みしまさいこ (三島柴胡)
学名 |
Bupleurum stenophyllum
〔B.scorzonerifolium var.stenophyllum, B.komarovianum, B.falcatum var.komarowii,
B.chinense var.octoradiatum, B.chinense var.komarovianum,
B.scorzonerifolium auct. non Wild., B.falcatum auct. non L., B.falcatum
var.scorzonerifolium auct. non (Wild.)Ledeb.〕 |
日本名 |
ミシマサイコ |
科名(日本名) |
セリ科 |
日本語別名 |
アマアカナ、カマクラサイコ、ノゼリ、ノダケ、オオザマシ |
漢名 |
長白柴胡(チョウハクサイコ, chángbái cháihú) |
科名(漢名) |
繖形(傘形,サンケイ,sănxíng)科 |
漢語別名 |
柞柴胡 |
英名 |
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2020/04/15 小石川植物園 |
2007/04/19 薬用植物園 |
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2007/07/21 薬用植物園 |
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2007/08/13 同上 |
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2007/10/08 同上 |
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2023/10/03 植物多様性センター |
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学名は、YList に従った。
Kew植物園のIPNIによれば、
B. stenophyllum は、日本産、
B. komarovianum は、日本・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア産、
B. falcatum は、歐洲・カフカス産
B. scorzonerifolium は、日本・朝鮮・漢土・モンゴリア・極東ロシア・シベリア産。
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ホタルサイコ属 Bupleurum(柴胡 cháihú 屬)には、世界に約180-210種がある。
レブンサイコ B. ajanense(B.triradiatum var.ajanense)
B. alatum(翅果柴胡)
ホソバノミシマサイコ B. angustissimum(B.scorzonerifolium var.angustissimum;
綫葉柴胡) 山西・陝甘・青海・モンゴリア産
B. aureum (金黃柴胡・貫葉柴胡)
モンゴル・シベリア・中央アジア・歐洲ロシア産 『中国本草図録』Ⅸ/4261
B. bicaule(錐葉柴胡・雙莖柴胡)
B. candollei(川滇柴胡)
B. chaishoui(柴首)
ヒロハミシマサイコ B. chinense(北柴胡・柴胡・竹葉柴胡・韭葉柴胡・蚱螞腿;
E.Hare's ear) 『中薬志Ⅰ』pp.366-374、『中国本草図録』Ⅱ/0742
遼寧・吉林・黑龍江・華北・華東・兩湖・西南・陝甘から広く歐亞に産
B. commelynoideum(紫花鴨跖柴胡)
B. condensatum(簇生柴胡)
B. dalhousieanum(匍枝柴胡) 雲南・チベット・ヒマラヤ産 『中国本草図録』Ⅷ/3705
B. densiflorum(密花柴胡)
B. dielsianum(太白柴胡)
タイゲキサイコ B. euphorbioides(大苞柴胡) 朝鮮・吉林産 『中国本草図録』Ⅲ/1306
B. exaltatum(新疆柴胡)
B. gracilipes(細柄柴胡)
B. gracillimum(纎細柴胡)
タイワンサイコ B. kaoi(臺灣柴胡)
B. komarovianum(長白柴胡)
B. krylovianum(阿爾泰柴胡)
B. kweichowense(貴州柴胡)
タケシマサイコ B. latissimum
B. longeradiatum
ホタルサイコ var. elatius
オオホタルサイコ var. longeradiatum(大葉柴胡) 『中国本草図録』Ⅹ/4769
北海道・本州・九州・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・極東ロシア産
オオハクサンサイコ var. pseudonipponicum 山梨産
エゾホタルサイコ var. sachalinense(B.sachalinense)
コガネサイコ var. shikotanense
B. longicaule(長莖柴胡)
var. franchetii(空心柴胡)
B. longiradiatum(大葉柴胡)
B. malconense(馬爾康柴胡)
B. marginatum(B.falcatum subsp.marginatum;竹葉柴胡・膜緣柴胡)
B. microcephalum(馬尾柴胡)
ハクサンサイコ B. nipponicum
エゾサイコ var. yezoense(B.yesoense)
