はちく (淡竹) 

学名  Phyllostachys nigra var. henonis (P.henonis)
日本名  ハチク
科名(日本名)  イネ科
  日本語別名  クレタケ(呉竹)、カラタケ(唐竹)、アワタケ
漢名  淡竹(タンチク,dànzhú)
科名(漢名)  禾本(カホン,héběn)科
  漢語別名  水竹(スイチク,shuizhu)、甘竹、金竹(キンチク,jinzhu)、甘竹(カンチク,ganzhu)、光若竹、釣魚竹、白夾竹(ハクキョウチク,baijiazhu)、平竹(ヘイチク,pingzhu)、杜圓竹、斑眞竹
英名  
2006/02/11 神代植物公園
 Phyllostachys nigra の種内分類群については、クロチクの辨を見よ。
 マダケ属 Phyllostachys(剛竹 gāngzhú 屬)については、マダケ属を見よ。
 『本草和名』淡竹に、「和名久礼多介」と。
 『倭名類聚抄』に、「■
{竹冠に甘}竹 文字集略云、■〔音甘、楊氏漢語抄云、呉竹也、和語云久礼太介〕云々」、「楊氏漢語抄云、淡竹、於保多介」と。
 河南・山東・華東・兩湖・四川に分布、日本・中国で広く栽培される。
 モウソウチクマダケとともに三大竹の一。
 中国では、ハチクなどの、稈の緑色の外皮を剥ぎ やや緑色を帯びた中間層を(或は外皮を除かずに外皮ごと 内側のやや緑色を帯びた中間層を)削った糸状のもの(散竹茹)あるいは薄片(齊竹茹)を 竹茹(チクジョ,zhúrú)と呼び、薬用にする。またハチクを加熱して流れ出た汁を竹瀝(チクレキ,zhúlì)と呼び、薬用にする(〇印は正品)。『中薬志Ⅲ』pp.486-488 『全国中草葯匯編』下/259-260 『(修訂) 中葯志』V/587-596 

  〇Bambusa beecheyana(Sinocalamus beecheyanus, B.verticillata;吊絲球竹・大頭典竹)
   Bambusa emeiensis(慈竹)
  〇Bambusa tuldoides(靑稈竹・靑竿竹)
   Fargesia spathacea(箭竹・拐棍竹・華桔竹)
   モウソウチク Phyllostachys edulis(P.heterocycla f.pubescens, P.pubescens,
         P.heterocycla;桂竹・毛竹)
   マダケ Phyllostachys reticulata(P.bambusoides, Bambusa reticulata, Sinarundinaria
         reticulata;剛竹)
  〇ハチク Phyllostachys nigra var. henonis(淡竹・甘竹・平竹・毛金竹)
   
 筍は美味。
 材は繊維が強靭なので、裂いて竹器を作る。今日でも茶筅の素材。
 『古今集』に、

   世にふれば ことのはしげき くれ竹の うきふしごとに 鶯ぞなく (よみ人しらず)

 西行
(1118-1190)『山家集』に、

   雪うづむ その
(園)のくれたけ を(折)れふして ねぐらもとむる むらすずめ哉
   くれ竹の ふし
(節)しげからぬ よ(世)なりせば この君はとて さしいでなまし
   呉竹の 今いくよかは おきふして いほりのまどを あげおろすべき

 『新古今集』に、

   時雨ふる 音はすれども くれ竹の などよとともに 色はかはらぬ
(藤原兼輔)
 
 「くれたけの」は、竹の節(よ・ふし)から、世・夜・ふし・伏見などにかかる枕詞。

   千はやぶる 神のみよより くれ竹の 世々にもたえず・・・
     
(『古今和歌集』紀貫之)
   くれ竹の よよのふるごと なかりせば いかほのぬまの・・・
     
(『古今和歌集』壬生忠峯)
 
 『花壇地錦抄』(1695)巻三「竹のるひ」に、「からたけ 雄(を)たけ共いふ。つねの竹なり。かの輪細工等ニ用ルるひなれハ、おけやいふにたらず」、「淡竹(はちく) 紫竹のやうにて、色白し。葉よくこもりて、立花ニつかふ」と。

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