ひよす (菲沃斯)

学名  Hyoscyamus niger
日本名  ヒヨス
科名(日本名)  ナス科
  日本語別名  
漢名  天仙子(テンセンシ,tiānxiānzĭ)
科名(漢名)  茄(カ,qié)科
  漢語別名  莨菪(ロウトウ,làngdàng)・閬薚(ロウトウ,làngtāng)、山烟、山菸・山大菸、牙痛子
英名  Henbane
2023/06/07 薬用植物園 

2007/06/20 薬用植物園

 ヒヨス属 Hyoscyamus(天仙子 tiānxiānzĭ 屬)には、北アフリカ・歐亞温帯に約17-32種がある。

  H. bohemicus(小天仙子)
 『中国本草図録』Ⅴ/2303・『中国雑草原色図鑑』194
  ヒヨス H. niger(H.bohemicus;天仙子・莨菪)『中草藥現代研究』Ⅱp.542
       
『雲南の植物Ⅰ』242・『中国本草図録』Ⅴ/2303・『中国雑草原色図鑑』194・195
  H. pusillus(中亞天仙子) 歐洲ロシア・西&中央アジア・モンゴル・チベット産 『中国本草図録』Ⅷ/3794
   
 ナス科 Solanaceae(茄 qié 科)については、ナス科を見よ。
 和名は、属名の Hyoscyamus から。菲沃斯は当て字。
 漢名莨菪(ロウトウ,làngdàng)は、「其の子(み,たね) 之を服すれば、人をして狂浪放宕せしむ、故に名づく」と(李時珍『本草綱目』)
 『本草和名』莨蓎及び『倭名類聚抄』莨蓎子に、「和名於保美留久佐」と。
 『延喜式』莨蓎子に、「オホミルクサ」と。
 漢土の華北・西北・西南から、広く歐亞温帯・北アフリカに分布。
 全草にアルカロイドのヒヨスチアミン hyoscyamine(菪礆)を含み、有毒。 
 中国では、ヒヨスなどの種子を天仙子(テンセンシ,tiānxiānzĭ)・莨菪子(ロウトウシ,làngdàngzĭ)と呼び薬用にする(〇印は正品)。『中薬志Ⅱ』pp.43-46 『全国中草葯匯編』上/687-689 『(修訂) 中葯志』III/208-212 

   ベニバナ Carthamus tinctorius(紅花)
   オギノツメ Hygrophila ringens(H.salicifolia;水蓑衣)
キツネノマゴ科 
  〇Hyoscyamus bohemicus(小天仙子・北莨菪)
  〇ヒヨス Hyoscyamus niger(H.bohemicus;天仙子・莨菪・黑莨菪)
   Hyoscyamus pusillus(中亞天仙子)
   オオケタデ Persicaria orientalis(Polygonum orientale;紅蓼・葒草)
   オオシラタマソウ Silene conoidea (米瓦罐・麥瓶草)


 日本では、乾燥した葉をヒヨスと呼び、葉から採るヒヨスエキスとともに薬用にする。種子も薬用原料。 
 日本で、ロートコン(莨菪根)と呼び、鎮痛薬・目薬として用いるものは、ハシリドコロ Scopolia japonica。
 光同期性や春化処理など、開花生理の実験材料。
 ヨーロッパでは、ギリシア時代から その幻覚作用・睡眠作用・鎮静作用などを利用した。
 中世では、魔女が用いる悪魔の草。

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