B. petiolulatum(有柄柴胡)
B. pusillum(短莖柴胡)
フジワラサイコ B. quadriradiatum
B. rockii(麗江柴胡)
オクミシマサイコ B. scorzonerifolium(B.falcatum var.scorzonerifolium;
紅柴胡・狹葉柴胡・南柴胡・軟苗柴胡・香柴胡) 遼寧・吉林・黑龍江・華北・
・陝甘・山東・江蘇・安徽・湖北・廣西・四川・モンゴリア・シベリア・極東ロシア産
『中薬志Ⅰ』pp.366-374、『中国本草図録』Ⅶ/3248
ダフリアサイコ B. sibiricum(興安柴胡) 遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・シベリア産
B. smithii(黑柴胡・小五台柴胡) 華北・陝甘・青海・内蒙古産 『中国雑草原色図鑑』147
ミシマサイコ B. stenophyllum(B.scorzonerifolium var.stenophyllum,
B.komarovianum, B.falcatum var.komarowii,
B.chinense var.octoradiatum, B.chinense var.komarovianum;
長白柴胡・柞柴胡) 『中国本草図録』Ⅴ/2231
イキノサイコ var. obvallatum(B.scorzonerifolium var.obvallatum)
B. tenue(小柴胡)
B. tianshanicum(天山柴胡)
B. triradiatum(三輻柴胡)
B. wenchuanense(汶川柴胡)
B. yinchowense(銀州柴胡)
B. yunnanense(雲南柴胡・滇柴胡) 雲南産 『中国本草図録』Ⅷ/3706
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セリ科 Apiaceae(Umbelliferae;繖形(傘形) sănxíng 科)については、セリ科を見よ。 |
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『本草和名』茈胡に、「和名乃世利、一名波末阿加奈」と。
『延喜式』■{艸冠に柴}胡に、「ノセリ」と。
『倭名類聚抄』茈胡に、「和名乃世里、一名阿末安加奈」と。
『大和本草』柴胡に、「鎌倉柴胡、與下本艸所レ記之形狀及自二中華(一)所レ來者上相同、コレヲ用ユヘシ」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』柴胡に、「アマアカナ古名 ノゼリ同上 今ハ通名」と。 |
「藥用植物ノ一ニシテ昔伊豆三島ヨリ其生藥材料ヲ出ダセシヲ以テ此和名アリ」(『牧野日本植物図鑑』)。
カマクラサイコの名も、鎌倉においても栽培したことによるのであろう。『大和本草』鷄腿兒条に、「カラヨリ來ル柴胡ハ鎌倉ノ産ニ同シ」との記述がある。 |
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北海道・本州・四国・九州・朝鮮・吉林・黒龍江に分布。
絶滅危惧Ⅱ類(VU)。東京都・埼玉県では情報不足。
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中国では、ホタルサイコ属 Bupleurum(柴胡屬)の多くの植物の根を 柴胡(サイコ,cháihú)と呼び、解熱・鎮痛・強肝に用いる(〇印は正品)。『中薬志Ⅰ』pp.366-374 『全國中草藥匯編 上』 pp.691-693
B. aureum (金黃柴胡・貫葉柴胡)
B. bicaule(錐葉柴胡・雙莖柴胡)
〇ヒロハミシマサイコ B. chinense(北柴胡・柴胡)
B. densiflorum(密花柴胡)
B. jucundum(異葉柴胡)
B. komarovianum(長白柴胡)
B. krylovianum(阿爾泰柴胡・新疆柴胡)
B. longicaule var. franchetii(空心柴胡)
B. marginatum(竹葉柴胡・膜緣柴胡)
B. microcephalum(馬尾柴胡)
B. mutinerve(多脈柴胡)
B. octoradiatum(八傘柴胡)
〇オクミシマサイコ B. scorzonerifolium(B.falcatum var.scorzonerifolium;
狹葉柴胡・南柴胡)
ダフリアサイコ B. sibiricum(興安柴胡)
B. tenue(小柴胡)
なお、市に竹葉柴胡の名で売られているものは、柴胡の幼い株の全草である。
また、草薬の所謂「土柴胡」なるものは、次のものである。
オトコヨモギ Artemisia japonica(牡蒿)
ミヤマアキノキリンソウ Solidago virgaurea subsp. leiocarpa(S.decurrens;
一枝黃花)
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日本では、生薬サイコ(柴胡)はミシマサイコの根である(第十八改正日本薬局方)。 |
かげろふや柴胡の糸の薄曇 (芭蕉,1644-1694,『猿蓑』1691) |
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幸田露伴評釈(1937)に、「柴胡近人の耳目に親しからず。されども元禄の頃は、行きわたりたるものなる故に此句ありたりと覚し」と。
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