なぎなたこうじゅ (薙刀香薷)
学名 |
Elsholtzia ciliata (E. patrini) |
日本名 |
ナギナタコウジュ |
科名(日本名) |
シソ科 |
日本語別名 |
イヌエ、イヌアラギ、ネズミアブラ |
漢名 |
香薷(コウジュ,xiāngrú) |
科名(漢名) |
脣形(シンケイ,chúnxíng)科 |
漢語別名 |
葇(ジュウ,róu)・薫葇(クンジュウ,xūnróu)、土香薷(ドコウジュ,tŭxiāngrú)、野香薷、香薷草、德昌香薷、水荊芥(スイケイカイ,shuĭjīngjiè)、臭荊芥(シュウケイカイ,
chòujīngjiè)、野蘇麻(ヤソマ,yesuma)、山蘇子、香菜(コウサイ,xiangcai)、 |
英名 |
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2005/10/15 野川公園自然観察園 |
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2023/11/04 植物多様性センター |
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辨 |
ナギナタコウジュ属 Elsholtzia(香薷 xiāngrú 屬)には、アジアに約40種がある。
ホソバナギナタコウジュ E. angustifolia(E.pseudocristata var.angustifolia,
E.loeseneri)
E. blanda(四方蒿)『全國中草藥匯編 上』p.266
廣西・雲貴・ヒマラヤ・インドシナ・スマトラ産
E. bodinieri (東紫蘇・牙刷草) 雲貴産 『雲南の植物Ⅱ』241 『全国中草葯匯編』下/113
ナギナタコウジュ E. ciliata(E.cristata,E.patrinii;
香薷・土香薷・水荊芥・臭荊芥・野蘇麻)『中国雑草原色図鑑』180
E. communis (吉籠草・野香薷花・魚香菜) 雲南・インドシナ産 『中国本草図録』Ⅷ/3780
E. cyprianii (野草香・野香薷・野蘇麻・野白木香)
陝西・河南・安徽・兩湖・廣西・四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅶ/3314
ミヤマコウジュ E. densa (E.calycocarpa;
密花香薷・萼果香薷・東北香薷・細穗香薷・野紫蘇)
華北・西北・四川・貴州・雲南・チベット・ヒマラヤ・モンゴル・中央アジアに産
『中国本草図録』Ⅷ/3781・『中国雑草原色図鑑』181
E. eriostachya(毛穗香薷・黃花香薷)
甘肅・四川・貴州・雲南・チベット・ヒマラヤ産 『中国本草図録』Ⅷ/3782
E. fruticosa (鷄骨柴・滇藥花・紫油蘇)
甘肅・湖北・廣西・四川・貴州・雲南・ヒマラヤ産
『雲南の植物Ⅱ』241・『中国本草図録』Ⅸ/4319
E. hunanensis(Perilla frutescens var.auriculatodentata;湖南香薷) 湖南産
ヒメナギナタコウジュ E. minima(E.pseudocristata f.minima)
E. myosurus(鼠尾香薷) 四川・雲南産 『全国中草葯匯編』下/193-194
フトボナギナタコウジュ E. nipponica(E.argyi var.nipponica)
E. penduliflora (垂花香薷・大黃藥・野蘇子棵・野芝麻) 雲南産 『(修訂) 中葯志』IV/161-165
ハナナギナタコウジュ E. pseudocristata(海州香薷)
E. rugulosa (野壩子・香蘇草・細皺香薷)
廣西・四川・貴州・雲南産 『雲南の植物Ⅱ』241・『中国雑草原色図鑑』182
イワナギナタコウジュ E. serotina(E.pseudpcristata var.saxatilis. E.saxatilis)
E. souliei(川滇香薷) 四川・雲南産 『雲南の植物Ⅱ』242 『(修訂) 中葯志』IV/552-555
ニシキコウジュ E. splendens(E.pseudocristata var.splendens, E.haichouensis;
海州香薷・窄葉香薷・銅草)『中国本草図録』Ⅹ/4819
朝鮮・遼寧・華北・華東・廣東産
キダチナギナタコウジュ E. stauntonii(木香薷・紫荊芥・香荊芥・野荊芥)
華北・陝甘産 『中国本草図録』Ⅸ/4320・『中国雑草原色図鑑』181
ニイタカナギナタコウジュ E. yushania
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シソ科 Lamiaceae(脣形 chúnxíng 科)については、シソ科を見よ。 |
訓 |
和名は、花穂を薙刀に見立てて。 |
『本草和名』香薷に、「和名以奴衣、一名以奴阿良々岐」と。
『延喜式』香■{艸冠に儒}に、「イヌアラゝキ、ヌカヱ」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「香薷 イヌアラゝギ延喜式 イヌヱ和名鈔 ネズミアブラ奥州」「俗ニナギナタ香薷ト呼」と。 |
漢名香薷(コウジュ,xiāngrú)は、「薷は本と葇(ジュウ,róu)に作る。『玉篇』に〈葇、菜蘇の類〉と云うは、是なり。其の気 香しく、其の葉 柔し。故に以て之に名づく」と(李時珍『本草綱目』)。 |
漢名を荊芥(ケイカイ,jīngjiè,けいがい)というものは、ケイガイ Schizonepeta tenuifolia。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・長江中下游・インドシナ・四川・貴州・陝西・華北・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア・モンゴル・シベリアに産。
全草に芳香がある。 |
誌 |
中国では、全草を土香薷(ドコウジュ,tŭxiāngrú)と呼び、薬用にする。『全國中草藥匯編 上』pp.45-46
また、一部で荊芥の代用にする。『中薬志Ⅲ』pp.170-174 |
中国では、ナギナタコウジュの全草を土香薷(ドコウジュ,tŭxiāngrú)と呼び、薬用にする。『全國中草藥匯編 上』pp.45-46
中草藥の香薷(コウジュ,xiāngrú)は、かつてはナギナタコウジュの全草としてきたが、今日の中国では次のようなものを用いる(〇印は正品)。『中薬志Ⅲ』pp.148-153 『全国中草葯匯編』上/620-621 『(修訂) 中葯志』IV/544-555
ナギナタコウジュ Elsholtzia ciliata(E.cristata,E.patrinii;香薷・土香薷・水荊芥)
ミヤマコウジュ Elsholtzia densa (E.calycarpa;密花香薷・萼果香薷・東北香薷)
Elsholtzia souliei(川滇香薷)
〇ニシキコウジュ Elsholtzia splendens(E. haichowensis;香薷・海州香薷・銅草)
〇ホソバヤマジソ Mosla chinensis(Orthodon chinensis;華薺薴・石香薷)
ヒメジソ Mosla dianthera(薺薴・臭蘇・小魚仙草)
イヌコウジュ Mosla scabra (M.punctulata, M.lanceolata;石薺薴)
ハナハッカ O. vulgare(牛至;E.oregano, wild majoram) |
賈思勰『斉民要術』巻3(530-550)には、「紫蘇・薑芥・薫葇」は畦に植えるとある。 |
宮崎安貞『農業全書』(1696)に、「園に作る薬種」の一として「香薷」をあげ、
「香薷、是大小あり。小香薷とて、葉細くみどり少したはみて、長刀のやうに見ゆる、俗になぎなたかうじゆと云ふ。園に作る事、又干し上ぐるまで荊芥にかはる事なし。山野に自ら生ずるが勝れり」(岩波文庫本)と。 |
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