こなぎ (小菜葱)

学名  Monochoria vaginalis (M.vaginalis var.plantaginea, M.plantaginea,
  Pontederia vaginalis)
日本名  コナギ
科名(日本名)  ミズアオイ科
  日本語別名  ササナギ
漢名  鴨舌草(オウゼツソウ,yāshécăo)、窄葉鴨舌草(サクヨウオウゼツソウ,zhăiyè yāshécăo)
科名(漢名)  雨久花(ウキュウカ, yŭjiŭhuā)科
  漢語別名  水錦葵、水玉簪、肥菜、合菜
英名  
 2022/07/20 入間市宮寺 
2024/06/17 同上 
2009/08/13 同上

2008/09/11 入間市宮寺

  

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6本の雄蕊の内、5本は短く葯は黄色、1本はやや長く葯は青紫色。
後者の花粉で自家受粉する。

 ミズアオイ属 Monochoria(雨久花 yŭjiŭhuā 屬)については、ミズアオイ属を見よ。
 「和名ハは小形ノなぎ(みづあふひ)ノ意。ささなぎハ其葉狹長ニシテ笹ノ如キ場合ノ名、畢竟其葉ハ臨時形ナリ」(『牧野日本植物圖鑑』)。
 『本草和名』蔛菜に、「和名奈岐」と。
 『倭名類聚抄』水葱に、「奈木」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』蔛草に、「ナギ
和名鈔 コナギ古歌 イモバ伯州」と。
 漢名蔛(コク,hú)というものは、『唐本草』に略々「葉はまるく、澤瀉(オモダカ)に似て小さく、花は青白く、食える」とあるもの、コナギ或はその類品であろうという(『新註校定 國譯本草綱目』VI 452頭注)。  
 北海道・本州・四国・九州・琉球・朝鮮・河北・陝甘・華東・兩廣・四川・貴州・雲南・ヒマラヤ・インド・インドシナ・マレシア・濠洲に分布。
 日本にあるものは、古く水稲とともに入った史前帰化植物という。
 日漢では、若い茎葉を蔬菜として食用にする。
 中国では、全草を薬用にする。『全國中草藥匯編 下』pp.499-500
 『万葉集』に、

   春霞 春日の里の 殖子水葱
(うゑこなぎ) 苗なりといひし え(枝)は指しにけむ
      
(3/407,大伴駿河麿、坂上二嬢を娉ふ歌)
   かみつけぬ
(上毛野) 伊香保のぬま(沼)に う(植)ゑこなぎ
      かくこ
(恋)ひむとや たね(種)もと(求)めけむ (14/3415,読人知らず)
   なはしろ
(苗代)の こなぎ(子水葱)がはな(花)を きぬ(衣)にす(摺)
      な
(馴)るるまにまに あぜ(何)かかな(愛)しけ (14/3576,読人知らず)
   醤酢(ひしおす)に 蒜(ひる)つき合(か)てて 鯛願う
       吾にな見せそ 水葱の煮物(あつもの)
        (16/3829,長忌寸意吉麻呂,「酢・醤・蒜・鯛・水葱を詠む歌」。
            またこの歌は、酢の物(二杯酢)料理の文献上の初見)

とある。なぎ
(ミズアオイ)とこなぎ(コナギ)を歌い分けているようだが、当時厳密に区別されていたかどうかは疑問という(松田修)
 
   なまぐさし小なぎが上の鮠
(はえ)の腸(わた) (芭蕉,1644-1694)
 

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