なぎなたこうじゅ (薙刀香薷) 

学名  Elsholtzia ciliata (E. patrini)
日本名  ナギナタコウジュ
科名(日本名)  シソ科
  日本語別名  イヌエ、イヌアラギ、ネズミアブラ
漢名  香薷(コウジュ,xiāngrú)
科名(漢名)  脣形(シンケイ,chúnxíng)科
  漢語別名  葇(ジュウ,róu)・薫葇(クンジュウ,xūnróu)、土香薷(ドコウジュ,tŭxiāngrú)、野香薷、香薷草、德昌香薷、水荊芥(スイケイカイ,shuĭjīngjiè)、臭荊芥(シュウケイカイ, chòujīngjiè)、野蘇麻(ヤソマ,yesuma)、山蘇子、香菜(コウサイ,xiangcai)、
英名  
2005/10/15 野川公園自然観察園

2016/10/14
 野川公園自然観察園 
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2023/11/04 植物多様性センター 

 ナギナタコウジュ属 Elsholtzia(香薷 xiāngrú 屬)には、アジアに約40種がある。

  ホソバナギナタコウジュ E. angustifolia(E.pseudocristata var.angustifolia,
        E.loeseneri)
  E. blanda(四方蒿)『全國中草藥匯編 上』p.266
        
廣西・雲貴・ヒマラヤ・インドシナ・スマトラ産
  E. bodinieri (東紫蘇・牙刷草) 雲貴産 『雲南の植物Ⅱ』241 『全国中草葯匯編』下/113
  ナギナタコウジュ E. ciliata(E.cristata,E.patrinii;
        香薷・土香薷・水荊芥・臭荊芥・野蘇麻)
『中国雑草原色図鑑』180
  E. communis (吉籠草・野香薷花・魚香菜) 雲南・インドシナ産 『中国本草図録』Ⅷ/3780
  E. cyprianii (野草香・野香薷・野蘇麻・野白木香)
          陝西・河南・安徽・兩湖・廣西・四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅶ/3314
  ミヤマコウジュ E. densa (E.calycocarpa;
         密花香薷・萼果香薷・東北香薷・細穗香薷・野紫蘇)
         
華北・西北・四川・貴州・雲南・チベット・ヒマラヤ・モンゴル・中央アジアに産
         
『中国本草図録』Ⅷ/3781・『中国雑草原色図鑑』181
  E. eriostachya(毛穗香薷・黃花香薷)
         甘肅・四川・貴州・雲南・チベット・ヒマラヤ産 『中国本草図録』Ⅷ/3782
  E. fruticosa (鷄骨柴・滇藥花・紫油蘇)
         甘肅・湖北・廣西・四川・貴州・雲南・ヒマラヤ産 
         『雲南の植物Ⅱ』241・『中国本草図録』Ⅸ/4319
  E. hunanensis(Perilla frutescens var.auriculatodentata;湖南香薷)
湖南産
  ヒメナギナタコウジュ E. minima(E.pseudocristata f.minima)
  E. myosurus(鼠尾香薷)
四川・雲南産 『全国中草葯匯編』下/193-194
  フトボナギナタコウジュ E. nipponica(E.argyi var.nipponica)
  E. penduliflora (垂花香薷・大黃藥・野蘇子棵・野芝麻)
雲南産 『(修訂) 中葯志』IV/161-165
  ハナナギナタコウジュ E. pseudocristata(海州香薷)
  E. rugulosa (野壩子・香蘇草・細皺香薷)
         
廣西・四川・貴州・雲南産 『雲南の植物Ⅱ』241・『中国雑草原色図鑑』182
  イワナギナタコウジュ E. serotina(E.pseudpcristata var.saxatilis. E.saxatilis)
  E. souliei(川滇香薷)
 四川・雲南産 『雲南の植物Ⅱ』242 『(修訂) 中葯志』IV/552-555
  ニシキコウジュ E. splendens(E.pseudocristata var.splendens, E.haichouensis;
         海州香薷・窄葉香薷・銅草)『中国本草図録』Ⅹ/4819
         朝鮮・遼寧・華北・華東・廣東産
  キダチナギナタコウジュ E. stauntonii(木香薷・紫荊芥・香荊芥・野荊芥)
         華北・陝甘産 『中国本草図録』Ⅸ/4320・『中国雑草原色図鑑』181
  ニイタカナギナタコウジュ E. yushania
   
 シソ科 Lamiaceae(脣形 chúnxíng 科)については、シソ科を見よ。
 和名は、花穂を薙刀に見立てて。
 『本草和名』香薷に、「和名以奴衣、一名以奴阿良々岐」と。
 『延喜式』香■{艸冠に儒}に、「イヌアラゝキ、ヌカヱ」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「香薷 イヌアラゝギ
延喜式 イヌヱ和名鈔 ネズミアブラ奥州」「俗ニナギナタ香薷ト呼」と。
 漢名香薷(コウジュ,xiāngrú)は、「薷は本と葇(ジュウ,róu)に作る。『玉篇』に〈葇、菜蘇の類〉と云うは、是なり。其の気 香しく、其の葉 柔し。故に以て之に名づく」と(李時珍『本草綱目』)
 漢名を荊芥(ケイカイ,jīngjiè,けいがい)というものは、ケイガイ Schizonepeta tenuifolia。
 北海道・本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・長江中下游・インドシナ・四川・貴州・陝西・華北・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア・モンゴル・シベリアに産。
 全草に芳香がある。
 中国では、全草を土香薷(ドコウジュ,tŭxiāngrú)と呼び、薬用にする。『全國中草藥匯編 上』pp.45-46
 また、一部で荊芥の代用にする。
『中薬志Ⅲ』pp.170-174 
 中国では、ナギナタコウジュの全草を土香薷(ドコウジュ,tŭxiāngrú)と呼び、薬用にする。『全國中草藥匯編 上』pp.45-46

 中草藥の香薷(コウジュ,xiāngrú)は、かつてはナギナタコウジュの全草としてきたが、今日の中国では次のようなものを用いる(〇印は正品)。『中薬志Ⅲ』pp.148-153 『全国中草葯匯編』上/620-621 『(修訂) 中葯志』IV/544-555 

   ナギナタコウジュ Elsholtzia ciliata(E.cristata,E.patrinii;香薷・土香薷・水荊芥)
   ミヤマコウジュ Elsholtzia densa (E.calycarpa;密花香薷・萼果香薷・東北香薷)
   Elsholtzia souliei(川滇香薷)
  〇ニシキコウジュ Elsholtzia splendens(E. haichowensis;香薷・海州香薷・銅草) 
  〇ホソバヤマジソ Mosla chinensis(Orthodon chinensis;華薺薴・石香薷)
   ヒメジソ Mosla dianthera(薺薴・臭蘇・小魚仙草)
   イヌコウジュ Mosla scabra (M.punctulata, M.lanceolata;石薺薴)
   ハナハッカ O. vulgare(牛至;E.oregano, wild majoram) 
 賈思勰『斉民要術』巻3(530-550)には、「紫蘇・薑芥・薫葇」は畦に植えるとある。
 宮崎安貞『農業全書』(1696)に、「園に作る薬種」の一として「香薷」をあげ、
 「香薷、是大小あり。小香薷とて、葉細くみどり少したはみて、長刀のやうに見ゆる、俗になぎなたかうじゆと云ふ。園に作る事、又干し上ぐるまで荊芥にかはる事なし。山野に自ら生ずるが勝れり」(岩波文庫本)と。



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