金粉酒 

作者名  木下杢太郎 (1885-1945)
作品名  金粉酒
制作年代  1910
収載書名  『食後の唄』
刊行年代  1919
 その他  
 
EAU-DE-VIE DE DANTZICK
(オオ ド ヰイ ド ダンチツク)
黄金
(こがね)浮く酒、
おお五月、五月、小酒盞
(リケエルグラス)
わが酒舗
(バア)の彩色玻璃(ステエンドグラス)
街にふる雨の紫。

をんなよ、酒舗
(バア)の女、
そなたはもうセルを著たのか、
その薄い藍の縞を?
まつ白な牡丹の花、
觸るな、粉が散る、匂ひが散るぞ。

おお五月、五月、そなたの聲は
あまい桐の花の下の竪笛
(フリウト)の音色(ねいろ)
若い黒猫の毛のやはらかさ、
おれの心を溶かす日本
(にっぽん)の三味線。

EAU-DE-VIE DE DANTZICK
五月だもの、五月だもの――
     
(Amerikaya-Bar に於いて)
 


 詠いこまれた花   ボタンキリ

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