くらら (眩) 

学名  Sophora flavescens (S. flavescens var. angustifolia, S. angustifolia)
日本名  クララ
科名(日本名)  マメ科
  日本語別名  クララグサ、クララノキ、マトリグサ、キツネノササゲ、カミナリササゲ、クサエンジュ
漢名  苦參(クシン,kŭshēn,くじん)
科名(漢名)  豆(トウ,dòu)科
  漢語別名  地槐(チカイ,dìhuái)・野槐・山槐子(サンカイシ,shānhuáizi)、地骨(チコツ,dìgŭ)、苦骨(クコツ,kŭgŭ)、苦■{草冠に識}(クシキ,kushi)、好漢枝
英名  

2008/04/15 小石川植物園

2007/05/03 薬用植物園

2007/05/26 薬用植物園

2010/06/04 掛川市小夜鹿

2007/07/21 薬用植物園 2007/08/13 同左
2010/10/16 薬用植物園

   薬用植物園の標示によれば、日本産と中国産を区別する。

  ヒロハクララ var. flavescens 
漢土原産、苦参の基原植物。
  クララ var. angustifolia 
日本薬局方のクジン。 
   
 クララ属 Sophora(苦參 kŭshēn 屬)には、熱帯・亜熱帯に約50種がある。

  S. albescens(白花槐・白花灰毛槐・小苦參)
  S. alopecuroides(苦豆子・狐尾槐) 『中国本草図録』Ⅲ/1221 『中国雑草原色図鑑』115
        
『週刊朝日百科 植物の世界』5-36  
        『(修訂)中葯志 』I/198-200 『全国中草葯匯編』下/357-358
  S. benthamii(尾葉槐)
  S. brachygyna(短蕊槐)
  ヒメエンジュ S. davidii(S.viciifolia;白刺花・草藤葉槐・蠶豆葉槐・苦刺花)
        
 『雲南の植物Ⅰ』151 『中国本草図録』Ⅷ/3667,Ⅵ/2689 『全国中草葯匯編』下/358-359
  S. dunnii(柳葉槐)
  クララ S. flavescens(var.angustifolia,S.angustifolia;苦參)『中国雑草原色図鑑』116
    ムラサキクララ f. purpurascens
  ツクシムレスズメ S. franchetiana(閩槐)
九州・浙江・福建・湖南・廣東産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020) 
  S. glauca(S.velutina,Indigofera mairei;灰毛槐樹・紫花苦參)
 『中国本草図録』Ⅶ/3186
    var. albescens(小苦參・白花灰毛槐・山豆根)
  イヌムレスズメ S. koreensis(Echinosophora koreensis)
  S. mairei(S.prazeri ssp.mairei;西南槐樹・烏豆根・山豆根・紅花苦刺・蛇黄豆)
         『中国本草図録』Ⅹ/4673
  S. microcarpa(細果槐)
  S. mollis(翅果槐)
  S. moorcroftiana(沙生槐・薊瓦)
 『中国本草図録』Ⅴ/2169 
  S. pachycarpa(厚果槐)
  S. praetorulosa(疏節槐)
  S. prazeri(銹毛槐)
    subsp. mairei(西南槐)
  S. subprostrata(柔枝槐・廣豆根・山豆根)
江西・兩廣・貴州産 S.tonkinensis のシノニムという
         『全國中草藥匯編 上』pp.105-107・『中薬志Ⅰ』pp.52-56・『中薬大辞典』pp.181-183
         
ミヤマトベラの誌を見よ
  イソフジ S. tomentosa(絨毛槐・嶺南槐樹・海南槐・毛苦參) 
         
絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
  S. tonkinensis(越南槐・山豆根・廣豆根)
 『中国本草図録』Ⅰ/0137
  S. velutina(短絨槐・灰毛槐樹) 
  S. vestita(曲阜槐)
  S. wilsonii(瓦山槐)
  S. yunnanensis(雲南槐)
    
 マメ科 Leguminosae(Fabaceae;豆 dòu 科・荳科)については、マメ科を見よ。
 「和名くららハ眩草(くららのき)ノ略セラレタルモノニシテ其苦キ根汁ヲ嘗レバ目眩メク故云フ」(『牧野日本植物図鑑)。
 一説に、これを服用すると、軽度の中毒症状としてめまいを起すことから。
 『本草和名』苦参に、「和名久良々、一名末比利久佐」と。
 『延喜式』苦参に、「クラゝ」と。
 『倭名類聚抄』苦參に、「和名久良々、一云末比里久佐」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』9 苦參に、「クラゝ
延喜式 マトリグサ古歌 キツネノサゝゲ仙台 苦辛和方書 カミナリサゝゲ越後。楸ト同名」と。
 漢名苦參(クシン,kŭshēn,くじん)は、「苦は味を以て名づけ、參は功を以て名づく」と(李時珍『本草綱目』)。 參(シン,shēn)の字義は、オタネニンジンの訓を見よ。
 本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・漢土・シベリアに分布。
 根の外皮を剥いて干したものを苦参(クシン,kŭshēn,くじん)と呼び、薬用にする。『中薬志Ⅰ』pp.337-339 『(修訂)中葯志 』I/193-197『全國中草藥匯編 上』pp.510-511
 日本では、生薬クジンは クララの根で、しばしば周皮を除いたものである(第十八改正日本薬局方)。
 茎の皮から繊維を採り、織物・縄・紙(苦参紙)などを作った。
 「(ダイコンに)若し虫付きたらば苦参を多くたたき、水にいれ、かき灰を少し合せてしべ箒にて日中にうつべし。必ず虫死ぬるものなり。」「(アイにつく)虫を殺す事は・・・又苦参の根をたゝきくだき、水に出しうちたるも、虫よく死ぬる物なり」「(タバコの葉につく虫を殺すには)又苦参をたゝき、水にいれかき灰を立てゝ、しべ箒にて葉にうちたるは虫よく死ぬるなり」(宮崎安貞『農業全書』1697)。

   あれにける さはだ
(澤田)のあぜに くららお(生)ひて
     秋ま
(待)つべくも なきわた(辺)り哉 (西行(1118-1190)『山家集』)
 

ヒロハクララ  2007/06/07 薬用植物園
2007/06/20 同上

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