棘刺衞矛・無柄衞矛・爬藤衞矛・卵葉刺果衞矛)
雲南・貴州・チベット・ヒマラヤ産
ツルマサキ(リュウキュウツルマサキ) E. fortunei(E.austroliukiuensis, E.hederaceus,
E.radicans;扶芳藤)
var. alticolus(高原扶芳藤) 『雲南の植物Ⅱ』162
ケツルマサキ var. villosus
E. frigidus (E.porphyreus;冷地衞矛・絲棉木衞矛・紫花衞矛)
雲南・ミャンマー・インド産 『雲南の植物Ⅰ』167
ミヤケマユミ E. gibber(E.cochincxhinensis)
E. giraldii(纎齒衞矛) 河北・河南・陝甘・四川産 『中国本草図録』Ⅵ/2712
E. grandiflorus (大花衞矛・野杜仲・黑杜仲・金絲杜仲・四稜子)
『雲南の植物Ⅱ』162・『中国本草図録』Ⅱ/0684
ニイタカマユミ E. huangii(E.morrisonensis)
マサキ(オオバマサキ・ナガバマサキ) E. japonicus (冬靑衞矛・大葉黄楊・八木・正木)
キフクリンマサキ 'Aureovariegatus'
E. kengmaensis(E.virens;耿馬衞矛・棉花杜仲・山杜仲・岩杜仲) 雲南産
ムラサキマユミ E. lanceolatus
タイワンアズサ E. laxiflorus (疏花衞矛・喙果衞矛・山杜仲・五稔子・佛手仔)
臺灣・福建・江西・兩湖・兩廣・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅹ/4713
『全国中草葯匯編』下/62-63
E. lichiangensis(麗江衞矛) 雲南産 『雲南の植物Ⅰ』166
リュウキュウマユミ E. lutchuensis 鹿児島・琉球産
チョウセンマユミ E. maackii(E.bungeanus;華北衞矛・桃葉衞矛・白杜・絲棉木)
朝鮮・華北・甘粛・華東・兩湖・極東ロシア・ダフリア産 『中国本草図録』Ⅳ/1731・1732
『全國中草藥匯編』上/368,下/214-215
ヒロハツリバナ E. macropterus (黄瓢子・黄心衞矛)
北海道・本州・四国・朝鮮・河北・東北・東シベリア産
サワダツ(アオジクマユミ) E. melananthus 本州・四国・九州産
E. myrianthus (大果衞矛・黄楮) 長江以南産
E. nanoides(E.oresbius;小衞矛) 華北・内蒙古・甘粛・西南産
ナガバヒゼンマユミ E. nitidus(E.oblongifolius, E.chinensis;
中華衞矛・矩圓葉衞矛・杜仲藤) 華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南産
『中国本草図録』Ⅵ/2713 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
アンドンマユミ E. oligospermus(E.pauciflorus subsp.oligospermus, E.oligospermus,
E.verrucosus;矩圓葉衞矛) 日本では福島県に産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
『雲南の植物Ⅲ』174)
E. oxyphyllus
ニッコウマユミ f. nipponicus
エゾツリバナ var. magnus(var.yesoensis, E.yesoensis)
ツリバナ var. oxyphyllus (f.microcarpus;垂絲衞矛・靑皮樹)
ニシガキマユミ E. pallidifolius
イトマユミ E. pauciflorus(E.verrucosus var.pauciflorus)
E. phellomanus (栓翅衞矛) 河南・陝甘・四川産 『全国中草葯匯編』下/58
オオツリバナ E. planipes(E.latifolius var.planipes, E.maximowiczianus)
タンナマユミ E. quelpaertensis
カラフトツリバナ E. sachalinensis
E. semenovii(E.przewalskii;中亞衞矛・新疆衞矛・鬼箭羽・八寶茶) 中央アジア・新疆産
E. sieboldianus
カントウマユミ(ユモトマユミ) var. sanguineus(var.nikoensis)
チョウチンマユミ f. dorsicostatus
ホソバマユミ f. stenophyllus
マユミ var. sieboldianus(var.yedoensis, var.megaphyllus, f.calocarpus,
E.hamiltonianus subsp.sieboldianus;西南衞矛)
トゲマユミ(アバタマサキ・アバタマユミ) E. spraguei(疏刺衞矛) 奄美・琉球・臺灣・廣東・江西産
E. szechuanensis(四川衞矛) 四川産 『中国本草図録』Ⅶ/3205
ヤンバルマユミ E. tashiroi(E.matsuae;菱葉衞矛) 琉球・臺灣産
ヒシミマユミ E. trapococcus
クロツリバナ(ムラサキツリバナ) E. tricarpus(E. sachaliensis var. tricarpus;
東北衞矛)北海道・本州中部以北・遼寧・樺太産
アバタマユミ E. trichocarpus(E.fungosus)
E. vagans (游藤衞矛・銀絲杜仲) 雲南・チベット産 『全国中草葯匯編』下/394-395
E. wilsonii (長刺衞矛・刺果衞矛) 廣西・四川・雲南産
アオツリバナ E. yakushimensis 宮崎・鹿児島産
E. yunnanensis (雲南衞矛・金絲杜仲) 雲南・チベット産 『全国中草葯匯編』下/394-395
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訓 |
「和名錦木ハ秋時紅葉シ美觀ヲ呈スルニ由リ斯ク名ケタリ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
『本草和名』衛矛に、「和名加波久末都々良、一名久曽末由美乃加波」と。
『倭名類聚抄』衛矛に「和名久曽末由美、一云加波久末豆々良」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』衛矛に、「クソマユミ和名鈔 カハクマツゞラ同上 ニシキゞ マユミ ヤハズニシキゞ ヤバニシキゞ雲州」と。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・華北・陝甘・華東・兩湖・兩廣・西南・極東ロシアに分布。
枝にコルク質の翼がある。 |
誌 |
枝のコルク質を乾燥して衛矛(エイボウ,wèimáo)・鬼箭羽(キセンウ,guĭjiànyŭ)と呼び、またその根・翅つきの枝・葉を薬用にする。また、実を砕いて水・油で練ったものを、頭髪に塗ってシラミを駆除した。『中薬志Ⅲ』pp.537-539 『(修訂) 中葯志』V/706-710 『全国中草葯匯編』下/57-58 |
日中両国では、しばしば観賞用・生垣用に植える。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻三「実秋色付て見事成るひ」に、「錦木 木。木は四角など有。赤キ実、梅もどきのごとし。葉もいみしく紅葉する」と。 |
平安時代には、奥州錦木伝説があった。
錦木の五彩の木片を思う人の門に立て、その数が千本になると、女は男に逢ったという。
おも(思)ひかね けふ(今日)たてそむる 錦木の
ちづか(千束)もま(待)たで あ(逢)ふよしもがな
(大蔵卿匡房,『詞花和歌集』7,恋)
た(立)ちそ(初)めて かへる心は にしきぎの ちづかまつべき 心ちこそせね
(西行,『山家集』中,恋)
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