辨 |
Sagittaria trifoliaには、次のような変種・品種がある。
クワイ 'Caerulea'(var.edulis;慈姑)『週刊朝日百科 植物の世界』11-152
シナクワイ 'Sinensis'(var. sinensis;慈姑・華夏慈姑)
ホソバオモダカ f. longiloba(var.longifolia;剪刀草・長瓣慈姑)『中国雑草原色図鑑』282
ヒトツバオモダカ var. alismifolia
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新しいAPGにおける被子植物の分類ついては、被子植物を見よ。 |
オモダカ科 Alismataceae(澤瀉 zéxiè 科)には、世界の熱帯・亜熱帯に15属 約90種がある。
サジオモダカ属 Alisma(澤瀉屬)
マルバオモダカ属 Caldesia(澤薹草屬)
シャゼンオモダカ属 Echinodorus 新世界の主に熱帯に約30種
シャゼンオモダカ E. cordifolius
E. grandiflorus
ヒロハシャゼンオモダカ subsp. aureus
ミズヒナゲシ属 Hydrocleys
キバナオモダカ属 Limnocharis 熱帯アメリカに2種
キバナオモダカ L. flava
Ranalisma(毛茛澤瀉屬)
R. rostrata(長喙毛茛澤瀉)
オモダカ属 Sagittaria(慈姑屬)
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オモダカ属 Sagittaria(慈姑 cígū 屬)には、世界に約25-40種がある。
アギナシ S. aginashi 『週刊朝日百科 植物の世界』11-153
S. altigena(高原慈姑)
S. guayanensis
オモダカモドキ subsp. lappula(Lophotocarpus formosanus;冠果草)
臺灣・華東・湖南・兩廣・雲貴から旧世界の熱帯・亜熱帯に産
subsp. guayanensis メキシコ・熱帯アメリカ産
S. lichuanensis(利川慈姑) 浙江・福建・江西・湖北・廣東産
タイリンオモダカ S. montevidensis
カラフトグワイ S. natans(浮葉慈姑) 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
北海道・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア・モンゴリア・シベリア・北歐産、浮葉性
ヒロハオモダカ S. platyphylla
S. potamogetonifolia(小慈姑) 華東・兩廣産
ウリカワ S. pygmaea(矮慈姑・鴨舌草)
『中国雑草原色図鑑』284・『週刊朝日百科 植物の世界』11-153
北海道・本州・四国・九州・琉球・朝鮮・臺灣・華東・兩湖・兩廣・西南・インドシナ産
セイヨウオモダカ S. sagittifolia(歐洲慈姑) 歐洲・カフカス・小アジア・シベリア産
アメリカウリカワ S. subulata USA東南部・コロンビア・ベネズエラ産
オモダカ S. trifolia(S.trifolia var.angustifolia;野慈姑・狹葉慈姑)
『中国雑草原色図鑑』283・『中国本草図録』Ⅴ/2386・『週刊朝日百科 植物の世界』11-152
クワイ 'Caerulea' (S.sagittifolia subsp.leucopetala var.edulis,
S.sagittifolia subsp.leucopetala, S.trifolia var.edulis,
S.trifolia subsp.leucopetala)
シナクワイ 'Sinensis' (S.trifolia var.sinensis;慈姑) 長江以南に産
ホソバオモダカ f. longiloba
ヒトツバオモダカ var. alismifolia
ナガバオモダカ S. weatherbiana(S graminea auct. non Michx.;禾葉慈姑) 北米産
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オモダカの葉の形は、生育段階で変化する(幼い葉は線形、やがて細長い楕円形、のちに矢尻形へ)。葉の下の裂片は上の裂片より長く、先は尖る。
アギナシの葉の形は、オモダカより細い。葉は上の裂片の方が長く、先は尖らない。 |
訓 |
「和名おもだかハ面高ノ意ニシテ其人面狀ヲナリセル葉ノ高ク葉柄上ニ在ルヲ以テ名ク、而シテ葉面ノ脈理隆起シ其表面高起セルヲ以テ謂フト云フ節ハ予之レヲ取ラズ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
漢名慈姑(ジコ,cígū)は、慈しみある姑(はは・しゅうとめ)の意、クワイの訓を見よ。 |
日本では、古くからオモダカを漢字で沢瀉と記すが、誤り。
漢名を澤瀉(タクシャ,zéxiè)というものは、サジオモダカ。
深江輔仁『本草和名』(ca.918)澤瀉に、「和名奈末為、一名於毛多加」と。
源順『倭名類聚抄』(ca.934)澤瀉に、「和名奈万井」と。 |
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『大和本草』に、「ヲモダカ ・・・澤瀉ノ和名モヲモタカト云、別ナリ」と。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・琉球・朝鮮・極東ロシア・華北・東北・西北・西南・臺灣・インドシナ・マレシア・インド・西&中央アジア・カフカス・シベリア・歐洲ロシアに分布。田・溝・溜池など、人里近くに生育する。
花は単性、雌雄同株。 |
誌 |
この属の植物オモダカ・ウリカワ・アギナシは、いずれも水田の雑草。 |
秋、泥の中に数本の地下枝を出し、その先に直径約1cmの球茎をつくるが、小さく苦いので食用にならない。
これを大型に中国で改良したものがクワイ。日本で栽培化したものにはスイタクワイ(マメクワイ・コグワイ) f. suitensis があり、塊茎はクワイより小さいが、関西で食用にする。 |
清少納言『枕草子』第66段「草は」に、「おもだかは、名のをかしきなり。心あがりしたらんと思ふに」と。面高の意への感想。 |
新田義貞の家紋はおもだか。
薄田泣菫に「澤潟の歌」がある。 |